一畳ちょっとの二人部屋

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創作や趣味のゲームの話

【クトゥルフ神話TRPG】KPに必要なプレイ中の心構え

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 事前準備はすんだものの、肝心のセッション中はどんなことに気をつけながら進行すればよいのか?基本的な心構えについて書いていきます。

参加者に気を配ろう

 KPはセッション参加者の一員であり、同時に卓のホストともいえる存在です。他の参加者がいかに楽しく遊べるかはあなたの采配に大きく左右されます。KPの立場からどのような点に気を付けるべきかを挙げます。
 
 セッションが始まると、机の前で数時間釘付けにならざるをえません。適度に休憩をはさんだり、時間が伸びそうであれば以降の予定についてPLと相談しましょう。
 2,3時間程度であれば一気に走り抜けることも多いかもしれませんが、それ以上伸びるとどうしてもKPPL双方の注意力は低下してきます。「最後疲れてて思うようにできなかったな……」という未練を残さないためにも休憩の時間はあらかじめ計算にいれて時間をとりましょう。
 また事前の予定より後ろに押しそうな場合。1時間おきくらいのスパンでこまめに進行を確認しておき、もし予定どおり終わらなかったらどうするかは必ず他の参加者と相談しましょう。とくに「あと10分、いや15分オーバーくらいで終わりそうなんだけどな……」という時はそのまま突っ込んでしまいたくなるかもしれませんが、皆それぞれに次の予定があります。もし暇でも「○時にこれが終わるんだったらその後これして遊ぼうかな」などと個人的な予定を立てている場合もありますから、時間の延長・変更はささいなものでも必ず相談するようにしてください。
 
 次、特に初心者がいる場合の注意。探索でどういうふうに動いたらいいか分からない、ロールプレイのタイミングが掴めないなどでいわゆる「地蔵」になってしまう場合があります。そのシーンにいるのに全然発言できていない、というような人がいないか注意しておきましょう。喋れていない人がいる場合は、○○さんはどうしたいですか?と振ったり、NPCやイベントでロールプレイのできるようなアクションをかけるなりするのが吉です。
 
 初心者に限らず、PCの出番が極端に固まったり、偏るのは可能な限り避けるようにがんばってください。シナリオと持っている技能との相性によって活躍が偏ってしまうのは避けられませんが、行動の機会は全員が平等に持っています。しかし、慣れているプレイヤーがどんどん行動宣言をすることでやるべき調査を消化してしまい、そうでないプレイヤーが手持無沙汰になるという事態が時折発生します。それを避けるには、誰かが行動宣言をしたら「じゃあ○○さんがそれをやっている間に他の人はこういうことができるよ。△△さんはどうする?」とこまめに確認することで全員の行動をうながす、などの方法が有効です。
 
 別行動で片方のシーンが長引きそうな場合は、ある程度のところで切ってもう片方もやる、そちらがある程度進んだらまた戻る、といったようにシーンを往復してみたり、○○さんの場面がここまで進んだら△△さんもやるね、と手番でないプレイヤーにフォローを入れておいたりといった手段があります(自分の手番がいつ回ってくるかわからないと、PLは待つのが大変です)。
 
 PCの有効でない試みによってシーンが長引きそうな場合(情報や手段が揃っていないためまだ開けられない扉を開こうと延々とがんばるなど)は、その方向のアプローチではこれ以上事態は進まないでしょう、とKPがばっさり切ることも重要です。
 PL(PC)には今自分のとっている行動が有効かそうでないかなど分かりようがないためなんでも試してみようとしますが、自由にやらせてあげようとして何も止めないでいると全然場面が進まなくなります。PCがとにかく隅々まで情報収集をしようとする問題と同じく、これはKPの側で線を引かなくてはなりません。

 

自信をもってキーパリングしよう

 
 TRPGには昔から「黄金ルール」というものが存在します。実際、ゲームをマスタリングする役目の人物にどこまでの権限があるかはシステムによって微妙に違いがあるのですが、それでもセッションにおいて、KPの裁定は絶対です。黒い鴉もあなたが白と言えば白です。
 
 セッション中の裁定において、KPと同等以上の権力をもつものが存在してはなりません。横暴に思えるかもしれませんが、たとえばあちらの裁定も正しい、こちらの裁定も正しいとなると、PLはどちらを信じればよいのでしょうか?裁定を決める権利を持つものが複数存在すると、セッションが混乱し、進行が不可能になります。これはどのTRPGでも同じため、そのようなルールができたのです。シナリオに「目星を使って敵を見つけろ」と書いてある?あなたが「いや聞き耳でも見つかるやろ」と思えばそれでいいのです。PLからの創意的な提案も無理と思ったら無理でいいのです。KPが自信を失ってこの裁定にしようか、いやこっちのほうがいいだろうかとやりだすと、PLも何を基準に行動を決めればよいのか分からなくなります。セッションが始まったら悩んでいる暇はありません。シナリオにない裁定が必要になります。新しい武器のデータをその場で決めることもあります。なんならその場で新しいルールを作ってしまいます。人に意見を求めてもよいですが、どの裁定を使うかの決定権はあなたにしかありません。俺がルールだ!と自信をもって決めてしまいましょう。
 
 PLが「いや、こうしたら普通こうなるでしょ?」だとか、「~~については詳しいけどこうしたらこうなるよ」などとねじ込んでくる場合もありますが、そういう時は「ここは私の卓なので、私の常識を使います」と言いきって構いません(もちろん、その意見が参考になると思えば採用することもできます)。
 
 さて、ここまで読んで疑問を持った人も多いでしょう。「KPがそんなになんでもかんでも決めてしまっていいのか?」と。それを認めてしまうと、最終的に決まったルールのない無法地帯になってしまうのではないかと。
 その疑問は正しいです。↑の黄金ルールが悪い方向に働くと、「PCが行動するたびにKPの胸先三寸でルールが変わる。KPが気に入らない行動が何もできない。PCは何を基準に行動すればよいのかわからない」といった状況が起こります。
 
 そんな状況を防ぐために必要なのがルールなのです。先述した黄金ルールのことではありません。クトゥルフ神話TRPGのルールブックに掲載されているルールのことです。
 KPは「俺がルールだ」が基本ですが、その場合のルールとは、「どのルールを使うかを選び、あるいはアレンジして、最終的なルールを作ることができる」という意味でのルールです。まず大前提として、クトゥルフ神話TRPGのルールが存在し、そのルールをどう運用するかを決められる、ということなのです。
 
 KPも、基本の方向性としてはあくまで元々存在するルールに従い、必要があればそれに応じてルールを工夫する、という形をとることによって、KPの気まぐれなキーパリングでルールが滅茶苦茶になるかも、と心配するPLに一定の安心を提供するのです。元々のルールからあまり外れすぎると、PLは行動の基準を失い、混乱したり理不尽さを感じたりします。ルルブp.29なども合わせて参照のこと──『キーパーはプレイヤーの質問に答え、また考える材料を公平に提示しなければならない』。ゲームを遊ぶ上で使うルールが公開されていることは公平さの最低条件です。
 
 ルルブを読んだあなたならば分かると思いますが、KPはCoCのルールで定められていない部分について自由にルールを定めることができます。また、既存のルールを遊びやすいように任意で改変することもできます。
 そのような元々のルールに対する改変の権利もKPのできることに含まれますが、それはあくまで「ルールがないとPLはどう遊べばよいか分からなくなる/遊び辛いルールのままではPLが楽しめない」からそのような権利が与えられているのです。KPの仕事は「ルールをなくす」のではなく、「PLが楽しく遊べるように、ルルブを元にして最終的なルールの形を作る」ことなのです。
 クトゥルフ神話TRPGは特にKPの裁量が大きく、KPがなんでもできすぎる、と思うかもしれませんが、それは裏を返せばKP次第で柔軟にどんな遊び方もできるということです。こういう書き方をするとプレッシャーを感じるかもしれませんが、PLに楽しく遊んでもらうために、ルールをうまく工夫しようという気持ちでさえあれば大丈夫。ルールを守るのも、変えるのも、まずPLが楽しく遊べるかどうかだけを考えてください。裁定した結果、ルールが難しすぎることでPLのやる気をなくしてしまわないか?逆に簡単すぎて興を削いでしまわないか?どのような疑問も、その時一緒に遊ぶPLを見て考えましょう。
 
 KP強権はときにシナリオの秩序を維持するために不可欠です。KPが自信をもってルールを裁定することで、セッションが安定します。KPのやりたいシナリオの方向性、雰囲気をデザインし、参加者にわかりやすく説明し、その方向性を理解してくれるPLを集め、ダメなものにはダメといい、すべての人に公平になるようルールを運用しシナリオを統括するのがKPの仕事です。私はこういうセッションをします、という説明を丁寧にしておけば、それに乗ってくれるPLが集まります。
 もしあえて外れようとするPCが来てしまったら、自分がやりたいセッションはこれだ!という直感を信じて裁定してください。それがあなたのセッションを求めて集まってくれた他のPLたちのためにもなります。
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