ちょっと洗練されたPL発言
ルールも大分把握できてきたし、最近はかなり余裕をもって探索できるようになったんじゃないかな?と自負しているPL向け。
こういう行動ができてるとちょっと慣れてるPLっぽい!かっこいい!と個人的に思う(でも自分もなかなか実行できてない)ポイントを挙げておきます。
基本的に、初心者のうちは自分がどう動くか?どうRPするか?ということで頭がいっぱいになりがちです。逆に言うと、
適度に周りを見て、探索を積極的に進めたり、会話を促したり、連携をとったり、人のフォローができていると慣れてる人っぽくてかっこいいです。
TRPGの第一の目的、「
GMも、PLも、全員がゲームを楽しむ」ためには、もちろん
GMの手腕も問われますが、PLの協力も不可欠です。むしろ
GMはシナリオの進行という第一の大変な仕事がありますから、PL同士でいかに助け合えるか、いかに
GMを助けられるかが楽しく遊ぶ鍵になるかもしれません。
一つ目はPL同士の手助けというよりKPに優しいプレイングという面が大きいですが、一緒に遊ぶ人の顔を見て相手も遊びやすい行動をとる、という点で基本は同じです。
セッションの流れをスムーズにする発言
何か目の前で凄惨な事件が起きて、KPの描写が終わったところだとしましょう。
exampleA
KP「以上で描写は終わりです」
PC1「ウッ……!」(トラウマが呼び起こされ膝をついて座り込む)
PC2「一体何が起こってるんだ」動揺してます
KP「……」
PC1「……」
PC2「……」
KP「今描写したとおり、床には食いちぎられた胴体が転がっていて、すぐそばに持ち物と思しきバッグが……(後略)」
PC1「じゃあ床に他の痕跡が残ってないか見ようかなー」
PC2「どうしよう」
PC1「(困ってるみたいだけど口出していいのかな、分からないな)」
KP「(どうしよう)」
exampleB
KP「以上で描写は終わりです」
PC1「ウッ……!」(トラウマが呼び起こされ膝をついて座り込む)ひとしきり動揺したらそのまま床に他の跡とかないか調べてみます
PC2「一体何が起こってるんだ」動揺してます。これ、PC2は何をしたらいいかな?思いつかないんだけどやってほしいこととかないですか
PC1「あ、今のでちょっと怪我したPCがいるから先に応急手当してもらえませんか?」
PC2「了解。KP、怪我の手当てをします」
KP「ではPC1は目星を、PC2は応急手当のロールをそれぞれどうぞ」
なんとなく違いを分かってもらえたでしょうか。KPから必要な描写がすんだあとは、描写に対する「反応」だけでなく、「探索の行動宣言」あるいは「相談」につなげるのがスムーズです。
自PCの反応だけRPして満足していると、ゲーム的には何も進まないのでKPが困ります(一応、KPの側からも行動宣言ありますか?と聞くなどやるべきことはあるのですが、今回はPLの側からどうすべきかを考えます)。また、なにも言わずに悩んでいるのも同じく場を停滞させます。KPの作業量が多くあまり個別のPCに気が回らないシナリオだとそのままスルーされて何も行動できないかもしれません。
行動宣言ができるなら行動を、悩んでいるならばその状況を解消するために
「状況の把握に手間取っているので整理したい」
「自分のPCが何をするべきかが分からない」
「この情報をどう解釈するかによって行動が変わるので悩んでいる」
「他の人と行動を連携したいので誰が何をするか話し合いたい」
などなど、考えている内容について他のPLと相談という形にもっていくことで事態の膠着が防げます。
悩んでいる場合も、自分が
何についてどう悩んでいるのかは積極的に言語化していきましょう。
自分だけで完結してしまう発言ではなく、ゲームの進行や他PLの行動につながる発言を!と意識するとよいでしょう。
さりげなく連携をうながす発言
みんなで分担して探索を、となった際、各々好きなように散らばりすぎて図書館に行くのに図書館技能持ちのメンバーなしで出てきてしまった……といった事例がたまに発生します。
そこまで極端でなくとも、最悪家宅侵入が必要かもしれないからサブで鍵開けや忍び歩きを持ったPCも行こうとか、つい一人で飛び出していきがちなPCがいるからフォローに回ろうとか、お互いの技能や先の状況を読んで行動を提案できると周りが見えている感じがします。
これは事前に他人のキャラシもちゃんと見て、能力値や技能をおさえていなくてはできないことですから、できるようになれば少し脱初心者に近づきます。
主役になるシーンのバランスをとれる発言
ついつい前に出すぎる人の場合ですが、まず適度に引くシーンを作ることを覚えましょう。喋りすぎかなと思ったら次のシーンではKPの描写後いきなり反応せず一呼吸おく、というのもアリですが、お見合い状態になってしまいKPが困ることもあるので、「さっきのシーン色々やらせてもらったのでここは他の方に……」など口に出して他人に振る技も身につけておくほうが場がスムーズに回りやすいです。よく喋るタイプの人が黙っていると、KPとしては描写の内容がうまく伝わらなかったか?席を外したのか?(テキセの場合)など他の可能性のほうを考えるので、そういった行き違いを減らすのにも有効です。
もちろん、他に積極的に動きたがる人がいなければ気にせず動いてしまってもよいですが、動く前に一呼吸おいて他のPCの出方を見られるようになると全員で楽しむための助けになります。
また、自分の発言からつなげて他人に話を振ることもできます。場面の主役を譲りたいPCが自分から口火を切るタイプでない場合、まず自分から発言を始め、途中でそのPCに話を投げると上手くいくことが多いです。
exampleC
NPC「君たちが死体を見つけたのかね?」
PC1「はい、近くにこの鞄が落ちてました。あと、PC2さんが傷口を調べていて何か気付いたそうなんですが……」
PC2「ええ、傷口が獣の噛み跡のようだったんですが、このあたりには存在しないような大型の動物のものなんじゃないかという感じがして……」
このように、他のPCが喋れる内容につながるよう会話をパスする、という技を覚えてみましょう
*1。
他のPCの「見せ場」も意識できるようになると、自分だけ出すぎてしまう恐れが減ります。
たとえばそのPCにとって苦しい/大きな決断をする/危険に飛び込んでいく前に決心を固める場面など、相手の設定やそれまでの気持ちの流れを把握できているとスムーズに場面の主役を譲りやすいです。もちろん相手がRPしたがっているかどうかもきちんと聞かなくてはなりませんが、まずはどういった場面が他人の見せ場になりうるのかを意識しておくことでうまくシーンの主役を回していく準備ができます。
さてここまでは人に出番を振ることについて書いてきましたが、もしあなたが「いつも自分のPCの出番が少ない、活躍できそうなシーンでも前に出られない……」と悩んでいるタイプの場合はいますぐ読んだ内容をすべて忘れてください。そして、まずは自分のPCの出番を適度に確保できるようになってください。
TRPGは全員が楽しく遊べるように頑張るものですが、その
「全員」には当然「あなた」も含まれます。まず自分の出番に満足していないのに他人の出番を満足させようなどと思わないでください。卓の中の誰かが不満を抱えている状態は他のメンバーにとっても
不本意なのです。
「ちょっとこういう主旨で決断するシーンのRPしたいんですが時間もらえますか?」「このNPCの相手は流れ的にも自PCが先頭切ってやりたがると思うんですが、最初に発言させてもらうことはできますか?」など、やってみたいシーンが来たときは恐れずに相談してみましょう。
また、いざ前に出たいシーンでスムーズに出番を作ってもらえるように、
あらかじめ種をまいておくのも有効です。このPCはこういうことを考えてるからこういう事態になったらこう感じるかも(あの
NPCとは結構仲良くなったと思ってるから、敵として出てきたらショックを受けるかも)といった内容を雑談としてでも先に話しておくと、いざそのようなシーンが来たとき自分のPCに焦点を当ててもらいやすくなります。自分のPCがどういうことを考えているかを適度に開示しておくことはこういった点でも有効です。
ここまで読んで、「探索の話題が少ないなあ、他人をどう意識して立ち回るかみたいな話ばっかりだな」と思った方もいるかもしれません。もし上記のような振る舞いがすでにできているのであれば、あなたはきっともう初心者の域を脱しているのでしょう。
初心者ガイドでは、「KP/他のPLと喋れるようになろう」という点にかなり重点を置いた記事を書いています。これは別に探索をないがしろにしているわけではなく、
TRPGにおいて最初に習得するべきは同じ卓を囲んでいる人々とのコミュニケーションの技術だからです。
ルールブックにもあるとおりCoC(というか
TRPG)は社交の遊びであり、ロールプレイはゲームを楽しむための肝にあたります。よってゲームの基本的な進行やルールを学ぶと同時に、ゲームを楽しむためには何を意識してどのようなことを喋れるようになれば良いか、他の参加者とどのように関わっていけばよいかを先に知っておく必要があるのです。特にこのコミュニケーションの比重の大きさは電源ゲームなどと比べて大きく異なる点であり、初心者さんが大多数を占めるプレイグループで遊ぶなかで最も大きな
疑問やトラブルの種になると痛感したポイントでもあります。
もちろんゲームを始める前から何も考えずに習得できている人もたくさんいます。そういった人はぜひ次の段階へと進み、他の人を手助けしてあげられるようになってください。