一畳ちょっとの二人部屋

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創作や趣味のゲームの話

【クトゥルフ神話TRPG】CoC公式提携のシナリオ講座に参加してみた【RPG Writer Workshop】

ミスカトニック・リポジトリのトップ画像

RPG writer's workshop(Call of Cthulhu path)に参加しました

 

 ケイオシアムがStory telling Collectiveなるところと提携してCoCのシナリオを書いてみよう!の講座をやるよ!って話があったんですよね。
 

 

 しかも7版ルルブ共著者のポール・フリッカーがコースデザインしたって(参加してみたら普通に講師として記事書いてました)。
 
 いや行ってみるしかないじゃん。
 
 というわけで一か月+αのコースに参加してシナリオ書いてMiskatonic Repositoryで出すところまでやってみたのでその備忘録です。講座の具体的な内容からいきなり読みたい方は各日の講座概要メモからどうぞ。
 
 ちなみに完成したシナリオはこちら。

 

総括

 一か月でシナリオ一本(英語だと3,500wordsが目標とあったので日本語だと一万字ちょいくらいのボリューム?)を書き上げてDriveThruで販売するところまでやってみようというコースです。初めてのシナリオ出版をしてみよう!という表題でしたが、かなり広いレベルの人が役立てられる講座になっていると思いました。
 
 一か月で一本出版、という具体的な目標を掲げているだけあって、ステップバイステップで毎日少しずつやるべきアクティビティと講座が公開されます。使うリソースから手順まで全て具体的に書いてあるので、途中でやめさえしなければかなり機械的にシナリオが完成する仕様(シナリオのテンプレがあって埋めていくだけとかそういう仕様ではないです。どこまでサポートされているのかについては記事の続きにて)。機械的というと言葉が悪いかもしれないですが、システム化できるところはシステム化して労力を省き、脳のリソースを最大限創造性に割り振ってシナリオを作ることができるという点で非常に執筆の助けになる方法を学ぶことができました。
 
 シナリオを書くのって、文章を書く作業だけじゃなくてデータ作り、ハンドアウト作り、テストプレイ、デザイン、編集、広報(出版する場合)などなど無数の副次的作業がついてくるんですよね。そのあたりも丁寧に網羅されているところが出版までのバックアップとして強力でした。
 またシナリオを書く作業そのものにもアイデア出しからリサーチ、構造やギミックを考え描写の充実、推敲、などなどいくつかのステップがありますが、これらの具体的な方法論もすべて講座になっています。詰まった時には講座を見直してみる→その通りに手を動かすと詰まっていたところが自然と進む、ということが何度もあり、非常にうまい作りになっていると思いました(なんなら「シナリオ書くのに詰まったらどうするか」という直球の講座もあります)。
 詰まった時に必要なのって寝るか手を動かすかのどちらかしかないんですが、締め切りがあって寝ていられない、いつも寝てて仕上がらないからとにかく仕上げたい!という場合だと手を動かすしかないんですよね。で、手を動かそうにも何をどう動かしたらいいのか……という時の具体的な指針を与えてくれるわけです。とにかくAをやってBをしてみろと。
 机上の空論というか、抽象論からできる限り実技と言えるレベルにまで噛み砕いたコースだったなあというのが総合的な印象で、本当に得るところは多かったです。おすすめ
 
 形式としては全て英語、一日に一~数講座ぶんの記事が公開されるのを読んでその日のアクティビティ(宿題的なやつ)を仕上げていく方式。バッファとして何もない日もあります。
 Discordに参加すると講座の各ステージに合わせて細かく分かれたチャンネルが用意されていて、他の参加者と相談することも可能。メンター的な人がコメントしてることもありました。私はほぼ見てるだけでしたがCoCチャンネルで*1話した人から他国のCoC事情を聞けたりすることもあって面白かったです。時間食うので後半は封印してましたが。
 
 講座の目標として7月末に締め切りを設けて出版することが推奨されていましたが強制とか守れなかったらペナルティーとかそういうのは一切ないです。講座は期間が終わってからも見ることができます。なので単に参加してだらっと眺めるだけでも全然大丈夫なのですが、先に書いた通り実践的であるところに強みがある講座だったので参加するなら合わせて実際にシナリオを書いていくのが一番実りがあるんじゃないかと思います。
 

参加前のレベル

 良かったとは言っても筆者が元々どのくらい書いてるのか分からないことには参考にしにくいと思うので書いておきます。
 きちんと文章の形にしてまとめたことのある自作シナリオは一本あたりオフセ1時間~10時間程度のボリュームのものを40作ほど。どれも自分で回すかほしいという人に個人的に渡す程度で公開したことは一度もないです(そもそもまとまった文章にすらなってないアドリブとかメモ書きで終わるようなやつのほうが多い)。
 ネタさえまとまれば最低でも一日3000字くらいは安定して書けますが、まとまるまでの時間が30分だったり3年かかったりとまったく安定しません。「一日で一本完成させる」と決めれば休日一日でネタ出しから始めて~一万字程度のものを書けるくらい(テストプレイしてめちゃくちゃ直す前提)。
 というわけで、自分が回すという前提であれば一応書いて完成まではもっていける、が他人に見せるものを書くことはほぼない。他人に見せるつもりで直すとものすごい時間がかかる。あと締め切りを設けて書いたこともない。という感じだったと思ってください。
 

目標

 今まで全て我流でやってきたので、シナリオ執筆のための系統だった方法論を学び、自分の執筆スタイルに取り入れる。ネタ出し(というか自分の場合は散らかったネタをシナリオに使えるかたちで有機的に統合する方法)など安定しない部分をシステム化してある程度一定したペースで進められるようになればベター。
 最初から最後までできる限りワークショップの方法論に従い、一定のレベルを満たすシナリオを書く。せっかくなのでミスカトニックリポジトリ(有償でCoCのシナリオ販売するための公式のライセンスです)から一本出してドライブスルーで販売する、というのを目指していました。
 

結果

 8/7日に完成稿アップロード。私生活とかPCの問題とかで後半かなり触れない期間があったのが遅れの原因ですが何はともあれ完成しました
 当初の目標である散らかったネタを(期間内に)まとめる方法を学ぶ、というのは多分やりとげました。というのも、別に直接的に講座から学んだわけではないんですが、講座のスケジュールに合わせてはい次これ、次これ、とやっていくとどの工程もばしっと切り上げるために「今回はここからここまでの範囲の中で書こう」と決めてやらざるをえないので、先に枠を決めてしまうというのがなんだかんだ唯一の方法だなと……まあ薄々分かっちゃいたんですが諦念を得たというか。
 執筆のステージごとにどういう単位で区切っていくとやりやすいかという点は講座によって明確になったのでそこは大きい収穫でした。
 
 今回はインスピレーションがまとまるのを待つといういつものやり方ではなく、手を動かし自分で自分のペースを制御して完成までもっていくことができたので、運を天に任せなくてもシナリオを書くことができた(しかも人生初ちゃんと他人に公開するところまでいけた)という達成感が大きいです。すごーーく楽しかった。私生活落ち着いたらまた次書きます(というか書く分にはいつも書いてるんだけど、また書いたの公開します)。
 
 ついでに新しい課題も見えました。一番は他人に読ませるシナリオ文章を書くのは本当に骨が折れるということ。こういう気楽なブログ記事や小説だと気にしないのですが、ここはそれぞれの卓の求めるバランスやPLの提案に応じて各々自由にやってほしい……という箇所の処理についてどこまで書くかとか、細かい背景事情をどこまで書くかとか(正直よく分からんとこあったら捏造してもらっていいです、どのシナリオでも言えることですがその卓の中で辻褄が合えばいいので)シナリオという特殊な形式ならではの悩みがありました。自分で回すなら回すときにいい感じにアドリブすればいいんですけどね、他人に渡すとなるとね。あと校正を他人に頼めなかったので次からはちょっと考えたいです。
 

 

講座の各日概要メモ

 というわけでここから実際に講座でどういうことをやっていたのか日記代わりのメモから概要の分かる部分を抜粋していきます。
 

2-3日目 準備編

(※1日目に公開されたアクティビティの締め切りが2日目なので2日目から記録が始まっています)
 具体的な目標の設定、使うツールの調査と決定、講座の進行をふまえた予定表とToDoリストの構築、ありうる障害を最初に予測して心構えをしておく……などなど、準備段階ですがかなり細かくやることがありました。どれも普段はなんとなくでやらない場合がほとんどですが、締め切りある場合はちゃんとやるとやらないで全然違ってきますよこれ。本当に(と後で実感)。
 

4日目 アイデア出し&ムードボード

 ブレインストーミングでより多くのアイデアを出す重要性と具体的なネタ出しの方法について。最近ネタ出しに使ってる方法だとさっぱり思いつかなかったのでレッスンにあった方法を素直に試しました。データブック(ルルブのデータパートやマレモンなど)はすぐにアイデア出るけど安直かなあとかいう謎の思考から最近避けてたけどアイデアの数を打つ時はやっぱりこれですね。他にも色々あったのでそれぞれに合う方法が見つけられるんじゃないかと思います。
 
ミニ講座
 ムードボードやシナリオをイメージした音楽のプレイリストなどを作ってみよう!という講座。モチベ維持のために意外と大事なんだよ~という真面目な話をしていました。シナリオやPCのテーマソング設定する人はけっこういる気がするけどムードボードはあんまり見ないよね(著作権の関係で他人には見せてないだけかもしれないですが)。
 

5日目 Living Document

 Living Documentを作る。この語はちょっと相当する日本語を思いつかないんですが、しいて言うならキーパー情報とかデータとか全てひっくるめたシナリオ本文。あえて訳すなら「随時更新文書」とかになるのかもしれないですが、要は本番のシナリオを書いていくための文書ファイルを作ろうということ。
 真っ白なところから書き出そうとして手が止まるのを防ぐためにシナリオ本文のフォーマットを整備しようという感じでした。
 

6-7日目 アクセシビリティ

 Accessibilityについて。視覚障害がある人のためにスクリーンリーダーを使って読み上げやすいPDFを作るだとか、色覚異常の人にも読みやすい版面を作ろうといった話題でした。最近ユニバーサルデザインの一環で色覚異常への配慮はけっこう耳にするようになってますがディスレクシアとかにまで言及があったのはさすがでした。スクリーンリーダーが使えると別の作業しつつ読み上げでシナリオを聞いて確認したいというような場合にも使えるので、きちんとやれば万人にとって嬉しいPDFが作れるというわけですね。画像の代替テキストの書き方などもありアクティビティでしっかり練習しました。
 

8日目 ミスカトニックリポジトリについて

 6日目まではD&Dコースと共通の内容だったのですがここからCoC固有の内容に分かれました(また後日共通の部分も入ってきます)。
 この日は単純にミスカトニックリポジトリのガイドライン読め、という話でした。いやなんかね、権利的に出していい神話生物とか結構細かく読んどかないとまずいところあるんですよねこれ……。Discordもこの話題ではかなり賑やかだったような気がします。私も完璧に読めてる自信ないのであかんかったらまた出直します。
 ちなみに規約関係の話だけではなく、レイアウトの配布テンプレを確認してみようとか(日本語版はリンクがなかったので無いと思い込んでましたが最終盤になってどうしてもテンプレ確認しないといけない箇所が出てきて発狂してた時に偶然発見)Miskatonic Repository Additional Guidelinesのほうに載ってる商用利用無料の素材のあるサイトを探検してDLしてみようとかD&D共通の講義にはなかった準備段階その2的な内容も。
 

9日目 CoCのアイデア

 3日目のブレインストーミングの項でアイデア出しについては一度やったわけですが、CoC固有のアイデアについての講座がもう一度。ここのアクティビティはもう少し自分で発展させればシナリオのアイデアを涵養するのにいいフォーマットを作れる気がします。
 

10日目 障害

 アドベンチャーデザインにおける障害の種類について。これは自分でもっと詳しく具体例から何から色々分類して並べてあるネタ帳があるので流し見してアクティビティを一応やった程度ですが、自分ってあんまり人間の障害を活用しないなぁと気づきました。対カルトのシナリオもそれなりにあるんですけど、CoCだとどうしても神話生物とか呪文とかいじくってるほうが面白くてね……。
 

11日目 シナリオの構造

 CoCシナリオの構造について。形式上の構造(シナリオの背景とか導入とかNPCリストとかこういう項目をこういうふうに作ってね~)からシナリオ自体の構造を作る時の注意点まで非常に有用な回でした。とくに形式上の構造についてはいちいち自分で既存の公式シナリオ見て真似てとやるよりリストアップしてくれてるのを見ながら書く方が断然楽だったので実にありがたい記事でした。他人に読ませるための機能的な文章書く時に大事なのってなんだかんだ形式だよね。論文とか。
 シナリオ自体(ストーリー?)の構造については、目新しい内容があるというよりなるほどポール・フリッカー氏はこういうところに気を付けてほしいんだなというのを読むことができて面白かったです。フローチャート作るほどの流れがシナリオになかった(当初)のでフローチャート作りはサボった。
 

13日目 リサーチ

 リサーチについて。リサーチの必要性とやり方についての簡単な総説だったのでとくに新しく学ぶことはないかな~などと思ってたんですが、読んでてなるほどな~と思うところもあったのでちょっと気合入れてやりました。
 

14日目 シナリオテキスト

 CoCのシナリオテキストについて。かなり充実したレッスンでした。
 シナリオ中に出てくるさまざまなテキストの種類とその書き方、考え方、CoCのシステムにのっとった簡単なスタイルガイドのようなものまで。シナリオテキストは技術文書であるという点は常々意識していかなければならない点だと思いました。
 

15日目 NPC

 NPCの作り方について。これも非常に気合の入った回だったんですが、NPCに強いキャラクター性があるのがあまり好きではなくて無味無臭にしがちな自分にはけっこうなチャレンジでした。今回は自分のやり方ではなくコースの方法論に忠実に従ってやるのが目標なので色々と考えてみることに。
 NPCがうっとおしいのはキャラクター性のあるなしとは無関係でPCの活躍や達成感を奪う立ち位置に出しゃばってくる場合だけだと分かっちゃいるんですが、どうしても書き割りの舞台装置になってしまうのでもう少し中庸でいきたいですね。
 

16日目 悪役

 敵(悪役)の作り方について。アドベンチャーデザインにおける障害のレッスンを一部引き継ぎさらに発展させた内容。効果的な悪役を作り上げるためにこういう項目を埋めてみようというような便利なフレームワークもあったので人間のヴィランが出てくるときはぜひ使ってみたいと思いました。
 悪役も要はNPCであって作りこむのが苦手、というかそもそも作りこむ必要性をあまり感じていなかった(あるいは無視していた)分野なのでこの課はまたあらためて取り組む必要がありそう。
 

17日目 ハンドアウト

 CoCのハンドアウトの作り方について。プレロールドキャラクターの事前配布設定という意味だけじゃないですよ。プレイヤー配布資料全般のことです。マップやイメージ画像なども含。
 この時点で必要なハンドアウトについてあまりイメージが固まってなかったのでアクティビティでごりごり書き出したのがかなり執筆を進める助けになりました。
 

18日目 スランプの抜け出し方

 CoCの執筆に行き詰まった時の抜け出し方について。これでもかというくらいスランプ脱出のための方法が書かれていて正直ものすごく役に立ちました。
 自分がやっているのはリサーチ用の資料を余計に読む、他人のシナリオを読む、人に相談する、断片的な単語でもいいので思いついたことを片っ端から書く、くらいでしたが他にも色々とやり方があるものだなぁと。この日のレッスンのおかげでさらに執筆が進んだし新しいイベントも生えました。
 

21日目 描写

 雰囲気づくりのための描写の重要性とどんな描写を書くべきかということについて。機能的文章としての観点からシナリオに必要な描写について解説がありました。
 あまり長い詩や小説のような文章だととくにオフセで読み上げるにはちょっとう~んだし、無いと味気ない。簡潔だけど効果的な描写が必要なんですよね。どのような観点から文章を磨くべきなのかということについてあらためて考えさせられたレッスンでした。
 

22日目 テストプレイ

 テストプレイについて。テストプレイのやり方、フィードバックの受け方などについて基本的なところからしっかりとした解説がありました。テストプレイ中の進行については自分もやり方がふわふわしていた部分があったのでアドバイスを取り入れてみました。
 

23日目 編集

 編集作業について。編集者の仕事についてかなり詳しい説明があり、個人出版であってもフリーランスの編集者などを雇うことが勧められていました。外注作業にかかるセクションがあると思ってなかったので驚きましたね。料金の目安や編集者との協働の仕方など(英語圏向けですが)具体的に載ってて興味深く読みました。
 自前で校正する場合についてもちゃんと書いてありましたが、いずれにせよクオリティのために本文を書く以外の作業にもしっかり力を注ぐというスタンスのようです。
 

24日目 表紙デザイン

 表紙のデザインについて。一記事だけなのでさすがに最低限でしたが各種リソースの紹介、色やフォントの扱いについて解説あり。どの日の講義もそうでしたが、何故この項目をコースの中でとりあげる必要があったのか、それに時間を割くのがいかに重要かということが非常に丁寧に書かれていてどれも気を引き締めてかかろうという気分にさせてくれるのが地味にいいところだと思いました。
 別の記事で外部のかなり詳しいサイトが紹介されていたりしたので(長すぎてまだ全部読めてないくらい)、そういった追加のリソースで十分すぎるくらい補完できたと思います。
 

25日目 ページレイアウト

 ページレイアウトについて。表紙デザインと比べてかなり具体的な内容がありました。追加の講座にもレイアウトに的を絞ったものがあったので基本的な内容はほぼ網羅されていたのではないかと思います。
 DLしてそのまま使えるテンプレートなんかもあり。
 

26日目 マーケティング

 マーケティングについて。これも編集のように色々な種類のマーケティングについてきちんとした説明と基本の方法論があり、一言で言うとちゃんと戦略的に宣伝しろ!!っていう内容でした。ブログとか書くのもいいらしいので自分はとりあえずこの記事から。次の3か月間にわたってちゃんと宣伝しろって言うアクティビティなんですよ。3か月……?
 

27日目 クリエイターのコミュニティに参加する

 前半はゲームにおける心理的安全性を確保することについて。トラウマティックな内容についての警告(content warnings)やプレイ中に使うセーフティーツールについてですね。そのうち記事書こうと思って2年くらい放置してるな。
 後半はチーム制作(というか仕事としてのシナリオ制作)に参加したい人に向けての詳しいガイドなど。これから本格的にシナリオライティングの業界に入っていきたい人に向けての案内という感じでした。英語圏のコミュニティ向けですが基本的には万人に通じる内容なんじゃなかろうか。こういうのがちゃんとテキスト化されてるあたり業界を作る、コミュニティを作るという業界全体のはっきりした意識が見られていいですね。
 

31日目 まとめ

 まとめとして最後に各種プラットフォームでの出版の方法が案内されて終わり。有償シナリオにした場合はワークショップのバンドルに入れて色々広告してもらえるということで有償にすることが勧められてたんですが日本語シナリオほぼない環境で英語のバンドルに入れてもな……ということで今回はPay What You Want(買い手が任意で値段設定可、無料もOK)にしました。
 レッスン本体に加えてペップトークなどの追加コンテンツが公開される日もありましたが本筋には関係ないので割愛。あとRPG Writer Workshopの参加者に自動的に公開されるリソース集もあり、これが普通に一講座になりそうなくらいの文量がありました。ワークショップの各工程で扱った内容(ストーリーデザイン、マップデザイン、世界観デザイン、ゲームメカニクス、アイデア出し、アクセシビリティ、レイアウト、等等……)についての外部リソースが案内されていてより深く知りたい人向けに講座の内容を補完してくれるというわけ(D&D向けが多いですがCoCにも応用できるものはあります)。とてもじゃないですがすぐに全部見られるような量ではないのでこれからまたゆっくり勉強していこうと思います。
 

 おわりに&成果物について

 というわけで、長い記事でしたがお付き合いありがとうございました。
 それでこの講座を経て一体どういうシナリオができたんだ?と気になる方はよかったらDLしてってください。Pay What You Wantなので無料DLも全然OK、もしこの記事が面白かったら投げ銭代わりにでもいくらか値段設定してくださると喜びます。
 

www.drivethrurpg.com

 新規継続不問の短時間シナリオってやつなのでお気軽にどうぞ。

 

 DriveThruの使い方についてはTwitterで解説されてる方がいるのでこちらを参考にすれば登録→DLまでいけます。

 

 

*1:D&Dのコースもあってどちらかというとそっちの参加者がメイン

【小説】スティーヴン・キングのクトゥルフ神話的世界を探検する【映画】

……わたしが鉄てこでやっつけたように、やつらはラヴクラフトの小説に出てくる不死の生命を有する怪物などではけっしてなく、……
……凶運の都、古代の悪、発音もわからないような名前をもつモンスターたちといったラヴクラフト的な世界へさまよいこんだという彼の印象も、……
……だがこれが物語だとしても、ラヴクラフトブラッドベリやポーが書いた古典的な恐怖小説ではない。……
 
 このラヴクラフト大好きな小説家は一体誰だ?と思われた方もいるだろう。タイトルにもある通り彼の名はスティーヴン・キング、現代アメリカを代表するエンターテイメント作家の一人だ。
 
 『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』といった名作映画の原作者として知る人も多いと思うが、なんといっても彼の十八番はホラー。しかも、その多くにクトゥルフ神話要素が取り入れられている(あるいは、ラヴクラフトの影響が色濃い作品スタイルになっている)のである。
 「読み方によってはクトゥルフっぽい」とかではなく、上記引用のように非常に意識的な言及がある*1。また言及こそないものの明らかにラヴクラフト・スタイルを踏襲した作品も複数見られ、影響の大きさが伺える。
 
 クトゥルフ神話TRPGサプリメントマレウス・モンストロルム』には彼自身の作品から収録された神話生物もいる(これについては作品紹介で後述)ほどで、彼自身CoCというゲームの世界観にも影響力のある存在であることは間違いない。
 
 今回はそんなキングの著作から、読みやすく、神話的雰囲気を楽しめるいくつかの短編・中編を紹介する。
 ルールブックでおすすめされたラヴクラフト作品をある程度読んでみたが、他の作家の作品はないだろうか?あるいは、ラヴクラフトはちょっとお堅いかんじがして途中で手が止まってしまう。そんなあなたに特におすすめしたい。

 

 まずは短いものからいこう。

短篇

『N』

悪意に満ちた神々!
 とある神経症患者の記録から始まる、密やかにして奇妙な「世界を守る闘い」の物語。
 患者のテープの書き起こし、精神科医の手記、その他登場人物の手紙などから徐々に明らかになるこの世の綻びと、それに巻き込まれていく人々の狂気がつづられる。
 
 規模から言えば一度にメインをはる登場人物はせいぜい一人で、舞台もほんのささやかな空き地や病院の一部屋なのだが、その「世界の片隅」に茫漠とした宇宙的恐怖を描き出してみせる手腕は見事の一言
 
 CoCのシナリオを書く人にとっても登場人物の手記や手紙、正気を失いつつある人間の描写など、参考になる記述が盛り沢山の一作だ。

 
 

『トウモロコシ畑の子供たち』

「畝の後ろを歩く人、か」と、バートはイグニッションを切りながら呟いた。「たぶん、ネブラスカだけで使われている九千通りもある神の名前の一つだな。
 この『畝の後ろを~』という名前に見覚えのある方もいるだろう。マレウス・モンストロルムにも収録された*2、とある神格の化身である*3
 
 とある夫婦が旅の途上に訪れた、合衆国で『いちばん素敵な小さな町』、ガトリン──その町と、町を取り囲むトウモロコシ畑には邪悪な秘密があった。
 
 トウモロコシというのどかなモチーフを題材に神話的ホラーを描き出すことで、ある種のセンスオブワンダーすら与えてくれる珠玉の作品。
 主人公のちょっとした調査によって町の異様さがあらわになっていく様子や恐怖の源に追われる終盤の緊張感は、シナリオとしてもそのまま使えそうなほどの完成度がある。
 
 この『ナイトシフト〈2〉トウモロコシ畑の子供たち』には他にもちょっとしたクトゥルフ神話要素を覗かせる作品が収録されており、イチオシの短篇集といえる。

 

 ↑一応映画もあるが、円盤は高騰しているようなのでレンタルなどで探すほうが無難そう。
 

中篇

『霧』

「疑うものは最後まで疑うがいい! …(中略)… 霧のなかの怪物! 悪夢から出てきたいまわしいもの! 目のない異形のもの! 蒼ざめた恐ろしいもの! 嘘だと思うの? だったら外へ行ってごらん! 出て行って、挨拶でもしてくるがいい!」

 「後味の悪い映画」としてちょっとした知名度を誇る『ミスト(2007)』の原作中篇。映画版とは若干展開に違いがあるため、既に観たことのある人も新たな気持ちで読んでみてほしい(ただ本当に誤差程度やんけ!!と思う人もそれなりにいると思う。その場合は何卒ご容赦)。
 
 ある日突然霧に覆われてしまった町で、幼い息子を抱えてスーパーにたてこもった主人公は襲いくる恐怖に立ち向かう。
 モンスターパニック要素の強い本作だが、敵の正体を徹底的に底知れない「何か」として描くことで、決まった呼び名のない未知の恐怖、まさしくクトゥルフ神話的な恐怖の方向性を打ち出すことに成功している。
 ちなみに作中で引き合いに出される『物体X(※映画『遊星からの物体X』に出てくるモンスター)』も実はマレウス・モンストロルムに掲載済。映画の冒頭では主人公の背後に映画ポスターが貼ってある。

 
 映画のモンスター造形も非常に秀逸で、紋切り型でない「モンスター」の怖さを楽しみたい向きには合わせて是非ともおすすめしたい(個人的にギレルモ・デル・トロ作品のモンスターが好きなのだが、同じ趣味の方にはとくに◎のはず)。実写化としても比較的原作に忠実・かつ原作を知らなくとも面白く観られる成功作品の部類だと思う。
 映画は各種動画配信サービスにて視聴可能。

 ↑現在(2021/6/21)はAmazon Prime Videoの見放題にラインナップ中。見放題から外れても定期的に戻ってくるのでウォッチリストに入れておけばそのうち観られるはず。
Netflixにもありました。
 
 

 
 以上に紹介した作品はどれも非常にオススメのためどれか一作読むなら……というのが難しいのだが、しいて言うなら『トウモロコシ畑の子供たち』をお勧めする。電子書籍で買えるものから選ぶのであれば『ミスト』(『N』も面白いのだが、かなりの短篇のため読み応えを考えるとこちらに軍配が上がる)。
 
 
 キングの小説は図書館に置いてあることも多く、手軽にアクセスしやすいクトゥルフ神話(的)小説作家の一人だ。今回は紹介できなかった長篇小説も含め、気になるものがあれば一度読んでみてはいかがだろうか。
 キングの長篇は基本的に長いのとスロースターター(かわりに話が走り出すと読む手が止まらない)のため誰にでもいきなりおすすめとはいかないのだが、クトゥルフ要素を求めて挑戦するのであれば冒頭にも引用した『IT』をどうぞ(ITは映画版の旧作も有名だが、ITの正体や最終決戦など肝心のところが削られている)。

 おなじみ森瀬先生。

 
 

*1:実のところ、このようにラヴクラフトに言及する場合は大抵「ラヴクラフト的『ではない』」というような言い方でラヴクラフト的恐怖からは離れようとしているかのようにも思えるのだが、作品全体を通して読むとはっきりとした影響が見えてくることが多い

*2:マレウス・モンストロルムに引用されているケヴィン・A・ロスの『Dark Harvest』とは、2002年にPagan Publishingから出版されたシナリオ集『Out of the Vault』収録のシナリオ。

*3:作中で直接その神格について言及されているわけではない

【クトゥルフ神話TRPG】ルールブックに載っていない武器の技能値を決める方法(6版)

 即席でそのあたりの日用品などを武器として使う際、何の技能で判定してもらえばいいの!?と悩んだことのあるKP向けの記事。
 
 ただ同じ武器、あるいは同じ名前の技能でもサプリによってデータが違うことがあるので、あくまで筆者が見たことのあるデータから導き出したおおざっぱな分類ということでご了承ください。
 最終的にはルールブックや採用しているサプリを元に、KP裁量で決めてしまって大丈夫です。
 
 これはKP向けの記事なので、PC作成にあたって特殊な武器技能をとりたいというPLさんは必ずKPに相談してください。
 

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①こぶしを使うもの

 基本的に、①刃がなく②手の中に握りこんで使えるサイズ(スタンガン*1程度まで)のものは<こぶし>を使っていることが多いです。
 石などの固いもの・重量のあるもので殴る場合は1程度の固定値がつきます(メリケンサックのような装着型の武器でも同様)。手に握れる程度のサイズである以上それよりダメージが増えることは稀なようです。
 
 手からはみ出るサイズ(だが棍棒というには短すぎる)となると<こぶし/小さな棍棒>のようにどちらで判定してもよい、という扱いになっていることもあり、その場合は1D◯の◯が<こぶし>の基本ダメージより多少大きかったりします。机上の大きい文鎮で殴るぜ!という場合などこれに当てはまるかもしれません。
 
 

棍棒を使うもの

 刃のない物体は①のように<こぶし>で使うもの、<投擲><鞭>のような特殊な使用法のものを除くと基本的には<大きい棍棒><小さい棍棒>を使用します。
 
 物体を振り回してその遠心力や重量で殴るようなものは大抵棍棒だと思ってよいでしょう。
 両手で使うサイズ/重量のものは<大きい棍棒>片手で使えるものは<小さい棍棒>という判定のことが多いです。
 
 あるいは<ブラックジャック>のように敵に当てるのが容易なものならば<ブラックジャック>と同様の初期値を使ってもよいでしょう。
 
 

③刀剣技能を使うもの

 刃があったり、物体を貫けるほど鋭いものは各種刀剣や槍、斧技能のうち近いものと同じ初期値を使います。
 武器の特性としては、
①サイズ及び重量はどの程度か?②片手で使うのか?両手で使うのか?③刺して使うのか?斬って使うのか?④柄や刃の形状は?
 あたりを考慮するとよいでしょう。
 
 ただ刃のある武器=刀剣、槍類とくくってしまうのもちょっと雑で、例えば1920IC掲載の鎌類は<大きい棍棒>になっています。
 形状としては斧に近そうですが斧のように重量で叩ききるという使い方ではありませんし、かといって刀剣や槍のような使い方でもない→とりあえず振り回して当たればOKなので棍棒、という感じなのかもしれません。
 武器は殺傷に至るメカニズムにかなりバリエーションがあるので、変わった武器が使われる可能性がある場合は事前に考えておく(か、悩んだら大雑把に汎用的な技能を使うことにする)とよいでしょう。
 

 

 

④投擲

 普段は手に持って使う物体であっても、投げて当てる場合の判定には<投擲>を使用します。
 
 

⑤鞭など

 単に手に持って使うのとは明確に違う技術を要求される武器がいくつかあり、鞭もそのひとつです。
 どうしても棍棒、刀剣といった上記の分類にはおさまりきらない、と思った場合は特殊な用法の武器ということで鞭と同程度の初期値を採用するとよいかもしれません(鞭の技能値についてはルールブックを参照)。
 
 

⑥電気修理、化学など

 爆発物など、自分の身体能力に依存しない攻撃手段で、なおかつ安全に扱うのに専門知識が必要な場合は各種専門知識で判定することになります。
 p.71などからも分かるようにこれは設置型の場合で、敵に投げつけたりするならば<投擲>等の判定を使うことになるでしょう。
 
 

⑦DEX

 ルールブックのp.70にもDEXを用いる武器が載っていますが、このように自分の身体能力に依存せず、電気や化学物質等を扱うほどの専門知識も必要ないがとにかくそれを『うまく扱えたかどうか』の判定が必要な場合の最終手段にはDEXを使います。
 
 あるいは貫通のある武器を板などに押し当て、力を加えて穴をあけられたか判定する、というような状況であれば、その武器自体を扱う技能は必要ありませんから筋力ということでSTRを使ったり、どれだけの体重をかけられたかということでSIZを使ったりするような状況もあるかもしれません。
 
 このように使い方次第で判定の変わるアイテムというのはちょくちょく存在しますが、自分が見たことのある中でも頻出かつ判定のバリエーションが多いように思うのは松明です。こぶし、DEX、棍棒(サイズに応じて大きいのも小さいのも)など。棍棒を使う場合は(火をつけにいくというより殴るので)火傷ダメージはなしとしたり、また火がつくかどうかを別途幸運で判定したりと様々な裁定があります。殴りたいのか、単に火が相手に燃え移ればよいのかなどPLの意図に応じて判定をアレンジする心構えが必要です。
 
 
 

具体的な武器・技能データの掲載されているサプリメント

 特徴的な時代や地域を扱ったサプリメントには技能や武器の追加データがちょぼちょぼ載っていることが多いのでこれ以外にも色々とあるのですが、追加の武器データなんかを見たい場合に基本的なサプリメントを紹介。
 

クトゥルフ2010, 2015

 武器のみならず技能、職業など現代日本向けのデータが全体的に充実したサプリです。詳しくはリンク先の商品説明やレビューを参照してください。
ただ、紹介記事などで言及されている『日用品の武器データ』は下で紹介する1920ICに同じものがある(というか多分こっちが元ネタ)のでそこが気になっている場合1920ICを買う方が圧倒的に安いです(このデータだけを目的に2010を買う人はあまりいないとは思いますが)。
 
 

1920IC(1920s Investigator's companion)

 その名の通り1920年アメリカを遊ぶためのサプリメントで、火器が中心ですが海上で使える武器や工具箱の中身を使う場合の技能やダメージなど様々な武器データが充実しています。

 内容や入手方法についての詳しい紹介記事はこちら↓

 

*1:目にしたことのある中で一番大きいのがスタンガン程度のサイズ感のものだったというだけで、どこかに明確な基準が記載されているわけではないです

【クトゥルフ神話TRPG】悪霊の家から考える良い初心者向けシナリオの条件

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 長らく基本ルールブックに収録され、初心者向けシナリオと言われれば必ず名前が挙がる『悪霊の家』。もしかするとなじみがありすぎて何がすごいのかよく分からないという方もいるかもしれませんが、実は初心者向けに必要な要素がよく作りこまれており、非常に完成度の高いシナリオなのです。
 初心者向けシナリオを選ぶとき、どんな要素に気をつけるとよいのか?『悪霊の家』を例にとって考察します。
 6版と7版ではシナリオの大筋はほぼ変わりませんので、基本的には6版ルールブック掲載分を参考にしつつ、必要があれば7版変更箇所にも触れる形で進めていきます。
 
※以下は初心者PL向けシナリオを探しているKP向けの記事です。シナリオ内容のネタバレがありますので、これからPLとして遊ぶ方は続きを読まないでください

【クトゥルフ神話TRPG】1920年代アメリカで遊べるジャズエイジサプリ【職業140種】

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 1920年代のアメリ、いわゆるクラシックの時代、ジャズエイジで遊びたい場合にぴったりのサプリメントを紹介する。
 当時の時代情勢、技術、文化、職業などが網羅され、特に職業は圧巻の140種類掲載。分割pdfでセール時に買えばだいたい3$台(通常時でも5$台)でこれだけの職業データを手に入れることができる。
 
 なに、英語は読めないって?ご心配なく。そんなあなたのために、英語サプリを読みたい人のための職業技能単語集も用意した。これと照らし合わせれば職業名および職業技能のデータは完璧に読めることをお約束しよう。

 82種類の火器データや日常のアイテムを武器にする場合のデータリスト*1など英語の文章が読めずとも名詞の単語をちょいちょい翻訳するだけで理解できる部分も多く、活用できるのは職業データにとどまらない。

 合本版pdfもセール時は5$台、通常時ですら9$弱のため、掲載されている情報量に対して非常にお買得の一言。1920年代に役立つサプリを探しているならぜひ購入を考えてみてほしい。
→DriveThruの購入ページへ(支払いはクレジットカードおよびPayPalなど)
 分冊版pdf vol.1(武器データの掲載はこちら)
 分冊版pdf vol.2(職業データの掲載はこちら)
Amazon.jpの購入ページへ(パラパラ眺めるのに便利な合本版の紙版)
 
 以下に詳しい内容を紹介していく(ページ表記は紙の合本版に準拠します)。

 

ジャズ・エイジ概観

AN OVERVIEW OF THE JAZZ AGE
p.6~12
 
 社会情勢、禁酒法とギャング、大衆娯楽、1920年代のワードローブなど、まず時代の大まかな雰囲気を掴むための概論を掲載。
 さらにミニコラムとして
Songs of the 20s
Films of the 20s
Sports of the 20s
Books of the 20s
の4つがある。
 各1/3~1/2ページ程度の小さなコラムだが、歌、本、映画は一年ごとにその年の有名作が載っており、舞台となった年に合わせて「店内では最近発表されたガーシュウィン*2の新曲、"I Got Rhythm"が演奏されている」だとか「このPCはチャップリンの『黄金狂時代』に感銘を受けて映画監督を目指している駆け出し映画クルーです」だとかKPとしてもPLとしても時代感を出す小ネタとして活用することができる。
 

1920年代年表

CHRONOLOGY OF THE TWENTIES
p.13~14
 
 1920~30年間の世間情勢やビッグニュースを一年刻みで解説。ミッキーマウスのデビュー年なんかもあり。
 

探索者をプレイする

PLAYING AN INVESTIGATOR
p.16~17
 
・キャリアと財産
・友人と家族
・協力者
・引退
 
 などなど、探索者引退までの人生設計についてリアリティをもってキャラクターを掘り下げるヒントが書かれている項。
『遺言を書く』という項で探索者が遺言を残す際の法的手続きについてちゃんと書かれてるのがなかなかキマッてて好きです。そのうち書きたい。
 

1920年代の職業 

1920s OCCUPATIONS
p.18~57
 
 140種類の職業掲載!
 
 各職業の技能のみならず社会的地位、経済状況、社会的コネクション、任意で採用できる特徴が掲載されている。
 特徴は「CONとSTRが+1、自分の農場を持っていれば信用に+20」といったものから「初期SAN値から-20、普段から半発狂状態のかわりに一時的発狂に耐性がある」のようなユニークなものまで。
 職業の詳細については、職業名が分かれば日本語でも調べられるが本の説明文もそう難しい文章ではないのでDeepL等の自動翻訳で十分把握できる。長めの解説文のある職業でいくつか試してみたが大意把握に問題はなかった*3*4
 
 表題から想像される各種スタンダードの職業はもちろん、バラエティ豊かな周辺職業が見どころだ。個人的にはほしい技能に合わせた職業を細かく探せるのが一番いいところだが、時代性があり思わずロールプレイしてみたくなってしまうようなワクワクする職業がたくさん見られるのも魅力。大分類の表題および表題から分かりにくい周辺職業やマイナー職がある場合は合わせて紹介。
 
 
冒険者と命知らず
 表題の冒険家に加え飛行士、レースドライバー、トレジャーハンターなど
芸術家
 創作者とパフォーマーの二分類。前者は通常の芸術家職各種に加えて写真家など、後者はジャズ・ミュージシャンやエージェント、映画クルーなども
アスリート
 各種プロアスリートの他コーチやトレーナーなども
ビジネス
 エグゼクティブ、秘書、株式仲買人など。
 ちなみにここに掲載されている会計士の職業技能はコンパニオン掲載のものとは違い、『Accounting, Accounting, Accounting, Credit Rating(経理経理経理、信用)』となっている。経理のしすぎで発狂したのだろうか(この項を執筆した人が)。
聖職者
 神父と牧師が分かれているなど細かい職業分け、またカリスマカルト指導者やラビなんかも
犯罪者
 各種詳細に分類された犯罪者のみならずギャンブラー、スパイなども
報道
 各種ジャーナリストのほかコラムニストやラジオアナウンサーなど
労働者
 地方および都市。鉱夫やカクテルウェイトレスなど
法執行機関
 各種警察、探偵や法医学専門家、保安官なども
法曹
 法曹三職に加え保釈保証業者
医療職
 内科と外科が分かれた医師職に加え、ナースや技師なども
精神保健職
 医療職からは独立
軍事
 正規軍の職業のみならず傭兵なども
政治家
 大使や大物政治家なんてのもある
研究職
 学生なども含む
その他
 フラッパー、墓掘り人、司書など15種
 

1920年代の技能

1920s SKILLS
p.58~68
 
 大部分はルールブックと同じ技能(のうち20年代に存在しているもの)だが、時代に合わせた詳細な解説(当時の一般的な応急手当セットには何が入っていたのか?当時の電気修理の技術レベルではどんなことができたのか?当時の《組み付き》のプロフェッショナルといえば?当時の高跳び(《跳躍》)の人類最高記録は?当時のオカルト界の情勢や有名書は?)がついているのが嬉しい。
 

調査と情報源

Research&Resources
p.70~79
 
・公的記録
・新聞
・図書館、博物館
 当時使えた情報提供機関とその提供サービス(新聞の切り抜きサービスなど)について。
 当時のアメリカにおける情報調査手段がこれでもかと並べられ、探索者のリサーチライフが充実すること間違いなし。もちろんミスカトニック大学オーン図書館もある。
 (そこまで使うかどうかは別として)圧巻なのが見開き2ページ一面の当時の国・地方別新聞紙一覧で、なんと日本の朝日新聞毎日新聞も載っている。アメリカは州ごと、それ以外の地域(アフリカとオセアニアを除く)は国ごと。
 
 また探索者が助言を求めて訪ねうる「専門家」の3ページにわたるリストがあり、エドガー・ケイシーニコラ・テスラなども掲載されている。
 

交通と旅行

TRANSPORT&TRAVEL
p.80~94
 
 短距離&長距離の交通機関、当時の道路交通&旅行事情について。
 アメリカ国内の自動車およびバイクブランドやその商品の解説&各種車両データ(クーリッジの乗っていたキャデラック314の値段、座席数、HPは?当時のハーレー・ダビッドソンの販売モデルは?)、その他陸海空の移動手段、航空機メーカーや航空機の機種、またそれぞれの性能などなど。航空機のナビゲーション技術についてのコラムなどもあり、当時の交通とその技術についてセッションの細部を詰めるのを助けてくれる充実の内容。
「フォードのモデルTじゃマフィアとの銃撃戦には耐えられなさそうだし、頑張ってビュイック買わない?」とかいう会話ができる。
 

装備と武器

Equipment&Arms
p.95~114
 
 装備パートは探偵の使う鍵開けセットの値段、カーバイドランプ/ガスランタン/懐中電灯などの当時使えた照明器具、写真機や録音機についての詳細など1920年代の探索者に役立ちそうな各種装備の情報を掲載。
 
 ただページ数的に言えば9割は武器情報である。
 各種の棍棒やナイフは当然のことながら海中で使える武器、剣、槍、ブーメランやチャクラム、ヌンチャク、手裏剣のようなマイナー武器のデータもあり。
 個人的に重宝しているのが即席武器のデータで、ノミ、バール、鎌のような工具、農具類から、本棚を倒して下敷きにした時のダメージ、フライパンやレンガ、ガラスのコップで殴った時のダメージなど日常のアイテムで戦う際に使えるデータが満載。
 なお当然のことながら最も充実しているのは火器データで、当時使えた拳銃/ライフル/ショットガン/マシンガンのデータが合わせて圧巻の82種類(ダメージなどの詳細なデータはp.112,113のテーブルと照らし合わせて決定する*5。ルールブックと違い、メジャーなものやおすすめの型番にはそれぞれしっかり解説がついている。ちなみに日本からも三八式歩兵銃、二十六年式拳銃、南部式拳銃が登場。
 1920年アメリカでのドンパチを満喫したいあなたに十二分に応えてくれるだろう。
 

プロフェッショナルとしての探索者

The Professional Investigator
p.116~119
 
 アマチュアとしてではなく、私立探偵のように依頼人と契約したりライセンスを入手した上でプロフェッショナルとして事件の捜査にあたるための方法が書かれている。
 また犯罪現場を調査するための具体的な技術、聞き込みの技術など探索の精度と解像度を上げる話題が満載。
 

1920年代の法科学技術

1920s Forensic Arts
p.120~125
 
 クラシックの時代を遊ぶ上で悩むのは、やはりなんといっても「この時代にこの技術はあったのか?」という点だろう。このセクションでは、ガスライト(1890~)の時代から1920年代にかけて用いられていた犯罪捜査技術とその発展について非常に詳しく書かれている。
 前科のついた犯人はどのように登録されていたのか?人間の血の染みを識別することはできたのか?それにはどのような技術が用いられていたのか、探索者がそれを使うことはできるのか?様々な物質を同定する方法は?当時の医者にはどの程度の検死技術があったのか?指紋はどのように使われていたのか?弾道学は?写真術は?当時の検死官はどのように働いていたのか?死因審問の進め方は?死体は死後どのように変化していくのか?……などなど、科学技術上の話題から警察のシステム面まで幅広くカバーしている。
 死体や警察捜査のあるシナリオを回すKP、あるいはそういったシーンのあるシナリオを書きたいシナリオ製作者にとって非常に役に立つセクションであることは間違いない。
 
 

おわりに

 各種英語のルールブックやサプリはChaosium公式DriveThruRPGなどからpdfで安価に入手することができる(高くはなるがもちろんAmazonなどで紙版を買えるものもある)。
 そのようなサイトでは日本語版で5000円を越えるようなサプリが3分の1、セール時にいたっては5分の1程度の値段で買えることも普通なので、この1920ICのようにデータの多いサプリは英語版を買ってみるのも手だ(というか1920ICに関しては日本語版がないのだが)。
 DriveThruRPGはFacebookログインが使え*6PayPalで支払いできるので比較的気軽に利用できるオンラインTRPGストアだ。データ集、シナリオ、ランダム表などで無料配布されているものも多い。何より日本語ではなかなか読めない地域・時代の様々なサプリが目白押しだ。ガスライトやジャズエイジに興味のある方は一度覗いてみてはどうだろうか。
 
 ↓DriveThruの購入ページへ(支払いはクレジットカードおよびPayPalなどが使用可能)
 分冊版pdf vol.1(武器データの掲載はこちら)

 

 分冊版pdf vol.2(職業データの掲載はこちら)

 

 合本版pdf

 

Amazon.jpの購入ページへ(パラパラ眺めるのに便利な合本版の紙版)

 

*1:vol.1掲載

*2:もちろん『ラプソディ・イン・ブルー』のガーシュウィン

*3:例外は軍隊の階級などの状況によって大きく訳語の変わる名詞だが、厳密にこだわるのでない限り問題はないだろう。厳密にしたい場合はアメリカの軍制の歴史を日本語で調べればよいと思われる

*4:pdfのコピペが行の折り返し部分で切れて訳しにくい場合はChrome拡張のPDF Viewerで開いたものからコピペするとよい

*5:データを見る方法が少々分かりづらいかもしれないので、ひとつ例を挙げておく。

p.110の表の下から5つ目、Winchester M1887 Lever-Actionのデータを調べてみよう。
まずGauge(口径)を見ると、10/12とある。この場合10-gaugeでも12-gaugeでも好きなほうを選んでよい。Shotgun Damage and Base Rangeの表からLarge Gaugeの中にある10/12-gaugeを探す。
今回は10-gaugeを選ぶことにするが、ショットガンには2種類の弾丸がある。slug(スラッグ)でもbuckshot(バックショット)でも、ダメージと射程を見比べ好きなほうを選ぶ。
buckshotを選ぶ場合はさらに基本射程と威力の違う3種類があり、今回はなるべく近距離で高威力を狙いたいので4D6+2、基本射程10ヤードの10-gauge buckshotを選んだ。
次にRate of Fire(1ラウンドの攻撃回数)の表を探す。10-gauge buckshotはLarge GaugeなのでRifles and Shotgunsの下にあるLever-Action内のLarge Gaugeを見る。Rate of Fireは1(3/2)だ。普通は1ターンに1回だがKPの同意があれば75%以上の高技能者はカッコ内のレート、つまりこの場合は2ターンで3発撃つことができる。
Reloading Times(リロードにかかる時間)はSide-Loadingなので1ラウンドあたり2カートリッジだ。
最後にMalfunction Table(故障ナンバー)のLever-Actionの部分を確認し、Clean(きれいな状態)、Neglected(手入れがおろそかな状態)、Dirty(手入れされていない状態)それぞれのナンバーを確認して終了

*6:もちろん普通にLog In→New Accountからメールアドレスを登録してアカウントを作ることもできる

海外サプリを読みたい人のためのクトゥルフ神話TRPG英単語集<技能編>

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 英語の海外サプリにデータがいっぱいある!読みたい!でも用語が分からん!!というあなたのための英単語集。CoC7版ルールブック、7版探索者ハンドブック(未訳)、6版探索者コンパニオン(未訳)に掲載されている技能の英語⇔日本語対照表です。
 調べたい単語でページ内検索(Ctrl+F)すればそのまま出てくると思いますが、複数語の組み合わさった用語は一発で引っかからないかもしれません。その場合は用語の一部の単語だけで検索してみてください("one interpersonal skill"で引っかからなかった場合はinterpersonalもしくはskillだけで検索してみるなど)。
 
 このリストは(新)クトゥルフ神話TRPG日本語版ルールブックと訳語を揃えており、一般的な訳語とは異なる可能性があることをご了承ください。日本語版のないものについては説明文から適当であると思われる訳語を記載してあります。また、ゲームにおいて使用する技能名としての訳語ですのでその点においても一般的な訳語とは異なる可能性があります。
 筆者が英語版を持っていて日本語版を持っていないサプリの場合、公式から出ている日本語版と訳語が違う可能性があります。その場合公式の日本語版と同じ訳語を使う必要があるかどうかはKPに聞いてください。

 単語参照元

A

Accounting
Acting 例:Art/Craft (Acting)
演劇
Aircraft 例:Pilot (Aircraft)
航空機
Alpine 例:Survival (Alpine)
高山
Animal Handling
動物使い
Anthropology
人類学
Appraise
鑑定
Archaeology
考古学
Arctic 例:Survival (Arctic)
極地
Art/Craft, Art and Craft
芸術/製作
Artillery
Astronomy 例:Science (Astronomy)
Auto 例:Drive Auto
自動車
Automobile 例:Drive Automobile
自動車
Axe 例:Fighting (Axe)
 

B

Barber 例:Art/Craft (Barber)
理髪
Bargain
値切り
Bayonet
銃剣
Biology 例:Science (Biology)
生物学
Block
ブロック(各種スポーツ競技においてパスやシュートなどを防ぐ)
Boat 例:Pilot (Boat)
船(※日本語でいうところのボート=rowboatに限らない)
Botany 例:Science (Botany)
植物学
Bow 例:Firearms (Bow)
Brawl 例:Fighting (Brawl)など
格闘
Bus 例:Drive Auto/Bus
バス
 

C

Calligraphy 例:Art/Craft (Calligraphy)
書道
Carpenter 例:Art/Craft (Carpenter)
大工仕事*1
Carpentry 例 Art/Craft (Carpentry)
大工仕事
Chainsaw 例:Fighting (Chainsaw)
チェーンソー
Charm
魅惑
Chemistry 例:Science (Chemistry)
化学
Climb
登攀
Club
棍棒  cf. Large Club=大きい棍棒、Small Club=小さい棍棒
Comedian 例:Art/Craft (Comedian)
お笑い*2
Computer Use
コンピューター
Conceal
隠す
Cook 例:Art/Craft (Cook)
料理
Credit Rating
信用
Cryptography 例:Science (Cryptography)
暗号学
 

D

Dancer 例:Art/Craft (Dancer)
ダンス*3
Demolitions
爆破
Desert 例:Survival (Desert)
砂漠
Disguise
変装
Diving
ダイビング
回避
Dream Lore
伝承(夢)
Drive
運転
 

E

Electrical Repair
電気修理
Electronics
電子工学
Engineering 例:Science (Engineering)
工学
English
英語(※英語サプリ記載の職業技能に「英語」とあるときは=母国語の可能性がある。とくに1920ICなど舞台が英語圏(1920ICの場合はアメリカ)であるサプリはその可能性が高い)
 

F

Farming 例:Art/Craft (Farming)
農業
Fast Talk
言いくるめ
Fighting
近接戦闘
Fine Art 例:Art/Craft (Fine Art)
絵画
Firearms
射撃
First Aid
応急手当
Fist/Punch
こぶし
Flail 例:Fighting (Flail)
フレイル
Flamethrower 例:Firearms (Flamethrower)
Forensics 例:Science (Forensics)
法医学
Forensic Surgery
法医学手術
Forgery 例:Art/Craft (Forgery)
文書偽造
 

G

Garrote 例:Fighting (Garrote)
絞殺ひも
Geology 例:Science (Geology)
地質学
Grapple
組み付き
 

H

Handgun 例:Firearms (Handgun)
拳銃
Head Butt
頭突き
Heavy Weapons 例:Firearms (Heavy Weapons)
重火器
Hebrew
Hide
隠れる
歴史
Hook
Hypnosis
ヒプノーシス
 

I

impale
貫通
instrument 例:Art/Craft (instrument)
楽器演奏*4
Intimidate
威圧
interpersonal skill
対人関係技能(one interpersonal skill=対人関係技能から1つ、two interpersonal skills=対人関係技能から2つ)
 

J

Jump
跳躍
 

K

Kick
キック
Knife
ナイフ
 

L

Latin 例:Other Language (Latin)
Law
法律
Library Use
図書館
Listen
聞き耳
Literature 例:Art (Literature)
文学
Locksmith
鍵開け
Lore
伝承
 

 M

Machine Gun 例:Firearms (Machine Gun)
マシンガン
Marine 例:Natural History (Marine)
海洋
Mathematics 例:Science (Mathematics)
数学
Mechanical Repair
機械修理
Medicine
医学
Meteorology 例:Science (Meteorology)
気象学
Morris Dancer 例:Art/Craft (Morris Dancer)
モリスダンス*5
 

N

Natural History
自然史
Natural World
自然
Navigate
ナビゲート
Necronomicon (History of) Lore
伝承(ネクロノミコン)(例えばその歴史)
 

O

Occult
オカルト
One-handed
片手
Opera Singer 例:Art/Craft (Opera Singer)
クラシック歌唱*6
Operate Heavy Machinery
重機械操作
Other Language/Language, Other
ほかの言語
other skills
ほかの技能(any one other skill=任意のほかの1つの技能、 any two other skills=任意のほかの2つの技能)
Own Language
母国語
 

 P

Painter and Decorator 例:Art/Craft (Painter and Decorator)
塗装と装飾*7
Persuade
説得
Pharmacy 例:Science (Pharmacy)など
薬学
Photography 例:Art/Craft (Photography)
写真術
Physics 例:Science (Physics)
物理学
Pick Pocket
スリ
Pilot
操縦
Plumbing 例:Art/Craft (Plumbing)
配管
Potter 例:Art/Craft (Potter)
陶芸*8
Psychoanalysis
Psychology
心理学
 

R

Read Lips
Ride
乗馬
Rifle/Shotgun 例:Firearms (Rifle/Shotgun)
ライフル/ショットガン
Rope(Western Lawmanの職業技能)
投げ縄
Roping(Firemanの職業技能)
ローピング(縄をかけて壁などを登り下りする)
 

S

Science
科学
Sculptor 例:Art/Craft (Sculptor)
彫刻*9
Sea 例:Survival (Sea)
Short Hand 例:Art/Craft (Typing or Short Hand)
速記
Shotgun
ショットガン
Singer 例:Art/Craft (Singer)
*10
Sleight of Hand
手さばき
Sneak
忍び歩き
Spear 例:Fighting (Spear)
槍(投げ槍の場合は投擲)
Spot Hidden
目星
Stealth
隠密
Straight Razor
西洋剃刀
Submachine Gun 例:Firearms (Submachine Gun)
Survival
サバイバル
Swim
水泳
Sword 例:Fighting (Sword)
刀剣
 

T

Technical Drawing 例:Art/Craft (Technical Drawing)
テクニカルドローイング、製図
Tennis Racket 例:Club (tennis racket)
テニスラケット
Throw
投擲
Track
追跡
Tractor 例:Drive Auto/Tractor
ラクター
Truck 例:Drive Auto/Truck
トラック
Two-Handed
両手
Typing 例:Art/Craft (Typing or Short hand)
タイピング
 

U

UFO Lore
伝承(UFO)
 

V

Vacuum-Tube Blower 例:Art/Craft (Vacuum-Tube Blower)
真空管ガラス吹き
Vampire Lore
伝承(吸血鬼)
Veterinary 例:Medicine (veterinary)
獣医学*11
 

W

Wagon 例:Drive Wagon
馬車
Welding 例: Art/Craft (Welding)
溶接
Werewolf Lore
伝承(人狼
Whip 例:Fighting (Whip)
Writer 例:Art/Craft (Writer)
執筆*12
 

Y

Yaddithian Lore
伝承(ヤディス星)
 

Z

Zoology 例:Science (Zoology)
動物学
 

その他職業技能まわりで使われる英語表記

(any) 例:Art/Craft (any)など
・(技能名のあとにカッコ付きで(any)とある場合は)専門分野を選ぶ
・(any ○ other skillという使われ方の場合は)任意の
any one other skill=任意のほかの1つの技能、 any two other skills=任意のほかの2つの技能
訳語は違うが意味は同じ、「なんでも」という意味。(なんでも好きな)専門分野を選ぶ、他の技能のうちから(なんでもとりたいものを=任意で)1つ選ぶ
appropriate 例:Survival (Alpine or as appropriate)
適切な(例はサバイバル(高山、もしくは適切なものを選ぶ))
area(s) of interest 例:four different areas of interest
興味のある分野、関心分野(例は「4つの異なる関心分野」)
as academic specialties
研究の専門として
as academic or personal specialties
研究もしくは個人的な専門として
as personal specialties
個人的な専門として
as era specialties
時代に特色的な技能として
 
e.g. 
たとえば
either (of) X, Y
XかYかどちらか
either of the following 例:either of the following as a personal specialty
以下のうちのいずれか(例は「個人的な専門として以下のうちいずれかを選ぶ」)
employment skill(s)
職業上の技能
era 例:two other skills as personal or era specialties
時代(例は「個人的あるいは時代に特色的な技能としてさらに2つの技能」)
 
field of study
(研究の)専門分野
following 例:two of the followingなど
以下の(例は「以下の2つ」)
 
Occupation Skill Points
職業技能ポイント
or
もしくは
other 例: any four other skills
ほかの(例は「任意のほかの4つの技能」)
others 例: Science (Chemistry and two others)
ほかの(例は「科学(化学とほか(の分野)2つ)」)
 
plus
加えて、プラス
possible 例:plus possible employment skills
ありうる、考えられる(例は「加えて職業上の技能として考えられるもの」)
 
(s) 例:Art(s)
例の場合は芸術技能一つもしくは複数の意。とくにArt(s)以外の職業技能が合わせて6つ以下の場合は芸術を複数種取得してもよいだろう。
skill, skills
技能、技能(複数形)
specialisms 例:plus four specialisms from the followingなど
専門(例は「加えて以下から4つの専門を選ぶ」)
specialist 例:as personal specialties or specialist reading topicsなど
専門家(例は「個人的な専門またはreading topics=記事を読む*13 のspecialist=専門家 として」)
Specializations 例:Art and Craft (Specializations)
専門分野を選ぶ*14
such as~
~のような
 
Uncommon 例:Animal Handling (n%)[Uncommon]
まれ
up (to) 例:up three fields of study
~まで。例は「(研究の)専門分野を3つまで」
 
varies 例:Fighting(Specializations)(varies %)
(varies %とある場合は)基本成功率はさまざま
varyは「変わる、変える」。(ものによって成功率は)さまざまに変わる、の意
 
 

*1:字義通りには「大工」

*2:字義通りには「お笑い芸人、コメディアン」

*3:字義通りには「ダンサー」

*4:字義通りには「楽器」

*5:字義通りには「モリスダンサー」

*6:字義通りには「オペラ歌手」

*7:字義通りには塗装工、装飾家

*8:字義通りには「陶芸家」

*9:字義通りには「彫刻家」

*10:字義通りには「歌手」

*11:字義通りには「獣医」

*12:字義通りには「ライター(職業)」

*13:文字通り単に読み物をするというよりレファレンス技術の一部として資料全般を読む技能の話だと思われる

*14:字義通りには「専門分野」

海外サプリを読みたい人のためのクトゥルフ神話TRPG英単語集<職業編>

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 既存の日本語ルールブックやサプリに載ってない職業データを知りたい!
 英語の海外サプリにデータがいっぱいある!読みたい!でも用語が分からん!!というあなたのための英単語集。CoC7版ルールブック、7版探索者ハンドブック(未訳)、6版探索者コンパニオン(未訳)に掲載されている職業の英語⇔日本語対照表です。
 調べたい単語でページ内検索(Ctrl+F)すればそのまま出てくると思いますが、複数語の組み合わさった用語は一発で引っかからないかもしれません。その場合は用語の一部の単語だけで検索してみてください("one interpersonal skill"で引っかからなかった場合はinterpersonalもしくはskillだけで検索してみるなど)。
 
 このリストは(新)クトゥルフ神話TRPG日本語版ルールブックと訳語を揃えており、一般的な訳語とは異なる可能性があることをご了承ください。日本語版のないものについては説明文から適当であると思われる訳語を記載してあります。また、職業名としての訳語ですのでその点においても一般的な訳語とは異なる可能性があります。
 筆者が英語版を持っていて日本語版を持っていないサプリの場合、公式から出ている日本語版と訳語が違う可能性があります。その場合公式の日本語版と同じ訳語を使う必要があるかどうかはKPに聞いてください。

 

 単語参照元

 A

Accountant
会計士
 
曲芸師/体操選手
 
Actor
俳優
 
Agency Detective
ピンカートン探偵社など組織勤めの)探偵
 
Alienist
エイリアニスト(7版ルールブックp.66『精神分析』を参照)
 
Ambassador
大使
 
Animal Trainer
アニマルトレーナー、調教師
 
Antiquarian
古物研究家
 
Antique Dealer
骨董商
 
Archaeologist
考古学者
 
Architect
建築家
 
Artist
芸術家
 
暗殺者
 
Asylum Attendant
精神科病棟スタッフ
 
Athlete
アスリート
 
Author
作家
 
Aviator
飛行士
 

B

Bail Bondsman
保釈保証業者
 
Bank Robber
銀行強盗
 
Barber
理髪師
 
Bartender
 
Bible Salesman
聖書セールスマン
 
Big Game Hunter
猛獣ハンター(富裕層などにやとわれて高価な動物を狩るハンター)
 
Book Dealer
書籍商、古本屋
 
Bookie
ノミ屋
 
Boss
大物政治家、ドン
 
Bootlegger/Thug
酒類密輸者/ならず者
 
Bounty Hunter
賞金稼ぎ
 
Boxer/Wrestler
ボクサー/レスラー
 
Burglar
泥棒
 
Bus Driver/Streetcar Conductor
バス運転手/(路面電車の)車掌
 
Butler/Valet/Maid
執事/従僕/メイド
 

C

Catholic Priest
(カトリックの)神父
 
Charismatic Cult Leader
カリスマ(的)カルト指導者
 
Charter Boat Captain
チャーター船の船長
 
Chauffeur
お抱え運転手
 
Clergy, Member of the
聖職者
 
Clerk/Executive
社員/役員
 
Cocktail Waitress
カクテルウェイトレス(酒場で飲み物を供するウェイトレス)
 
Columnist
コラムニスト
 
Communist/Radical
共産主義者/過激派
 
Company Officer/Executive
会社役員
 
Computer Programmer/ Technician/Hacker
コンピュータープログラマー/コンピューター技術者/ハッカー
 
Conman
詐欺師
 
Copywriter
コピーライター
 
Cowboy/girl
カウボーイ/カウガール
 
Craftsperson
職人
 
Criminal
犯罪者
 
Cult Leader
カルトリーダー
 

D

Deacon/Elder
助祭/(教会の職制としての)長老
 
Deep-Sea Diver
深海潜水夫、深海ダイバー
 
Dentist
歯科医
 
Deprogrammer
洗脳解除者
 
Designer
デザイナー
 
Dilettante
 
Diver
潜水作業員、ダイバー
 
Doctor of Medicine
医師
 
Drifter
放浪者
 
Driver
ドライバー
 

E

Editor
編集者
 
Elected Official
(選挙によって選出された)公務員、自治体の代表、議員など
 
Engineer
エンジニア
 
Entertainer
エンターテイナー
 
冒険家
 

F

Farmer/Farm Hand
農夫/農場労働者
 
Federal Agent
連邦職員(連邦政府に属する法執行機関の職員、FBIやUSMSなど)
 
Fence
故買商
 
Field Researcher
フィールドリサーチャー、(実地調査をする)研究者。インディ・ジョーンズなどがイメージとして近いのではないかと思われる
 
Film Crew
映画クルー、撮影スタッフ
 
Film Star
映画スター
 
Firefighter
消防士
 
Fireman
消防士
 
Flapper
フラッパー
 
Foreign Correspondent
外国特派員
 
Forensic Specialist
法医学専門家
 
Forensic Surgeon
法医
 
Forger/Counterfeiter
偽造者、贋作者
 

G

Gambler
ギャンブラー
 
Gangster
ギャング
Gangster Boss
ギャングのボス
Gangster Underling
ギャングの下っ端
 
Gardener/Grave Digger
庭師/墓掘り人
英語圏ではこのような表記で墓地の維持管理全般を担う仕事の募集がある
 
Gentleman/Lady
紳士/淑女
 
Golf Pro
プロゴルファー
 
Gun Moll
女ギャング、(ギャングの)情婦
 

H

Hacker
 
Hit Man
殺し屋
 
Hobo
渡り労働者
 
Hooker
(口語で)売春婦
 
Hospital Orderly
(病院の)用務員
 

I

Investigative Journalist
調査報道ジャーナリスト
 
Itinerant Preacher
巡回説教師
 

J

Journalist
ジャーナリスト
 
Judge
裁判官
 

L

Laboratory Assistant
実験助手
 
Laborer
労働者
Laborer, Unskilled
非熟練労働者、単純労働者
 
Lawyer
法律家
 
Librarian
司書
 
Loan Shark
高利貸、ヤミ金業者
 
Lumberjack
 

M

Madhouse Attendant
精神科病棟スタッフ
 
Manager/Coach
マネージャー/コーチ
 
Mechanic (and Skilled Trades)
職工(および専門職)
 
Mercenary
傭兵
 
Merchant Marine
(商船の)船員
 
Middle/Senior Manager
中間/上級管理職
 
Military Officer
士官
 
Miner
鉱夫
 
Missionary
伝道者
 
Mountain Climber
登山家
 
Museum Curator
 
Musician
ミュージシャン、音楽家
 
Musician, Jazz
ジャズミュージシャン
 
Musician, Legitimate
楽家(正統な教育を受けた)
 

N

Nurse
看護師
 

O

Occultist
オカルティスト
 
Orderly
(病院の)用務員
 
Outdoorsman/woman
野外活動家(具体的な職業としては野外ガイドや環境保護職としてのレンジャーなど)
 

P

Painter/Sculptor
画家/彫刻家
 
Parapsychologist
 
Pharmacist
薬剤師
 
Physician
内科医
 
Photographer
写真家
Photojournalist
フォトジャーナリスト
 
Pick Pocket
スリ
 
Pilot
パイロット
 
Plastic Surgeon
形成外科医
 
Police Detective
刑事
 
(Uniformed) Police Officer
(制服)警官
 
Practicing Attorney
弁護士
 
Private Eye
私立探偵
 
Private Investigator
私立探偵
 
Professional Sports Athlete
 
Professor
教授
 
Prosecuting Attorney
検察官
 
Prospector
探鉱者、(本来の意味で)山師
 
Prostitute
娼婦
 
Protestant Minister
 
Psychiatrist
 
Psychologist/Psychoanalyst
心理学者/精神分析
 
Punk
チンピラ
 

R

Rabbi
ラビ
 
Race Driver
レースドライバー
 
Radio Announcer
ラジオアナウンサー
 
Ranch Hand/Cowboy
牧場労働者/カウボーイ
 
Reporter
リポーター
 
Researcher
研究者
 

S

Sailor
船乗り
Sailor, Commercial
(民間の場合)船員
Sailor, Naval
(軍の場合)水兵、海軍軍人
 
Salesman
セールスマン
 
Salesperson
セールスマン
 
Scientist
科学者
 
Secretary
秘書
 
Shifty Accountant/lawyer
悪徳会計士/弁護士(犯罪組織に雇われている会計士/弁護士)
 
Shopkeeper
商店主
 
Skilled Trade/Mechanic
専門職/職工
 
Small Business Owner
中小企業経営者
 
Smuggler
密輸者
 
Soldier/Marine
兵士、陸軍/海軍下士官アメリカの場合)
 
スパイ
 
Stage Actor
舞台俳優
 
Stock Broker
株式仲買人
 
Stage Hand
(劇場の)裏方、舞台係
 
Street Punk
チンピラ
 
Student/Intern
 
Stuntman
スタントマン
 
Surveyor
測量技師
 
Swimmer/Diver
水泳選手/飛び込み選手(1920IC)
 
Switchboard Operator
電話交換手
 

T

Talent Agent
 
Taxi Driver
タクシー運転手
 
Teacher
教師
 
Technician
技師
 
Tennis Pro
プロテニス選手
 
Track and Field
 
Trainer
トレーナー*2
 
Traveling Salesman
巡回セールスマン
 
Treasure Hunter
トレジャーハンター
 
Tribe Member
トライブ・メンバー
 

U

Undertaker
葬儀屋
 
Union Activist
労組指導者、組合活動家
 

W

Waitress/Waiter
ウェイトレス/ウェイター
 
Western Lawman
(西部の)郡保安官もしくは保安官補
 
White-Collar Worker
サラリーマン
 
Writer
作家、ライター(※著述業全般を含む)
 

Z

Zealot
活動家(7版の場合。6版の関連著作では狂信者となっている場合が多いがニュアンス的にもこちらの訳のほうが適当と思われる)
 
Zookeeper
(動物園の)飼育係
 
 

その他の用語

Contacts and Connections
コネクション(その職業の探索者が使える社会的人脈)
 
Earnings
所得
 
freelance/solo
 
Lovecraftian 例:ANTIQUARIAN [Lovecraftian]
 
Modern 例:HACKER [Modern]
現代
 
Skills
技能
 
 

*1:字義通りには「陸上競技

*2:1920ICにおいてはアスリートのトレーナー

*3:字義通りには「ラヴクラフトの」