一畳ちょっとの二人部屋

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創作や趣味のゲームの話

【小説】スティーヴン・キングでクトゥルフ神話の世界を堪能する【映画】

……わたしが鉄てこでやっつけたように、やつらはラヴクラフトの小説に出てくる不死の生命を有する怪物などではけっしてなく、……
……凶運の都、古代の悪、発音もわからないような名前をもつモンスターたちといったラヴクラフト的な世界へさまよいこんだという彼の印象も、……
……だがこれが物語だとしても、ラヴクラフトブラッドベリやポーが書いた古典的な恐怖小説ではない。……
 
 このラヴクラフト大好きな小説家は一体誰だ?と思われた方もいるだろう。タイトルにもある通り彼の名はスティーヴン・キング、現代アメリカを代表するエンターテイメント作家の一人だ。
 
 『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』といった名作映画の原作者として知る人も多いと思うが、なんといっても彼の十八番はホラー。しかも、その多くにクトゥルフ神話要素が取り入れられているのである。
 「読み方によってはクトゥルフっぽい」とかではなく、上記引用のように非常に意識的な言及がある*1。また言及がなくとも明らかにラヴクラフト・スタイルを踏襲して書かれた作品も多く、影響の大きさが伺える。
 
 クトゥルフ神話TRPGサプリメントマレウス・モンストロルム』には彼自身の作品から収録された神話生物もいる(これについては作品紹介で後述)ほどで、彼自身CoCというゲームの世界観に影響力のある存在であることは間違いない。
 
 今回はそんなキングの著作から、読みやすく、神話的雰囲気を楽しめるいくつかの短編・中編を紹介する。
 ルールブックでおすすめされたラヴクラフト作品をある程度読んでみたが、他の作家の作品はないだろうか?あるいは、ラヴクラフトはちょっとお堅いかんじがして途中で手が止まってしまう。そんなあなたに特におすすめしたい。

 

 

 まずは短いものからいこう。

短篇

『N』

悪意に満ちた神々!
 とある神経症患者の記録から始まる、密やかにして奇妙な「世界を守る闘い」の物語。
 患者のテープの書き起こし、精神科医の手記、その他登場人物の手紙などから徐々に明らかになるこの世の綻びと、それに巻き込まれていく人々の狂気がつづられる。
 
 規模から言えば一度にメインをはる登場人物はせいぜい一人で、舞台もほんのささやかな空き地や病院の一部屋なのだが、その「世界の片隅」に茫漠とした宇宙的恐怖を描き出してみせる手腕は見事の一言
 
 CoCのシナリオを書く人にとっても登場人物の手記や手紙、正気を失いつつある人間の描写など、参考になる記述が盛り沢山の一作だ。

 
 

『トウモロコシ畑の子供たち』

「畝の後ろを歩く人、か」と、バートはイグニッションを切りながら呟いた。「たぶん、ネブラスカだけで使われている九千通りもある神の名前の一つだな。
 この『畝の後ろを~』という名前に見覚えのある方もいるだろう。マレウス・モンストロルムにも収録された*2、とある神格の化身である*3
 
 とある夫婦が旅の途上に訪れた、合衆国で『いちばん素敵な小さな町』、ガトリン──その町と、町を取り囲むトウモロコシ畑には邪悪な秘密があった。
 
 トウモロコシというのどかなモチーフを題材に神話的ホラーを描き出すことで、ある種のセンスオブワンダーすら与えてくれる珠玉の作品。
 主人公のちょっとした調査によって町の異様さがあらわになっていく様子や恐怖の源に追われる終盤の緊張感は、シナリオとしてもそのまま使えそうなほどの完成度がある。
 
 この『ナイトシフト〈2〉トウモロコシ畑の子供たち』には他にもちょっとしたクトゥルフ神話要素を覗かせる作品が収録されており、イチオシの短篇集といえる。

 

 ↑一応映画もあるが、円盤は高騰しているようなのでレンタルなどで探すほうが無難そう。
 

中篇

『霧』

「疑うものは最後まで疑うがいい! …(中略)… 霧のなかの怪物! 悪夢から出てきたいまわしいもの! 目のない異形のもの! 蒼ざめた恐ろしいもの! 嘘だと思うの? だったら外へ行ってごらん! 出て行って、挨拶でもしてくるがいい!」

 「後味の悪い映画」としてちょっとした知名度を誇る『ミスト(2007)』の原作中篇。映画版とは若干展開に違いがあるため、既に観たことのある人も新たな気持ちで読んでみてほしい(ただ本当に誤差程度やんけ!!と思う人もそれなりにいると思う。その場合は何卒ご容赦)。
 
 ある日突然霧に覆われてしまった町で、幼い息子を抱えてスーパーにたてこもった主人公は襲いくる恐怖に立ち向かう。
 モンスターパニック要素の強い本作だが、敵の正体を徹底的に底知れない「何か」として描くことで、決まった呼び名のない未知の恐怖、まさしくクトゥルフ神話的な恐怖の方向性を打ち出すことに成功している。
 ちなみに作中で引き合いに出される『物体X(※映画『遊星からの物体X』に出てくるモンスター)』も実はマレウス・モンストロルムに掲載済。映画の冒頭では主人公の背後に映画ポスターが貼ってある。

 
 映画のモンスター造形も非常に秀逸で、紋切り型でない「モンスター」の怖さを楽しみたい向きには合わせて是非ともおすすめしたい(個人的にギレルモ・デル・トロ作品のモンスターが好きなのだが、同じ趣味の方にはとくに◎のはず)。実写化としても比較的原作に忠実・かつ原作を知らなくとも面白く観られる成功作品の部類だと思う。
 映画は各種動画配信サービスにて視聴可能。

 ↑現在(2021/6/21)はAmazon Prime Videoの見放題にラインナップ中。見放題から外れても定期的に戻ってくるのでウォッチリストに入れておけばそのうち観られるはず。
Netflixにもありました。
 
 

 
 以上に紹介した作品はどれも非常にオススメのためどれか一作読むなら……というのが難しいのだが、しいて言うなら『トウモロコシ畑の子供たち』をお勧めする。電子書籍で買えるものから選ぶのであれば『ミスト』(『N』も面白いのだが、かなりの短篇のため読み応えを考えるとこちらに軍配が上がる)。
 
 
 キングの小説は図書館に置いてあることも多く、手軽にアクセスしやすいクトゥルフ神話(的)小説作家の一人だ。今回は紹介できなかった長篇小説も含め、気になるものがあれば一度読んでみてはいかがだろうか。
 キングの長篇は基本的に長いのとスロースターター(かわりに話が走り出すと読む手が止まらない)のため誰にでもいきなりおすすめとはいかないのだが、クトゥルフ要素を求めて挑戦するのであれば冒頭にも引用した『IT』をどうぞ。
 
 
 

*1:実のところ、このようにラヴクラフトに言及する場合は大抵「ラヴクラフト的『ではない』」というような言い方でラヴクラフト的恐怖からは離れようとしているかのようにも思えるのだが、作品全体を通して読むとはっきりとしたオマージュ要素が見えてくることが多い

*2:マレウス・モンストロルムに引用されているケヴィン・A・ロスの『Dark Harvest』とは、2002年にPagan Publishingから出版されたシナリオ集『Out of the Vault』収録のシナリオ。

*3:作中で直接その神格について言及されているわけではない

【クトゥルフ神話TRPG】ルールブックに載っていない武器の技能値を決める方法(6版)

 即席でそのあたりの日用品などを武器として使う際、何の技能で判定してもらえばいいの!?と悩んだことのあるKP向けの記事。
 
 ただ同じ武器、あるいは同じ名前の技能でもサプリによってデータが違うことがあるので、あくまで筆者が見たことのあるデータから導き出したおおざっぱな分類ということでご了承ください。
 最終的にはルールブックや採用しているサプリを元に、KP裁量で決めてしまって大丈夫です。
 
 これはKP向けの記事なので、PC作成にあたって特殊な武器技能をとりたいというPLさんは必ずKPに相談してください。
 

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①こぶしを使うもの

 基本的に、①刃がなく②手の中に握りこんで使えるサイズ(スタンガン*1程度まで)のものは<こぶし>を使っていることが多いです。
 石などの固いもの・重量のあるもので殴る場合は1程度の固定値がつきます(メリケンサックのような装着型の武器でも同様)。手に握れる程度のサイズである以上それよりダメージが増えることは稀なようです。
 
 手からはみ出るサイズ(だが棍棒というには短すぎる)となると<こぶし/小さな棍棒>のようにどちらで判定してもよい、という扱いになっていることもあり、その場合は1D◯の◯が<こぶし>の基本ダメージより多少大きかったりします。机上の大きい文鎮で殴るぜ!という場合などこれに当てはまるかもしれません。
 
 

棍棒を使うもの

 刃のない物体は①のように<こぶし>で使うもの、<投擲><鞭>のような特殊な使用法のものを除くと基本的には<大きい棍棒><小さい棍棒>を使用します。
 
 物体を振り回してその遠心力や重量で殴るようなものは大抵棍棒だと思ってよいでしょう。
 両手で使うサイズ/重量のものは<大きい棍棒>片手で使えるものは<小さい棍棒>という判定のことが多いです。
 
 あるいは<ブラックジャック>のように敵に当てるのが容易なものならば<ブラックジャック>と同様の初期値を使ってもよいでしょう。
 
 

③刀剣技能を使うもの

 刃があったり、物体を貫けるほど鋭いものは各種刀剣や槍、斧技能のうち近いものと同じ初期値を使います。
 武器の特性としては、
①サイズ及び重量はどの程度か?②片手で使うのか?両手で使うのか?③刺して使うのか?斬って使うのか?④柄や刃の形状は?
 あたりを考慮するとよいでしょう。
 
 ただ刃のある武器=刀剣、槍類とくくってしまうのもちょっと雑で、例えば1920IC掲載の鎌類は<大きい棍棒>になっています。
 形状としては斧に近そうですが斧のように重量で叩ききるという使い方ではありませんし、かといって刀剣や槍のような使い方でもない→とりあえず振り回して当たればOKなので棍棒、という感じなのかもしれません。
 武器は殺傷に至るメカニズムにかなりバリエーションがあるので、変わった武器が使われる可能性がある場合は事前に考えておく(か、悩んだら大雑把に汎用的な技能を使うことにする)とよいでしょう。
 

 

 

④投擲

 普段は手に持って使う物体であっても、投げて当てる場合の判定には<投擲>を使用します。
 
 

⑤鞭など

 単に手に持って使うのとは明確に違う技術を要求される武器がいくつかあり、鞭もそのひとつです。
 どうしても棍棒、刀剣といった上記の分類にはおさまりきらない、と思った場合は特殊な用法の武器ということで鞭と同程度の初期値を採用するとよいかもしれません(鞭の技能値についてはルールブックを参照)。
 
 

⑥電気修理、化学など

 爆発物など、自分の身体能力に依存しない攻撃手段で、なおかつ安全に扱うのに専門知識が必要な場合は各種専門知識で判定することになります。
 p.71などからも分かるようにこれは設置型の場合で、敵に投げつけたりするならば<投擲>等の判定を使うことになるでしょう。
 
 

⑦DEX

 ルールブックのp.70にもDEXを用いる武器が載っていますが、このように自分の身体能力に依存せず、電気や化学物質等を扱うほどの専門知識も必要ないがとにかくそれを『うまく扱えたかどうか』の判定が必要な場合の最終手段にはDEXを使います。
 
 あるいは貫通のある武器を板などに押し当て、力を加えて穴をあけられたか判定する、というような状況であれば、その武器自体を扱う技能は必要ありませんから筋力ということでSTRを使ったり、どれだけの体重をかけられたかということでSIZを使ったりするような状況もあるかもしれません。
 
 このように使い方次第で判定の変わるアイテムというのはちょくちょく存在しますが、自分が見たことのある中でも頻出かつ判定のバリエーションが多いように思うのは松明です。こぶし、DEX、棍棒(サイズに応じて大きいのも小さいのも)など。棍棒を使う場合は(火をつけにいくというより殴るので)火傷ダメージはなしとしたり、また火がつくかどうかを別途幸運で判定したりと様々な裁定があります。殴りたいのか、単に火が相手に燃え移ればよいのかなどPLの意図に応じて判定をアレンジする心構えが必要です。
 
 
 

具体的な武器・技能データの掲載されているサプリメント

 特徴的な時代や地域を扱ったサプリメントには技能や武器の追加データがちょぼちょぼ載っていることが多いのでこれ以外にも色々とあるのですが、追加の武器データなんかを見たい場合に基本的なサプリメントを紹介。
 

クトゥルフ2010, 2015

 武器のみならず技能、職業など現代日本向けのデータが全体的に充実したサプリです。詳しくはリンク先の商品説明やレビューを参照してください。
ただ、紹介記事などで言及されている『日用品の武器データ』は下で紹介する1920ICに同じものがある(というか多分こっちが元ネタ)のでそこが気になっている場合1920ICを買う方が圧倒的に安いです(このデータだけを目的に2010を買う人はあまりいないとは思いますが)。
 
 

1920IC(1920s Investigator's companion)

 その名の通り1920年アメリカを遊ぶためのサプリメントで、火器が中心ですが海上で使える武器や工具箱の中身を使う場合の技能やダメージなど様々な武器データが充実しています。

 内容や入手方法についての詳しい紹介記事はこちら↓

 

*1:目にしたことのある中で一番大きいのがスタンガン程度のサイズ感のものだったというだけで、どこかに明確な基準が記載されているわけではないです

【クトゥルフ神話TRPG】悪霊の家から考える良い初心者向けシナリオの条件

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 長らく基本ルールブックに収録され、初心者向けシナリオと言われれば必ず名前が挙がる『悪霊の家』。もしかするとなじみがありすぎて何がすごいのかよく分からないという方もいるかもしれませんが、実は初心者向けに必要な要素がよく作りこまれており、非常に完成度の高いシナリオなのです。
 初心者向けシナリオを選ぶとき、どんな要素に気をつけるとよいのか?『悪霊の家』を例にとって考察します。
 6版と7版ではシナリオの大筋はほぼ変わりませんので、基本的には6版ルールブック掲載分を参考にしつつ、必要があれば7版変更箇所にも触れる形で進めていきます。
 
※以下は初心者PL向けシナリオを探しているKP向けの記事です。シナリオ内容のネタバレがありますので、これからPLとして遊ぶ方は続きを読まないでください

無料&オンラインで見られる有名なイラスト技法書

著作権が切れてパブリック・ドメインとなった本や音楽がアップロードされ、自由に閲覧・ダウンロードできることで有名なInternet Archive。その中でも人気のある初心者向けのイラスト参考書をイラスト全般・人物画に分けて紹介(ほぼルーミス)。すべて題名のリンク先からpdfが無料でダウンロードできる
ルーミス本については全て日本語版が販売されているので、買う前に中身を確認するのにも使える(日本語版があるものは各項目の最後にAmazonリンクを付記)。

イラスト全般

Drawing made easy

本当のお絵描き初心者ならこの本は非常におすすめ。正式名称の『Drawing made easy : a helpful book for young artists; the way to begin and finish your sketches, clearly shown step by step』からも分かる通り子供向けの教本のようなのだが、人物から身の回りの静物、乗り物のような複雑な立体から風景画まで、徹底的に単純な幾何学図形に分解→細部を描き込んで完成、という簡潔かつシステマチックな手順であらゆるものを描く方法をステップバイステップで見せてくれる。

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こういうやつ。

 

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曲線が多く辻褄をあわせづらい自然物の形もこのとおり。

 

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動物はこのほか複雑な大型動物であるところの馬の描き方などもある。

 

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 比率でシンプルにとらえる顔の描き方。

 

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動きのあるポーズを単純化するとらえ方。

 

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 難しそうなプロペラ機もこのとおり。

 

 
 

初めてのイラスト教室

ルーミスその1。遠近法や明暗のデッサンについてかなり詳しい解説があり参考になるが、本当に初めての人が選ぶイラスト参考書ではないと思う。邦書の題名にやや疑問。

人物や物の形をなんとなくひととおり描けるようにはなったものの、影の付け方や遠近法を用いて画面の中に正しく配置する理屈がよく分からない……というくらいの人に非常に役立つ内容。

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 遠近法の解説。

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明暗のつけ方。

 
 

ルーミスのクリエイティブイラストレーション

イラスト指南としては前半に線を構図や描画に活用するための線セクション、トーンのセクション、色のセクションの3つがあり、後半には絵にストーリーを盛り込む方法、アイデアの出し方や広告などの商業イラストの作り方が掲載されている。

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構図。もっと真面目なコンポジションの話や商業作品のアイデアスケッチなどもある。

 

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トーン。

 

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色。自然な色の選び方や色の効果についての解説も。

 

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雑誌広告イラストのスケッチ。

 

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商業イラストのメイキング。

 
 

人物画

やさしい人物イラスト──どうすればうまく描けるか?

これもルーミス。表紙のような単純なコミックタッチの顔の描き方から始まり、だんだんステップアップして徐々に複雑な人間を描けるように練習する本。デッサンではなく線描が基本なのでシンプルなアニメやゲーム調のイラストを描きたい人には下のルーミス本よりこちらのほうが役に立つのでないかと思う。

 

 
 

やさしい顔と手の描き方

さらにルーミス。その名の通り老若男女様々な顔や手の描き方についてこれでもかという解説が詰まった本。とくに年齢別の描き分けの解説が非常に詳しい。

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左側が小学生の項の作例、右側がティーンエイジャーの項の扉。乳児─幼児─小学生─ティーンエイジャーと目まぐるしく顔が変化する時期の描き分けがすべて解説されているのがすごい。

 

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手についての基本的な解説。

 

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乳児の手。

 
 

やさしい人物画

『ルーミス本』といえばこれ、一番有名なやつ。

人体デッサンを基本の比率、パースに合わせたり角度をつけた描き方、骨格、筋肉、服のしわなど一通りの描き方についてレクチャーされている。模写周回する人も多い。ちなみに私にはシェパード本のほうが分かりやすかった。

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モデル化して描く人体のポーズ。

 

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遠近法に基づき角度をつける人体の描き方。

 

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筋肉の詳細な解説。

 

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ブロック化してとらえる人体モデル。

 

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頭、腕、脚など曲面的な立体のとらえかた。

 

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最近の参考書でもよく見る基本的な顔のバランスのとりかた。

 

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手指のとらえかた。もちろん足もある。

 

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服のデッサン。

 

【クトゥルフ神話TRPG】KPに必要なプレイ中の心構え

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 事前準備はすんだものの、肝心のセッション中はどんなことに気をつけながら進行すればよいのか?基本的な心構えについて書いていきます。

参加者に気を配ろう

 KPはセッション参加者の一員であり、同時に卓のホストともいえる存在です。他の参加者がいかに楽しく遊べるかはあなたの采配に大きく左右されます。KPの立場からどのような点に気を付けるべきかを挙げます。
 
 セッションが始まると、机の前で数時間釘付けにならざるをえません。適度に休憩をはさんだり、時間が伸びそうであれば以降の予定についてPLと相談しましょう。
 2,3時間程度であれば一気に走り抜けることも多いかもしれませんが、それ以上伸びるとどうしてもKPPL双方の注意力は低下してきます。「最後疲れてて思うようにできなかったな……」という未練を残さないためにも休憩の時間はあらかじめ計算にいれて時間をとりましょう。
 また事前の予定より後ろに押しそうな場合。1時間おきくらいのスパンでこまめに進行を確認しておき、もし予定どおり終わらなかったらどうするかは必ず他の参加者と相談しましょう。とくに「あと10分、いや15分オーバーくらいで終わりそうなんだけどな……」という時はそのまま突っ込んでしまいたくなるかもしれませんが、皆それぞれに次の予定があります。もし暇でも「○時にこれが終わるんだったらその後これして遊ぼうかな」などと個人的な予定を立てている場合もありますから、時間の延長・変更はささいなものでも必ず相談するようにしてください。
 
 次、特に初心者がいる場合の注意。探索でどういうふうに動いたらいいか分からない、ロールプレイのタイミングが掴めないなどでいわゆる「地蔵」になってしまう場合があります。そのシーンにいるのに全然発言できていない、というような人がいないか注意しておきましょう。喋れていない人がいる場合は、○○さんはどうしたいですか?と振ったり、NPCやイベントでロールプレイのできるようなアクションをかけるなりするのが吉です。
 
 初心者に限らず、PCの出番が極端に固まったり、偏るのは可能な限り避けるようにがんばってください。シナリオと持っている技能との相性によって活躍が偏ってしまうのは避けられませんが、行動の機会は全員が平等に持っています。しかし、慣れているプレイヤーがどんどん行動宣言をすることでやるべき調査を消化してしまい、そうでないプレイヤーが手持無沙汰になるという事態が時折発生します。それを避けるには、誰かが行動宣言をしたら「じゃあ○○さんがそれをやっている間に他の人はこういうことができるよ。△△さんはどうする?」とこまめに確認することで全員の行動をうながす、などの方法が有効です。
 
 別行動で片方のシーンが長引きそうな場合は、ある程度のところで切ってもう片方もやる、そちらがある程度進んだらまた戻る、といったようにシーンを往復してみたり、○○さんの場面がここまで進んだら△△さんもやるね、と手番でないプレイヤーにフォローを入れておいたりといった手段があります(自分の手番がいつ回ってくるかわからないと、PLは待つのが大変です)。
 
 PCの有効でない試みによってシーンが長引きそうな場合(情報や手段が揃っていないためまだ開けられない扉を開こうと延々とがんばるなど)は、その方向のアプローチではこれ以上事態は進まないでしょう、とKPがばっさり切ることも重要です。
 PL(PC)には今自分のとっている行動が有効かそうでないかなど分かりようがないためなんでも試してみようとしますが、自由にやらせてあげようとして何も止めないでいると全然場面が進まなくなります。PCがとにかく隅々まで情報収集をしようとする問題と同じく、これはKPの側で線を引かなくてはなりません。

 

自信をもってキーパリングしよう

 
 TRPGには昔から「黄金ルール」というものが存在します。実際、ゲームをマスタリングする役目の人物にどこまでの権限があるかはシステムによって微妙に違いがあるのですが、それでもセッションにおいて、KPの裁定は絶対です。黒い鴉もあなたが白と言えば白です。
 
 セッション中の裁定において、KPと同等以上の権力をもつものが存在してはなりません。横暴に思えるかもしれませんが、たとえばあちらの裁定も正しい、こちらの裁定も正しいとなると、PLはどちらを信じればよいのでしょうか?裁定を決める権利を持つものが複数存在すると、セッションが混乱し、進行が不可能になります。これはどのTRPGでも同じため、そのようなルールができたのです。シナリオに「目星を使って敵を見つけろ」と書いてある?あなたが「いや聞き耳でも見つかるやろ」と思えばそれでいいのです。PLからの創意的な提案も無理と思ったら無理でいいのです。KPが自信を失ってこの裁定にしようか、いやこっちのほうがいいだろうかとやりだすと、PLも何を基準に行動を決めればよいのか分からなくなります。セッションが始まったら悩んでいる暇はありません。シナリオにない裁定が必要になります。新しい武器のデータをその場で決めることもあります。なんならその場で新しいルールを作ってしまいます。人に意見を求めてもよいですが、どの裁定を使うかの決定権はあなたにしかありません。俺がルールだ!と自信をもって決めてしまいましょう。
 
 PLが「いや、こうしたら普通こうなるでしょ?」だとか、「~~については詳しいけどこうしたらこうなるよ」などとねじ込んでくる場合もありますが、そういう時は「ここは私の卓なので、私の常識を使います」と言いきって構いません(もちろん、その意見が参考になると思えば採用することもできます)。
 
 さて、ここまで読んで疑問を持った人も多いでしょう。「KPがそんなになんでもかんでも決めてしまっていいのか?」と。それを認めてしまうと、最終的に決まったルールのない無法地帯になってしまうのではないかと。
 その疑問は正しいです。↑の黄金ルールが悪い方向に働くと、「PCが行動するたびにKPの胸先三寸でルールが変わる。KPが気に入らない行動が何もできない。PCは何を基準に行動すればよいのかわからない」といった状況が起こります。
 
 そんな状況を防ぐために必要なのがルールなのです。先述した黄金ルールのことではありません。クトゥルフ神話TRPGのルールブックに掲載されているルールのことです。
 KPは「俺がルールだ」が基本ですが、その場合のルールとは、「どのルールを使うかを選び、あるいはアレンジして、最終的なルールを作ることができる」という意味でのルールです。まず大前提として、クトゥルフ神話TRPGのルールが存在し、そのルールをどう運用するかを決められる、ということなのです。
 
 KPも、基本の方向性としてはあくまで元々存在するルールに従い、必要があればそれに応じてルールを工夫する、という形をとることによって、KPの気まぐれなキーパリングでルールが滅茶苦茶になるかも、と心配するPLに一定の安心を提供するのです。元々のルールからあまり外れすぎると、PLは行動の基準を失い、混乱したり理不尽さを感じたりします。ルルブp.29なども合わせて参照のこと──『キーパーはプレイヤーの質問に答え、また考える材料を公平に提示しなければならない』。ゲームを遊ぶ上で使うルールが公開されていることは公平さの最低条件です。
 
 ルルブを読んだあなたならば分かると思いますが、KPはCoCのルールで定められていない部分について自由にルールを定めることができます。また、既存のルールを遊びやすいように任意で改変することもできます。
 そのような元々のルールに対する改変の権利もKPのできることに含まれますが、それはあくまで「ルールがないとPLはどう遊べばよいか分からなくなる/遊び辛いルールのままではPLが楽しめない」からそのような権利が与えられているのです。KPの仕事は「ルールをなくす」のではなく、「PLが楽しく遊べるように、ルルブを元にして最終的なルールの形を作る」ことなのです。
 クトゥルフ神話TRPGは特にKPの裁量が大きく、KPがなんでもできすぎる、と思うかもしれませんが、それは裏を返せばKP次第で柔軟にどんな遊び方もできるということです。こういう書き方をするとプレッシャーを感じるかもしれませんが、PLに楽しく遊んでもらうために、ルールをうまく工夫しようという気持ちでさえあれば大丈夫。ルールを守るのも、変えるのも、まずPLが楽しく遊べるかどうかだけを考えてください。裁定した結果、ルールが難しすぎることでPLのやる気をなくしてしまわないか?逆に簡単すぎて興を削いでしまわないか?どのような疑問も、その時一緒に遊ぶPLを見て考えましょう。
 
 KP強権はときにシナリオの秩序を維持するために不可欠です。KPが自信をもってルールを裁定することで、セッションが安定します。KPのやりたいシナリオの方向性、雰囲気をデザインし、参加者にわかりやすく説明し、その方向性を理解してくれるPLを集め、ダメなものにはダメといい、すべての人に公平になるようルールを運用しシナリオを統括するのがKPの仕事です。私はこういうセッションをします、という説明を丁寧にしておけば、それに乗ってくれるPLが集まります。
 もしあえて外れようとするPCが来てしまったら、自分がやりたいセッションはこれだ!という直感を信じて裁定してください。それがあなたのセッションを求めて集まってくれた他のPLたちのためにもなります。
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初心者ガイドまとめページで他のプレイガイドを読む

【無料版あり】クトゥルフ神話TRPGの始め方【ルールブックから使用ツールまで】

 クトゥルフ神話TRPG(CoC)って名前は聞いたことある、あるいは動画だけは見たことあって今から遊んでみたいけど何から始めればいいのかさっぱり分からない、という完全初心者さん向けの記事。 
 ひとまずこれだけ読めば始めるために最低限必要なもの(+αでその後必要になるかもしれないものの概観)が分かるようになっています。
 
 まず簡単に結論を述べておくと、必要なのはルールブック+実際に遊ぶときに使うツールや道具類です。遊び方は全てルールブックに書かれているため、ゲームのソフト面はルールブックさえ買えば事足ります。あとは実際に遊ぶ際に使う道具(サイコロなど)があればよいので、このルールブック+ツールや道具類について、お試しで遊べる無料版の情報なども含め解説していきます。

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まず最初に何を買えばいいのか?

  まず最初に買わなければならないのは、基本ルールブックです。
 まず最初にと言いましたが、これ一冊だけ買えば大丈夫です。あとはルールブックを読むだけで遊び始めることができます
 
 基本ルールブックが安いかわりにすぐ追加のサプリメント(追加ルール・データブック)購入が必須になるようなシステムもありますが、クトゥルフ神話TRPGのルールブックはオールインワンです。少々値段は張りますが、間違いなく値段以上の内容が入っています。また遊ぶ上で特定のサプリメントが必須という卓はなのでどうしても遊びたい卓を見つけた時に初めて買う、で問題ありません。
 
 もし最初にお試しで雰囲気だけ知りたいという場合は、公式から配布されているクイックスタート(QS)があります。これを読めばキャラクターを作って入門シナリオを遊ぶところまでは無料でできるので、いきなりルールブック購入はちょっと……と悩んでいる場合は試してみてください。
 
↓日本版公式によるクイックスタートの配布ページはこちら

※以前公式のDLリンクがリンク切れを起こしていたことがあったのですが、そのような場合は「クトゥルフ 7版 クイックスタート」等で検索すれば直接pdfをDLできるリンクが引っかかります。

 

 ちなみにこのクイックスタートと同じ簡易ルールを使用して遊べる一人用シナリオ(つまり、一緒に遊ぶ友人がいなくても遊べるシナリオ)+初心者向けシナリオ3本が入ったスタートセットというものもあります。

 ただ値段はそこそこするので、現時点で普通に遊ぼうという意思があるならそのままルールブックを買った方がよいと思います(ただ、遊ぶ友人のあてがなく買ってみても遊び続けるかどうか分からない……という場合には有用かもしれません。詳しくはサプリメントの項にて後述します)。

 
 
 基本ルールブックには6版7版(最新版)があり、現状どちらを買うにしてもメリット・デメリットがあります。

6版

 2021年春現在ではまだ6版環境のほうが主流です。
 そのため野良卓*1をする予定ならば、6版を持っていた方が参加できる卓の数は多いです。また、今6版を持っている人であれば7版を買ったとしても6版に戻って遊ぶことは可能なので、6版卓で遊べなくなるのはかなり先になるでしょう。
 
 さらに現状出版されているサプリメントやシナリオ集も6版対応のもののほうが圧倒的に多いです(手間はかかりますが一応7版コンバートは可能)。
 神話生物などのデータは6版のほうが多く収録されています。
 
 

7版(新クトゥルフ神話TRPG)

 最新版のルールブックです。
 
 6版で使いづらい、分かりづらいと言われていたシステム面が大幅に改善されており、控えめに言ってもかなりの良アップデートが施されています。
 また従来ハウスルールなどでよく導入されていたルールに近いものが公式ルールの中で整備され、遊びやすくなりました。
 ルールのシステムだけでなく遊ぶ上での心構えなどもブラッシュアップされ、記述が明確になっています。これにより従来はふわっとしていて議論が起こりがちだったプレイスタイル面の認識を揃えやすくなっています。
 
 野良の卓数はまだ6版と比べて少ないですが、今後増えていくことは間違いないでしょう。また、現時点ではきちんと新しいルールを読み込んで遊ぼうという気概の人が多いためいわゆる事故(セッショントラブル)の確率は多少下がるかもしれません。
 古い版は誤植が多いこと(エラッタが公開されています)、日本語訳のクオリティが怪しいことが難点と言えば難点。
 
 
 完全に一人で遊び始める、野良卓から始めるというのであれば上記を見比べて好きな方を買ってください*2。時々7版のクイックスタート(公式から無料配布されている7版の入門版ルールブック)のみで参加可能な卓もありますが、基本的にいずれかのルールブックが必要です。
 
 リアルで遊ぶ友人がいない場合はもうひとつ、ホビーショップなどで開かれている初心者体験会に行ってみるという手があります。その場合はルールブックが必要ないことも多いので、お住まいの地域のホビーショップやゲームカフェのイベント情報をチェックしてみてください(実際に人と会って遊ぶことになるので、イベントの評判は事前に可能な限り調べて検討することをおすすめします)。
 ゲームマーケットなどの大規模なアナログゲームイベントでは各種システムの初心者向け体験卓が開かれていることも多く、機会は少ないですがこちらのほうが入りやすいかもしれません。
 
 もし友人と遊ぶ予定があるのであれば、KPをするメンバーが自分の遊びたい版のルールブックを持っていれば大丈夫です(ただしルール説明の手間などが大変なのでPLも持っているにこしたことはありません)。
 相手が持っているのが6版であっても7版を買ってさしつかえないと思います。ただし、自分が持っていない本のルールを教えてもらって遊ぶようなやり方は基本的にオフライン限定の遊び方だと思ってください。気に入って何度も遊ぶようであればきちんとルールブックを購入しましょう。
 
 ルールブックはAmazon等で買うことができます。6版は通販で構いませんが、7版の古い版はかなり誤記が多く自分でエラッタを参考に直さなくてはなりません。近くに本屋やホビーショップがあるならば直接行ってみて版を確かめてから新しいものを買うのがよいと思います。
 
↓7版エラッタ(正誤表)はこちら

 

 

サプリメント(追加のデータ、ルール、シナリオ集)の紹介

 どれも前提として基本ルールブックを持っている必要があります。まずは基本ルールブックを買っていくらか遊んでみてから自分の嗜好に応じて買い足していくのが○。
 CoCの始め方を調べている段階の方に必要なものはありませんが、有名なもの等いくつか紹介しておきますのでまた思い出したら探してみてください*3
 おもにKPとして遊ぶ際に役に立つものと、KP/PL両方の立場で役に立つものの2種類あります。
 

クトゥルフ2010, 2015(6版)2020(7版)

 現代日本で遊ぶ際に役立つ追加データが収録されています。
 基本ルールブックはアメリカ準拠なので、現代日本で遊ぶとなると職業やアイテムのデータをいちから考えなくてはならないことがあります。もちろん自分で考えてもかまわないのですが、すべて自力でやるのはけっこう大変なもの。あると助かるのは間違いありませんし、豊富なデータや追加ルールは眺めているだけでも楽しいものです。もちろんシナリオも付属しています。
 KP/PL両方が使えるサプリ。
 
 現状最も人気のあるサプリであることは間違いないでしょう。
 20152010所持が前提なので買う場合はまず2010をどうぞ。
 
 

マレウス・モンストロルム

 通称マレモン。
 およそ380種類の神格・神話生物を収録。眺めているだけでシナリオ作りのアイデアが膨らんでくる圧巻のデータ集です。
 
 自作シナリオを作りたいが基本ルールブックにいい感じの神話生物がいない、なるべく他人と被らない黒幕を使いたい、という場合にまず買うべき一冊。基本ルールブック掲載済みの神話生物についてもより詳しいデータが載っていることがある*4ため、ルルブにはちょっとしか載ってないこのモンスターについて知りたい……という場合にも使えたりします。
 

キーパーコンパニオン

 通称キパコン。魔導書およびアーティファクトの追加データが豊富。マレモンと同様シナリオを作りたいKP向けの追加データ・解説集と言ってよいでしょう。
 
 さらにオフセッションで活用できるキーパースクリーンというアイテムが付属。
 これはセッション中キーパーの前に立てて使用するもので、狂気や戦闘のルールをとっさに参照できるサマリーなどがついています。シークレットダイスや手元に広げたシナリオ資料をPLの目から隠しつつ簡易ルールブックとしても使えるためオフセッションの多い人には特に便利。かなり人気が高いです。
 

比叡山炎上

 戦国日本で遊ぶためのサプリ。舞台よりはこのサプリ独自のルール部分が取り上げられることが多いかもしれません。基本ルールブックと比べてかなり派手かつヒロイックな戦闘をすることができます。
 『比叡山卓』と銘打って基本ルールのままでは難しい戦闘中心シナリオが遊ばれている印象。オンラインで比叡山卓に参加するならば所持が必要な場合が多いので興味のある方は購入してみるとよいでしょう。
 

クトゥルフ・バイ・ガスライト

 みんな大好き、シャーロック・ホームズヴィクトリア朝イギリスで遊ぶためのサプリメント
 1890年代は一応基本ルールブックにもサポートがありますが、時代背景などをしっかり参照しつつヴィクトリアンロンドンに浸って遊びたい人にお勧め。一般的な社会背景についてだけでなく、オカルトや魔術方面の解説も充実しています。この時代を舞台にした有名な作品の登場人物NPCシャーロック・ホームズとワトソン博士、ヴァン・ヘルシング教授、ネモ船長、オペラ座の怪人ジキル博士とハイド氏、ドリアン・グレイ等々)のデータなどもこの時代のファンには嬉しいところ。
 付属シナリオの気合の入ったボリューム(2本合わせて50ページ*5)が時折話題になっている印象。
 

新クトゥルフ神話TRPG スタートセット

  上のほうで書いたとおり、7版クイックスタートと同じ簡易版ルール+一人用シナリオ+初心者向けシナリオ3本が入ったセットです。
 というわけで厳密にはサプリメントと言えるか微妙なのですが、基本ルールブック外の追加シナリオ集ともいえるのでこちらで紹介。
 
 まず繰り返しになりますが、遊ぶ相手がいないし続けるかどうかも分からないのでとりあえずお試しでやってみたい(そしてこの程度の値段なら出せる)という人にはちょうど良いと思います。そして、もし続けて遊びたいから基本ルールブックも買おう!ということになっても決して損はありません
 
 初心者向けシナリオは6版以前のルールブックに収録されていたもの*6で、とくにペーパー・チェイスは6版より前のBOX版(箱版)と呼ばれるバージョンに収録されていた名作シナリオです。『6版は持っているので屋根裏部屋とストンプは知っている、でもこのシナリオが欲しいから買う』という人も散見されました。
 クイック・スタートと合わせて7版簡易ルールでシナリオ5本分、時間にして15時間~分遊べるだけの量が手に入ることになるため、お試しとしては十分すぎるほどの量があるのではないかと思われます。
 
 基本ルールブックを7版しか持っていない場合は後からシナリオ目当てで購入してもよいかもしれません。
 

原作小説について知りたいあなたに

  クトゥルフ神話は最初にこの世界を創造したH.P.ラヴクラフトからスティーヴン・キング菊地秀行のような現代の小説家まで多数の作家が参加して作品を生み出しているシェアード・ワールド*7です。
 ラヴクラフトについては既に著作権が切れているため、ネット上で無料で作品を読むこともできます。クトゥルフ神話TRPGの再現しようとしている基本的なイメージはラヴクラフト作品を元にしているためゲームの世界観に興味のある人は読んでみるとよいでしょう。
 
↓無料で読めるラヴクラフト作品についての過去記事

↓キング作品からおすすめの中短篇を紹介

 

 

使用ツール・サイト 

 ルールブック以外何も用意せずとにかく始めたい!という場合は、手軽に使えるオンラインツールを活用しましょう。

キャラクターのデータを作る

 ブラウザ上でダイスを振って簡単にキャラクターのデータを決めることができます。

 

キャラクターのデータを保存する

 作ったキャラクターのデータはキャラクターシートを保管してくれるサイトに打ち込んで保存、URLをメモしておきましょう。後から参照しやすく、URLを送るだけで人にも簡単に見せることができます。
↓よく使われている代表的な2サイト

↑こちらは6版用なので7版PCを保存する場合はこちら

 

 
 もちろん、アナログ派であればルールブック付属のキャラクターシートをコピーして使ってください。オフセッションの場合は紙に書き込んだものを机の上に広げておくほうが参照しやすいです。
 

セッションでダイスを振るなどさまざまな機能を使う

 ゲーム中に振るサイコロはウェブダイスで代用できます(下記のサイト以外にも『ウェブダイス』で検索すると色々出てきます)。

 

 オフセッションで遊ぶ時に使いたければスマホアプリも○。おすすめはダイスふる(Android版)(ios版とか。

 

 ダイスを振るだけでなくキャラクターの立ち絵を出せたり、ワンタッチで画像を表示しつつBGMを流せたり、といった多機能なツールもあり、使いこなせると非常に遊びやすくなります。オンラインで野良卓に参加する場合はツールの使い方をある程度事前に予習しておくのが○。
ココフォリア

ココフォリア公式Wiki

 
 現状最もメジャーなオンラインセッション用ツールのひとつ。これとDiscordあるいはSkypeが使えれば野良では大半のセッションに対応できます。
 ダイスボットを使えば自動で成功/失敗などの各種判定を出してくれるので覚えればオフセッションでも使えます。
 
その他のツール・サイト

Udonarium概要

 3Dのリッチな空間でアナログゲーム全般を遊ぶのに使えるツール。P2P
 
 

 テキセ(テキストセッション、オンラインで文字のみを使用して行うセッション)向けのツール。PC用。

 

 LINEのようなチャットライクな画面でセッションできるツール。スマホからも利用可。

 

 オンラインセッション専用SNS。一人で始める場合はこちらに登録してみてもよいかも。
 

ダイスはどこで買えるのか

 実際に転がして遊べるダイスがほしい場合の話。
 『TRPG ダイス』等で検索すれば通販が色々ありますが、実物を見るとかなりちゃちだった、ということもあるので失敗したくない場合は実物を置いてある店舗に行くことをお勧めします。
 大きい店が良ければアナログゲーム売り場のあるヨドバシカメラなどで探せますし、イエローサブマリン等のホビーショップやボードゲームカフェの店頭販売、ゲームマーケットのようなイベントに行ってみるのもよいでしょう。
 
 通販で買う場合、必ず『D20, D12, D10(1の位と10の位の計2つ), D8, D6, D4*8』の7つが揃っているかどうかを確認してください。時々D6ダイスのみn個入り、というようなセットがあります。少なくとも10面ダイス*2がなくては遊ぶことができません
 どれが何面なのか写真からじゃ分からんという場合は、とりあえず形の違うダイスが7個あるかどうかを見てください(うち2つは10面ダイスなので形が同じですが、片方は10, 20, 30...というふうに10の位の数が書かれています)。
 ↑CoCっぽいのだとこの蓄光ブラックの多面体ダイスセットを持ってますがわりと好き。ただこのようにデザインの複雑なものはぱっと見数字がわかりづらいです(そこまで気にならないレベルではありますが)。色味が複雑だったり表面が反射するものも同様。10面ダイスは人数ぶん複数セットあるほうが便利なので、懐に余裕があれば安くてシンプルなものとある程度凝ったものと両方揃えておくといいかもしれません。
 
 なお、ダイスは転がったり跳ねたりでよくあらぬ方向にすっ飛んでいくので、一度遊んでみて困ったらダイスタワーダイストレイを買うことをおすすめします。ただこれも実物のサイズ感がかなり大事なのでできれば店頭で見てから買うことを推奨。私は色々な値段・デザインのものが選べる楽しみもあってほぼゲームマーケットで買っています(リンク先の検索欄で「ダイスタワー」「ダイストレイ」を検索してみてください。巾着にもなる本革のダイストレイはデザインもよく重宝しています)。

セッションで使う素材を探す

 ココフォリアなどオンラインセッションツールで使用する画像を探せるサイト。

 画像素材を探す

ぱくたそ

Unsplash

O-dan

https://o-dan.net/ja/

pixabay

 「背景」「立ち絵」「BGM」などで検索。セッションで必要になるような素材はほぼ網羅されているのではないかと思います。

 
Booth

 利用にPixivアカウントが必要ですが、ココフォリア用の高品質な素材などが多数配布されています(無料・有料ともにあり)。最近はかなりメジャーな素材捜索場所になってきました。

PCの立ち絵を作る

 作ったキャラクターの見た目イメージを表現するためには自分でイラストを描くという方法もありますが、キャラクターメーカーなどを使えば時間もかからず(個人で遊ぶ範囲では)著作権的にもクリアな画像を生成することができます。

 こちらのサイトには髪型や顔パーツなどを自由に選んで作れるキャラメーカーが沢山あります。「立ち絵」「TRPG」「青年」などのキーワードで検索してみてください。作成した画像の利用可能範囲はメーカーによって違うので必ず個々の規約を確認して使いましょう。

 

 ファッション用の着せ替えメーカーなのでTRPG立ち絵にはあまり使わないと思いますが筆者も和洋折衷コーデメーカーというメーカーを公開しているので宣伝。

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こんな感じでパーツを着せ替えできます

 

おわりに

 ツール等はまた進展があれば随時追記予定(コリドーンなど開発が進めばいずれ入れたい)。

ルールブックを買った後の遊び方ガイド

 当サイト内にて初心者向け記事を更新中。ルールブックを買ってクトゥルフ神話TRPGをもっと遊んでいきたい!と思った方は覗いてみてください。

*1:Twitter」や「クトゥルフ神話やろうず」「TRPGオンセン」などのサイト経由で知らない人と集まって遊ぶこと。あまり野良というくくりで語られることはないがこの定義でいくとオンラインコンベンションなども含むかもしれない

*2:卓募集量の差については、Twitterなら#クトゥルフ募集/#新クトゥルフ募集を見比べてみたり、クトゥルフ神話やろうずや各種コンベンションのPL募集ページを確認してください

*3:ガスライトは正直筆者の好みも強いのですが、基本ルールブックでカバーしている時代の中で一番サプリ類のサポートが手薄い時代でもあるのでここで取り上げておきます。比叡山はルールの特殊性から持っていないと遊べないことがあるため

*4:例としてシャッガイからの昆虫などはルールブックの1.5倍程度の記述・付属資料がある。ほぼ変わらないものもあるので何かお目当てのデータがある場合はすでに持っている人に聞いてみるとよいかも

*5:原著

*6:ペーパー・チェイス(BOX版収録)、屋根裏部屋の怪物(6版収録)、死者のストンプ(6版収録)

*7:複数の作家が同じ世界観を共有して作る作品群のこと

*8:Dn=n面ダイスのこと。通常よく見る6面ダイスはD6

【クトゥルフ神話TRPG】KP初心者のあなたがまずやるべきこと

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  KP初心者で何をすればいいのか、セッションの準備とは何ができていればいいのかがおぼつかないあなたのために、必要な事前準備を優先順位順にまとめていきます。上から順番に読み、それぞれの項目ができているかチェックしてみてください。
 慣れないうちは大変な部分もあるかもしれませんが、楽しいセッションのためにはそれだけやる価値があります。この記事をお供に、少しだけ頑張ってみてください。

ルールを読もう

 PL向けのページは全て読み込んでいることが大前提です。その上にキーパーが読んでおくべき章はどれか、はp.29*1にきちんと書かれています。とくにp.144~の「キーパーの知識」は学ぶべきところが多いので、じっくり読むことをおすすめします。
 すべてのルールの詳細を覚える必要はありませんが、せめてどこを見れば求めているルールが見つかるのかは把握しておきましょう。また、プレイ中必要な場面ですぐに調べられるようにしておきましょう。自分は技能の定義、戦闘、正気度喪失のガイドラインなど、とっさに参照することがある部分には付箋を貼っています(かなり便利です)。
 必要なルールがすぐに出てこないと、ただでさえ忙しいキーパリングがさらに大変になってしまいます。
 
 また、ルールは概要だけであってもたくさん覚えれば覚えるほど
・柔軟な処理のために使える武器が増え、PLの満足度が上がる
という効果と、
・システムの全体像を把握することで自信をもってスピーディーに裁定を下せるようになる
という効果があります。
 
 前者について。PLの提案というものは実に多彩で、ルールブックに例のない処理を次々に考える必要があります。そんな時に「それはできません」と断って済ますこともできますが*2、頭に入っているルールが多ければ多いほど「じゃあこういう処理でこのダイスに成功すればできることにしましょうか」だとか「その方法は難しそうですが、そういう意図であれば代わりにこんな方法で達成することもできそうです。どうしますか?」等PLのやりたいことに寄り添った提案ができる可能性が高くなります。
 頑張って考えたアイデアが報われるという手応えがあれば、自由に考え、解決策を自分なりに工夫できるというTRPGの醍醐味がより強く味わえます。PLに楽しんでもらいたいならば、頑張って損はないところです。
 
 後者についてですが、ルールに自信がないと「いやもしかしたら使うルールはこれじゃなかったかも、もしかしたらもっと他に正しいやり方があるかも、不当な裁定をしてしまったら後で不満が出るかもしれないからちょっと考えよう、もしかしたら……」という迷いで考える時間が長くなります。ルールの全体像がきちんと頭に入っていれば「使えるルールの中ではこれが一番適当だな」と即座に決断できるため滞りなくセッションを進められますし、「ルールをきちんと理解している人がフェアにゲームを進めてくれているんだな」という安心感を与えられます。これもPLに楽しんでもらうためには大切なポイントですから、少しずつ取り組んでいきましょう。

間違った時の対応 

 さて、ルールをどれだけじっくり読んだとしても、セッション中必要なルールを忘れたり間違ってしまうことはよくあります。そんな時どうするべきか?
 重要なのは、間違わないことではなく間違いにどう対応するかです。処理間違いに気づいたりPLからの指摘があった場合はセッションを一旦止めて対応を検討します。
間違いや間違いに気付くタイミングは千差万別なので一概にこのような対応をすべきということはできません。大まかには
 
・そのセッション中は最初にやったのと同じ処理で通す
・過ぎた処理についてはそのまま流し、次回から正しい処理を行う
・過ぎた処理についてはそのまま流すが正しい処理を行った場合の結果に近くなるよう現在の状況に対して何らかの手を入れる。次回から正しい処理を行う
・処理を誤った時点まで巻き戻してやりなおす
 
 といったパターンがあります。基本的にはKPがごめんなさい案件なので、PL/PC有利の結果になるよう対応しましょう。せっかく成功していたダイスが巻き戻されて今度は失敗した、などということになるとPL感情は推して知るべし。
 セッションはKPとPLの対決ゲームではないのでPL有利にして悪いことはありません。
 

 

シナリオを読もう

 ルールが読めたら、次はシナリオを一言一句漏らさず読みましょう。セッション中にいちいちシナリオを確認するようでは、致命的にテンポが悪くなりPLも不安を覚えます。事件の背景、NPC側の動き、主要なイベントが起こる条件とその順序、それに対するPCの行動とそれによる分岐、情報が出る場所とその渡し方などを意識して頭に入れておきます。シナリオの全貌が頭に入っていれば、PCが思わぬ動きをしたときにもアドリブがききます。
 7版p.217なども参考にしてください。
 
↓シナリオのより詳しい読み方についての関連記事

事前の告知と確認をしよう

  日時、所要時間、探索者作成にあたってのレギュレーション、推奨技能、ハウスルール、使用ツールなど必要と思われる情報を参加者に告知します。
 
 またとくに7版(10章を参照してください)で記述が明確化されましたが、シナリオの導入に関する事前情報、雰囲気、参加者に求める態度(というかノリ)などを事前に詳しく説明しておくことも重要です。
 NG事項(いじめやDV描写、動物虐待、グロの許容程度など非常に多岐にわたります)の確認については、「これが大丈夫か確認したらネタバレになってしまう」という心配は捨ててください。トラウマや生理的嫌悪に関わるNG事項は事前に確認しておかないと最悪卓の続行が不可能になったり、そのセッションは完遂できてもPLさんがそのままTRPG自体を引退してしまうことすらあります。センシティブな内容をどこまで許容できるかは人によって様々です。クトゥルフをやるんだからこのくらいは平気だろう」で済ませないようにしましょう。
 
 また、基本ルールブックの範囲を外れる特殊なシステムがある場合は必ず事前に告知しておきましょう。
↓関連する過去記事

 秘匿、PvP、PCへの特殊設定の付与などはシークレットやサプライズで行うものではありません。これはまがりなりにも決まったルールのあるゲームですから、参加者はそのルールを使うという前提の元で参加を決めます。そこに始まってから「実はこんなルール(設定)もあります」とやってしまった場合、「サプライズ」と「騙された」は紙一重です。害のないものであればよいのですが、PL/PCにリスクのあるルール(設定)だった場合、上手くやれば害のないものであったとしてもPLに多大なストレスがかかる可能性のほうが高いと思ってください。
 
 ちなみにキャラクター設定を事前の予告なく付加する行為についてはたとえ無害な設定であっても嫌がられる可能性は大きいです。そういうことをされても全く気にしないPLであると事前に分かっていない限りはきちんと予告をしましょう。
 
 それと、KPが初心者である場合に重要なのは、参加者に自身が初心者であると伝えておくこと。PCは常にKPの予想の外を行きます。時に無茶振りをするPCもいます。セッションの円滑な進行に協力してくださいと素直にお願いしておくことで、PLもKPを気遣いながらプレイすることができます
 慣れない人間がKPをするのは申し訳ないと思いますか?そんなことはありません。KPは負担が重い分どうしてもPLより少なくなってしまいます。KPが特定の人間に集中しすぎた結果、その人が疲弊して誰も遊べなくなる、というのがTRPGのコミュニティで最もよくある問題のひとつです。KPをしてくれる人員が増えるのは、その場にいる誰にとっても嬉しいことです。誰しも最初は初めてです。恐れずチャレンジしてみてください。KPをやってみようと思ってくれて、ありがとう。
 

ハウスルール流用の注意

 CoCは元々のルールとは違うものが広く使われている場合がありますが、そのようなルールを何も考えずにただ取り入れるのは避けましょう(ましてや元のルールと違うことすら気付かずに使っているようでは話になりません)。
 
 元のルールだけでは対処しきれないことが予め分かっている場合や不都合がある時にだけ、元のルールとそのルールから変更した理由を説明の上で使ってください。とくに相手(PL)も初心者の場合はなおさらです。クリティカル・ファンブルの数値にはなぜそのルールを採用するのですか?変えることによって生じうるデメリットにどのように対処しようと考えていますか?元々の成長ロールの設計思想はどのようなものだったと考えており、どのような理由からそれを変えようとしていますか?
 
 説明できないのであれば元々のルールを使った方が無難でしょう。元のルールの運用上のメリット、デメリット等を理解していないのになぜハウスルールを使った方がよいと分かるのでしょうか?元々のルールのシステム上の意図を変更する必要性がどこにあるかも分かっていないのにハウスルールを使ってもPLを混乱させるだけです。
 まずは元々のルールを正しく把握し回せるようになってから、運用上問題を感じた点を修正したり補う形でハウスルールを導入することをおすすめします。
 

キャラクターシートを確認し、シナリオを調整しよう

 参加者のキャラシを事前に見ておきましょう。推奨技能を告知したにも関わらず、それを誰一人として持っていなかったりします。意図的にそうしているのであれば必要ないでしょうが、PL同士の話し合いが不十分で「誰かが持っていってくれるだろう」が重なった結果起こることもあります。そのような場合に再考を求めたり、あるいは自分の情報の出し方や誘導、PCが持っている技能の工夫で乗り切れそうか処理を検討してみたり、等等を考える時間が必要です。
 
 また、キャラクターの持っているフレーバー技能の使いどころをちょっと足してみたり、シナリオにある別の技能の代用として使ってもいいか聞かれた場合の裁定を考えたりもします。
 個人的には、重要な情報なのに一回技能に失敗したらもう手に入れるチャンスがない!どうしよう!といった場合にPCの持っている別技能で情報を入手するルートを足しておいたりします(もしないと本筋が進まないほどの重要情報であればダイスなしで手に入るように変更します)。PCはそう思った通りに行動してくれるわけではないですし、シナリオ作者やKPによる「当然、賢い選択をするならこう動くだろう。そうした場合に報酬としてこの情報が手に入ることにしよう」という想定を超えてまた別の「賢い」、あるいは本人たちにとって合理的な動き方を編み出すこともよくあります。
 PCが持っている技能、呪文(はバランスブレイカーな場合があるので難しいかもしれませんが)などは使える機会を増やしたほうが満足度が上がるため、事前に十分時間をかけて検討する価値はあるでしょう。
 
 さらに7版p.182, 183などを参考に、探索者をうまくシナリオに結びつけるためのアレンジを行います。シナリオのほうで元々「この犠牲者は探索者の友人である」などと設定されていることもありますが、舞台やその他シナリオの背景事情を可能な範囲で探索者に関係のあるものに変更することで事件に真剣に取り組みやすくなります。PLから探索者についての話を聞き、シナリオの導入を眺めながら一緒にアイデアを出し合いましょう。

持ち物に対するデータの設定

 例えば、「ヘアスプレー」と「マッチ」を持ったPCがいる場合、炎を使った判定の攻撃をどうするか。「(スマホなどの)モバイルバッテリー」も爆発すれば火種になります。「万年筆」も場合によっては攻撃の道具になるのではないでしょうか?「分厚い本」は装甲として使うことを要求されることもあります。そういった持ち物の使用方法を想定し、ダメージや使う技能を事前に設定しておきます。
 PCの目論見とKPの裁定がうまく合わなかった場合、シナリオ途中ですり合わせのため進行が止まったりもするので、予測できる範囲内では事前に通達しておくのがスムーズです。

芸術、製作などのオリジナル技能の適用範囲

 例えばですが、「芸術:錬金術」という技能があったとして、成功すれば鉛を本物の金に変えることができるでしょうか?
 残念ながらCoCの探索者は一般人ですので、リソースを払い魔術などを使わない限りは成立しない技能です。ただ、「化学的知識を用いてある金属を見た目上別のものに変えてしまうような化学マジックができる」という定義であれば採用することもできるかもしれません。このあたりはKPの裁定次第ですので採用してもしなくても構いません。
 
 超常的すぎて無理がある、もし使われても困ると思う場合は現実的な使いどころについてPLと話しあうか、今回のシナリオでは使えませんとお知らせしておきましょう。内容をオリジナルで設定できるということもあって、トンデモ設定が紛れ込みがちなので確認必須です。
 

プレイ環境の整備

 ルールやシナリオの確認が終わったら(あるいはその合間に)、いよいよ実際に遊ぶための環境を整備します。
 まずは遊ぶ上で必須のものから準備していきましょう。
 
 オフセッションの場合はマップや資料などのハンドアウト*3、必要に応じて自分用にまとめ直したシナリオを印刷し(あるいは参照しやすい形にまとめ)ておきます。
 オンラインセッションをする場合はツールに必要な画像をアップロードし、NPCコマの設定を行い、テキストを併用する場合コピペできる描写はすぐ出せるようまとめておくなどスムーズにセッションを進めるための仕込みを充実させましょう。
 
 画像を出す方法、NPCを切り替えて発言する方法などツールの使い方もあらかじめ確認しておきます(合わせてPLがツールの使い方を分かっているかどうかも確認しておきましょう)。
 最初は画像の出し方など必要最低限の機能さえおさえておけばOKです。シナリオ中、プレイヤーに必要な情報を提供するために使う機能=必要最低限の機能と考えましょう。ファンブル時のカットイン演出はなくても困りませんが、マップ画像が出てこないのは困ります。

部屋の装飾や演出の作り込み

 セッションに使う部屋の見た目を綺麗に整えたり、使う小道具、演出を充実させたりするのは基本最後にやることです。
 もちろんセッションにおいてプレイする場の雰囲気は非常に重要であり、装飾やBGMに凝ることは雰囲気作りの助けになりますが、それ以前にルールやシナリオ周りの基本的な準備ができていなければいくら雰囲気作りを頑張ったところで無駄になってしまいます。
 『キーパーはまず提示されたストーリーを完全に理解していなければならない。テーブルの上にどんなに素晴らしい物を並べても、悪いタイミングや、誤解されたイベントや、間違った性格付けなどを補うことはできない。』p.155

  しかしここまでの準備がひととおり済んだのであれば、ぞんぶんに部屋作りや演出の作りこみを楽しみましょう。6版p.165、7版p.181などに関連する記述があります。

 BGMに凝ってみてもよし、立ち絵や画像、フィギュアやそれらしいハンドアウトを充実させてみるもよし、いざという場面で華々しく提示するカットインを作ってみるもよし。必要なことは全て済ませてありますから、時間とやる気の続く限り作りこんで、好きなところでやめればよいのです。

 

 さて、これで事前準備は終わりました。準備を丁寧に頑張れば頑張るだけ、結果は楽しいセッションとなって返ってきます。

  KPは考えることが多いですが、最初の数回はシナリオをとりあえず最後まで回しきれるだけでも上出来です。何回かやってみて、「このあたりをもっと上手くできないかな?」と思った場合は、その部分からひとつひとつ別の方法、新しい方法を試してみればいいのです。

 

 あとは実際に遊ぶだけ。どうかセッションを楽しんでください!

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*1:6版

*2:もちろん本当に無茶な提案もありますし、自分のキーパリング能力では無理だと思ったら潔く却下するのが安全です

*3:ルールブックにもありますがCoCにおいて本来ハンドアウトとはセッション中に配布するプレイヤー資料のことです。こういった用語もきちんとおさえておきましょう