【クトゥルフ神話TRPG】1920年代アメリカで遊べるジャズエイジサプリ【職業140種】
当時の時代情勢、技術、文化、職業などが網羅され、特に職業は圧巻の140種類掲載。分割pdfでセール時に買えばだいたい3$台(通常時でも5$台)でこれだけの職業データを手に入れることができる。
なに、英語は読めないって?ご心配なく。そんなあなたのために、英語サプリを読みたい人のための職業・技能単語集も用意した。これと照らし合わせれば職業名および職業技能のデータは完璧に読めることをお約束しよう。
82種類の火器データや日常のアイテムを武器にする場合のデータリスト*1など英語の文章が読めずとも名詞の単語をちょいちょい翻訳するだけで理解できる部分も多く、活用できるのは職業データにとどまらない。
合本版pdfもセール時は5$台、通常時ですら9$弱のため、掲載されている情報量に対して非常にお買得の一言。1920年代に役立つサプリを探しているならぜひ購入を考えてみてほしい。
→DriveThruの購入ページへ(支払いはクレジットカードおよびPayPalなど)
分冊版pdf vol.1(武器データの掲載はこちら)
分冊版pdf vol.2(職業データの掲載はこちら)
→Amazon.jpの購入ページへ(パラパラ眺めるのに便利な合本版の紙版)
以下に詳しい内容を紹介していく(ページ表記は紙の合本版に準拠します)。
ジャズ・エイジ概観
AN OVERVIEW OF THE JAZZ AGE
p.6~12
さらにミニコラムとして
Songs of the 20s
Films of the 20s
Sports of the 20s
Books of the 20s
の4つがある。
各1/3~1/2ページ程度の小さなコラムだが、歌、本、映画は一年ごとにその年の有名作が載っており、舞台となった年に合わせて「店内では最近発表されたガーシュウィン*2の新曲、"I Got Rhythm"が演奏されている」だとか「このPCはチャップリンの『黄金狂時代』に感銘を受けて映画監督を目指している駆け出し映画クルーです」だとかKPとしてもPLとしても時代感を出す小ネタとして活用することができる。
1920年代年表
CHRONOLOGY OF THE TWENTIES
p.13~14
1920~30年間の世間情勢やビッグニュースを一年刻みで解説。ミッキーマウスのデビュー年なんかもあり。
探索者をプレイする
PLAYING AN INVESTIGATOR
p.16~17
・キャリアと財産
・友人と家族
・協力者
・引退
などなど、探索者引退までの人生設計についてリアリティをもってキャラクターを掘り下げるヒントが書かれている項。
『遺言を書く』という項で探索者が遺言を残す際の法的手続きについてちゃんと書かれてるのがなかなかキマッてて好きです。そのうち書きたい。
1920年代の職業
1920s OCCUPATIONS
p.18~57
140種類の職業掲載!
各職業の技能のみならず社会的地位、経済状況、社会的コネクション、任意で採用できる特徴が掲載されている。
特徴は「CONとSTRが+1、自分の農場を持っていれば信用に+20」といったものから「初期SAN値から-20、普段から半発狂状態のかわりに一時的発狂に耐性がある」のようなユニークなものまで。
職業の詳細については、職業名が分かれば日本語でも調べられるが本の説明文もそう難しい文章ではないのでDeepL等の自動翻訳で十分把握できる。長めの解説文のある職業でいくつか試してみたが大意把握に問題はなかった*3*4。
表題から想像される各種スタンダードの職業はもちろん、バラエティ豊かな周辺職業が見どころだ。個人的にはほしい技能に合わせた職業を細かく探せるのが一番いいところだが、時代性があり思わずロールプレイしてみたくなってしまうようなワクワクする職業がたくさん見られるのも魅力。大分類の表題および表題から分かりにくい周辺職業やマイナー職がある場合は合わせて紹介。
冒険者と命知らず
表題の冒険家に加え飛行士、レースドライバー、トレジャーハンターなど
芸術家
創作者とパフォーマーの二分類。前者は通常の芸術家職各種に加えて写真家など、後者はジャズ・ミュージシャンやエージェント、映画クルーなども
アスリート
各種プロアスリートの他コーチやトレーナーなども
ビジネス
エグゼクティブ、秘書、株式仲買人など。
ちなみにここに掲載されている会計士の職業技能はコンパニオン掲載のものとは違い、『Accounting, Accounting, Accounting, Credit Rating(経理、経理、経理、信用)』となっている。経理のしすぎで発狂したのだろうか(この項を執筆した人が)。
聖職者
神父と牧師が分かれているなど細かい職業分け、またカリスマカルト指導者やラビなんかも
犯罪者
各種詳細に分類された犯罪者のみならずギャンブラー、スパイなども
報道
各種ジャーナリストのほかコラムニストやラジオアナウンサーなど
労働者
地方および都市。鉱夫やカクテルウェイトレスなど
法執行機関
各種警察、探偵や法医学専門家、保安官なども
法曹
法曹三職に加え保釈保証業者
医療職
内科と外科が分かれた医師職に加え、ナースや技師なども
精神保健職
医療職からは独立
軍事
正規軍の職業のみならず傭兵なども
政治家
大使や大物政治家なんてのもある
研究職
学生なども含む
その他
フラッパー、墓掘り人、司書など15種
1920年代の技能
1920s SKILLS
p.58~68
大部分はルールブックと同じ技能(のうち20年代に存在しているもの)だが、時代に合わせた詳細な解説(当時の一般的な応急手当セットには何が入っていたのか?当時の電気修理の技術レベルではどんなことができたのか?当時の《組み付き》のプロフェッショナルといえば?当時の高跳び(《跳躍》)の人類最高記録は?当時のオカルト界の情勢や有名書は?)がついているのが嬉しい。
調査と情報源
Research&Resources
p.70~79
・公的記録
・新聞
・図書館、博物館
当時使えた情報提供機関とその提供サービス(新聞の切り抜きサービスなど)について。
(そこまで使うかどうかは別として)圧巻なのが見開き2ページ一面の当時の国・地方別新聞紙一覧で、なんと日本の朝日新聞や毎日新聞も載っている。アメリカは州ごと、それ以外の地域(アフリカとオセアニアを除く)は国ごと。
交通と旅行
TRANSPORT&TRAVEL
p.80~94
短距離&長距離の交通機関、当時の道路交通&旅行事情について。
アメリカ国内の自動車およびバイクブランドやその商品の解説&各種車両データ(クーリッジの乗っていたキャデラック314の値段、座席数、HPは?当時のハーレー・ダビッドソンの販売モデルは?)、その他陸海空の移動手段、航空機メーカーや航空機の機種、またそれぞれの性能などなど。航空機のナビゲーション技術についてのコラムなどもあり、当時の交通とその技術についてセッションの細部を詰めるのを助けてくれる充実の内容。
「フォードのモデルTじゃマフィアとの銃撃戦には耐えられなさそうだし、頑張ってビュイック買わない?」とかいう会話ができる。
装備と武器
Equipment&Arms
p.95~114
ただページ数的に言えば9割は武器情報である。
各種の棍棒やナイフは当然のことながら海中で使える武器、剣、槍、ブーメランやチャクラム、ヌンチャク、手裏剣のようなマイナー武器のデータもあり。
個人的に重宝しているのが即席武器のデータで、ノミ、バール、鎌のような工具、農具類から、本棚を倒して下敷きにした時のダメージ、フライパンやレンガ、ガラスのコップで殴った時のダメージなど日常のアイテムで戦う際に使えるデータが満載。
なお当然のことながら最も充実しているのは火器データで、当時使えた拳銃/ライフル/ショットガン/マシンガンのデータが合わせて圧巻の82種類(ダメージなどの詳細なデータはp.112,113のテーブルと照らし合わせて決定する*5。ルールブックと違い、メジャーなものやおすすめの型番にはそれぞれしっかり解説がついている。ちなみに日本からも三八式歩兵銃、二十六年式拳銃、南部式拳銃が登場。
プロフェッショナルとしての探索者
The Professional Investigator
p.116~119
また犯罪現場を調査するための具体的な技術、聞き込みの技術など探索の精度と解像度を上げる話題が満載。
1920年代の法科学技術
1920s Forensic Arts
p.120~125
クラシックの時代を遊ぶ上で悩むのは、やはりなんといっても「この時代にこの技術はあったのか?」という点だろう。このセクションでは、ガスライト(1890~)の時代から1920年代にかけて用いられていた犯罪捜査技術とその発展について非常に詳しく書かれている。
前科のついた犯人はどのように登録されていたのか?人間の血の染みを識別することはできたのか?それにはどのような技術が用いられていたのか、探索者がそれを使うことはできるのか?様々な物質を同定する方法は?当時の医者にはどの程度の検死技術があったのか?指紋はどのように使われていたのか?弾道学は?写真術は?当時の検死官はどのように働いていたのか?死因審問の進め方は?死体は死後どのように変化していくのか?……などなど、科学技術上の話題から警察のシステム面まで幅広くカバーしている。
死体や警察捜査のあるシナリオを回すKP、あるいはそういったシーンのあるシナリオを書きたいシナリオ製作者にとって非常に役に立つセクションであることは間違いない。
おわりに
各種英語のルールブックやサプリはChaosium公式、DriveThruRPGなどからpdfで安価に入手することができる(高くはなるがもちろんAmazonなどで紙版を買えるものもある)。
そのようなサイトでは日本語版で5000円を越えるようなサプリが3分の1、セール時にいたっては5分の1程度の値段で買えることも普通なので、この1920ICのようにデータの多いサプリは英語版を買ってみるのも手だ(というか1920ICに関しては日本語版がないのだが)。
DriveThruRPGはFacebookログインが使え*6、PayPalで支払いできるので比較的気軽に利用できるオンラインTRPGストアだ。データ集、シナリオ、ランダム表などで無料配布されているものも多い。何より日本語ではなかなか読めない地域・時代の様々なサプリが目白押しだ。ガスライトやジャズエイジに興味のある方は一度覗いてみてはどうだろうか。
↓DriveThruの購入ページへ(支払いはクレジットカードおよびPayPalなどが使用可能)
分冊版pdf vol.1(武器データの掲載はこちら)
*1:vol.1掲載
*2:もちろん『ラプソディ・イン・ブルー』のガーシュウィンだ
*3:例外は軍隊の階級などの状況によって大きく訳語の変わる名詞だが、厳密にこだわるのでない限り問題はないだろう。厳密にしたい場合はアメリカの軍制の歴史を日本語で調べればよいと思われる
*4:pdfのコピペが行の折り返し部分で切れて訳しにくい場合はChrome拡張のPDF Viewerで開いたものからコピペするとよい
*5:データを見る方法が少々分かりづらいかもしれないので、ひとつ例を挙げておく。
p.110の表の下から5つ目、Winchester M1887 Lever-Actionのデータを調べてみよう。
まずGauge(口径)を見ると、10/12とある。この場合10-gaugeでも12-gaugeでも好きなほうを選んでよい。Shotgun Damage and Base Rangeの表からLarge Gaugeの中にある10/12-gaugeを探す。
今回は10-gaugeを選ぶことにするが、ショットガンには2種類の弾丸がある。slug(スラッグ)でもbuckshot(バックショット)でも、ダメージと射程を見比べ好きなほうを選ぶ。
buckshotを選ぶ場合はさらに基本射程と威力の違う3種類があり、今回はなるべく近距離で高威力を狙いたいので4D6+2、基本射程10ヤードの10-gauge buckshotを選んだ。
次にRate of Fire(1ラウンドの攻撃回数)の表を探す。10-gauge buckshotはLarge GaugeなのでRifles and Shotgunsの下にあるLever-Action内のLarge Gaugeを見る。Rate of Fireは1(3/2)だ。普通は1ターンに1回だがKPの同意があれば75%以上の高技能者はカッコ内のレート、つまりこの場合は2ターンで3発撃つことができる。
Reloading Times(リロードにかかる時間)はSide-Loadingなので1ラウンドあたり2カートリッジだ。
最後にMalfunction Table(故障ナンバー)のLever-Actionの部分を確認し、Clean(きれいな状態)、Neglected(手入れがおろそかな状態)、Dirty(手入れされていない状態)それぞれのナンバーを確認して終了
*6:もちろん普通にLog In→New Accountからメールアドレスを登録してアカウントを作ることもできる