一畳ちょっとの二人部屋

一畳ちょっとの二人部屋

創作や趣味のゲームの話

【TRPG】ロールプレイの方法は?コツってあるの?【初心者・苦手な人むけ】

f:id:entori:20190427045345p:plain

RPは苦手?やり方が分からない?How to ロールプレイ

 まず最初に、当記事において、ロールプレイ(RP)≡なりきり演技のみではありません。キャラクターの行動や思考、外から見た様子等を描写するすべての発言をまとめてRPとして扱います。
 
 卓の募集要項にRP重視と書かれている場合は=お芝居を作る演技力、熱いドラマを演出する台詞が求められるものが多いですが、それはRPというより演劇の領分なので、即興劇の方法論などを探すとよいでしょう。
 

 
 TRPGはその名の通りロールプレイをするゲームですが、ロールプレイと一口に言ってもやり方は様々です。
 以下の2つはいずれも「ロールプレイ」の範疇であり、ほぼすべての人がこれら2つを必要に応じて使い分けています。
 
『○○します』スタイル
 PCの行動について、おもにPLのメタ視点からシンプルに述べるスタイルです。キャラクターの仕草や口調を演じる「なりきり」が苦手な人は、「それを調べます」「あとで部屋に行く、ということを伝えます」「調べた内容を誰某と共有します」というふうに行動の内容を簡潔に伝えてみましょう。キャラクター同士会話をする時も、「こういう主旨のことを伝えます」と言えば必要な情報は伝わります。
 
 また、ボイスセッションにおいて異性のPCを演じてみたいがなりきり形式のロールプレイができない、という場合もこのスタイルが助けになるでしょう。
 
 さらにセッションの時間が押している場合、つまり巻き進行の時はこのスタイルのほうが時間を取りません。
 
なりきりスタイル
 キャラクターになりきった口調で台詞を喋り、時には一人称視点で行動を描写します。感情的に熱が入るシナリオの場合はこちらのほうが断然盛り上がります。
 最初は恥ずかしがったり緊張する人も多いですが、見ている側は大体何も気にしてないし、情報量が多いので細かいことも覚えていません。気楽にやってみましょう。
 
 重要なのはあなたのPCの性格を分かりやすく表現することです。最初は「ちょっと濃すぎるか?」と思うくらいでよいかもしれません。
 シナリオの本筋に関係のない部分で時間をとりすぎないこと、その他ロールプレイする上での配慮を忘れずに。
 
  • キャラクターのロールプレイは、なりきりでも、客観的な描写でも、その二つの組み合わせでも、好きなやりかたを使ってよい
 

喋るだけがRPじゃない!上手いRPのポイント

 無口なキャラクター、内気なキャラクターなどをプレイしようとすると、どうしても台詞が言いにくくRPが少なくなってしまう。もしくは、そもそも格好いいセリフを思いつけないので喋れない……と悩むことはないでしょうか。
 
 ここで重要なのは、「セリフをしゃべるだけがRPではない」ということです。ルールブック*1にも、PCが内心どう思っているかを表現することが重要と書いてあります。内心(性格)やPCの様子が描写できてさえいれば、台詞にこだわりすぎる必要はありません。
例:
example

内心では気に入らないと思って」「むすっとしている

口ではなにも反応していないが、内心の動揺手が震えている

馴れ合わず探索したいので他の人が情報共有に気をとられているうちにさっさと出ていこうとする

 このように、

内心の動き

行動の意図

結果としての(他のPCから目に見える)行動

 特に内心の動き行動の意図を詳しく書くことで、他PLがあなたのキャラクターを把握しやすくなります。
 
 喋らないキャラクターは、そのままだと他キャラと喋ったり、喋った結果仲良くなり協力する、といったアクションが発生しにくいです。しかし上記のようなRPで考えていることや性格を分かりやすく示しておくと、他PLにキャラを把握してもらうことができ、向こうから絡んでもらいやすくなります。
 PC本人が何も言わずに悩んでいることをこのように描写しておくと他のPLから解決策を提示してもらえる場合もあるため、自PCのキャラクターを把握してもらうことは重要です。
 
 また今は無口なキャラクターを例に挙げましたが、じつは普通に喋るタイプのキャラクターでもこの技が使えます。台詞以外の描写も使えるようになるとキャラクター性の分かりやすさが段違いになるんです。
 
 初心者がひとまず目指すべき良いRPとは、自分のキャラクター性を他人に分かりやすく伝えることのできるRPです。熱いドラマの構築など、さらに進んだRPをやってみたくともまずこの基礎がないと始まりません。逆にこれが上手くできていると、ドラマが自然発生的に起こってくることさえあります。
 
 台詞だけにとらわれず、様々な方法でPCを表現してみましょう*2
 
  • RPのときは、内心の動き行動の意図実際の行動の3点を意識して、キャラクターをわかりやすく描写してみよう
 

キャラ設定の作り方とか掘り下げとか、どうしたらいいか分からない

 想像上のキャラクターをいちから作るという作業には、向き不向きや慣れの問題もあります。
 
 キャラクター作りを簡単にする方法として、映画や小説に出てくるようなある意味「典型的な」人物像を設定する人もいますし、もっとピンポイントに特定のキャラクターをモデルにしたPCを作る場合もあります*3
 
 もしそのようなモデル方式を使いたくないのであれば、
 
1.キャラクターとして使ってみたい性格、癖、好みなどをいくつか書き出す。好きなキャラクターを分解してみてもいいし、ランダムに思いついたものを書きなぐってもよい。
(例:ぶっきらぼう、実は友情に篤い、ホラー映画は苦手、人懐っこい、激辛カレーが好き、虫が嫌い、験担ぎのお守りをいつも持っている、口癖は「不思議なものなんてこの世にはないよ」……)
 
2.その中から長所をひとつ、短所をひとつ、分かりやすい特徴をひとつかふたつ選ぶ。
(例:人懐っこい、ホラー映画は苦手、口癖は「不思議なものなんてこの世にはないよ」)。
 ポイントは、まず他人と絡んだり突っ込んでもらったりする余地のある組み合わせにすること。完璧超人であったり、一人で暴走するようなタイプは扱いにくい。また、要素はあまり盛りすぎないほうが使いやすい。他の要素はまた別のキャラクターを作る時の楽しみにとっておいて、シンプルなイメージから性格を作る。
 
 といった方法もあります。最初に決める性格は本当に簡単なものでかまいません。このようなちょっとした性格上のキーワードをいくつかと、ダイスで決めた能力値、職業、その他背景設定を組み合わせてなぜそのような能力値/技能値になったのか?どういう人生を生きてきたのか?を考えてみると普通に遊ぶには十分な密度の設定になります。
 
 掘り下げにおけるポイントはこの「なぜ」で、今キャラクターについている設定や能力値がなぜそうなっているのか、どんな経緯でそうなったのかを自分なりに考えて埋めていく、という作業がキャラクターの掘り下げになります。
 なぜあなたの探索者はCONが普通よりも低いのに警察になったのか?
 なぜあなたの探索者はそんなにも変装に秀でているのか?過去にどんなエピソードがあったと考えられるか?
 キャラクターシートをよく眺めてみれば、このような掘り下げの種が随所に見つかるはずです。
 
 さらに言えば、キャラクターは最初からそう完璧に作りこまなくても大丈夫です。
 システム上求められる最低限の設定だけ作っておき、あとはシナリオで提示された状況に対して「彼(女)はこう行動させることにしよう、ということは多分こういう性格で今こういうことを考えてるんだろうな」とセッション中の行動から逆算してキャラクターの背景を固めていくプレイヤーも多いです。
 なぜあなたの探索者はそこで引き返さずにNPCを助けに行く道を選んだのか?命の危険より優先する何かをこの事件に見出だしたのは確かだろうが、その何かとはなんだったのか?なぜそれが重要なのか?
 
 シナリオの都合上とった行動であっても、そこからキャラクターの心やドラマを産むことができるのです。
 
  • キャラクターの掘り下げとは、職業、能力値、技能、バックストーリー、行動がなぜそうなったのかを考え、これらの断片的な情報をつなげるストーリーを作り出していく作業のことだ
 

ロールプレイのマナー

確定ロール

 ロールプレイングをするにあたってよく挙げられる、気を付けるべきマナーのひとつに『確定ロール』というものがあります。
 例えば、
 
「○○と一緒に△△を調べます」
「○○を撫でます」
 
 といったロールプレイをしたとしましょう。この時、○○が他のことをしようと思っていた場合、またはあなたに撫でられたくなかった場合、相手の意思とこちらの行動が齟齬を起こすことになります。慣れた人ならば「その前に□□を確認します」「避けます」などとうまく対応できますが、そうでない場合、最悪喧嘩になります。(もちろん、気心の知れた人同士がふざけてやるのは別です。対人ゲームですから、そこはお互いの関係性次第です)
 
 誰か他のPCを対象にとって行動宣言する場合、相手の行動や、自分の行動が相手にもたらす結果を勝手に決定しないようにしましょう。さきほどの例であれば、
 
「一緒に△△を調べようと○○に提案します
「○○を撫でようとします
 
などであればOKです。
 
 KPも、「これは確定ロールではないか?そのまま通すと問題があるのではないか?」と感じた場合は一度止めて相手方のPCに「……ということだけど、そのアクションを受け入れる?」と聞いたほうがよいかもしれません。
 押しの弱いPLは「うーん……」と思っても表立っては何も言えないということがよくありますし、PLの行動宣言に対してKPが何も言わないならばその行動はそのまま通るものと思っている人もいます。
 
 より詳しく知りたい場合は「確定ロール」で調べてみてください。その他、ロールプレイをする上でのマナーはPBW、PBC(という種類のゲームジャンル)などの有志のマナー講座が詳しいです。気になる方はこれらの単語+ロールプレイなどを組み合わせてみるとさらに色々読むことができます。
 
 また、「"優しげに"笑います」「"相手を圧倒する"ような態度をとります」といった、自分の行動の印象を決定する発言もそのまま通るとは限りません(自分のPCがそのつもりでやっている、ということならよいだろうと思います)。自分の行動を決めることはできても相手がそれをどう受け取るか、他人の内心まで決めることはできないということです。
 
人狼RP村の解説で分かりやすいものを見つけたので参考に:https://www24.atwiki.jp/rp_style/pages/45.html
 
 他、”My guy" syndromeというRP上の有名なマナー問題について別記事があります。こちらはどちらかというと経験者向けの記事なので、もし興味があればどうぞ。

 

  初心者向け部分ここまで。

▶関連記事

初心者ガイドまとめページで他の攻略情報をまとめ読みする


 
 
 ここからは初心者向けのハウツー記事としては余談なので、興味のある方だけご覧ください。

 

CoCにおけるRPの話

 ロールプレイ(大抵はなりきり演技の文脈で)の是非が取りざたされる際「そもそもロールプレイとは……」の定義論に突入していくことも多いのですが、各システムのルールブックを読めば「このシステムにおけるRPはこういうもの」と書いてあることもあります。
 とりあえずCoCについては「ロールプレイとはどのようにすることなのか」「ゲームにおけるロールプレイの位置づけ」「どんなロールプレイがよいロールプレイなのか」「ロールプレイの楽しみ方」くらいまではルールブックに出てくるので、読んでみることにしましょう。
 

クトゥルフ神話TRPGにおける『ロールプレイ』とはどのように定義されているか?

※引用内の……は中略もしくは後略

『自分が引き受けている人物としてしゃべり、その人物を演じる』p.29
「なりきり」は『ロールプレイ』に含まれる
 
『ロールプレイすることによってさらに面白くなる。例えば……やるべきことなのかどうか。……探索者のパーソナリティに沿った行動をとらなければならない』p.30
→探索者の「行動」も『ロールプレイ』に含まれている
 
『一度に1人以上の探索者をロールプレイするのを好まないプレイヤーもいるが、……』p.33
→その他p.42や59など、「なりきり」あるいは「アビリティ・プレイ」どちらかのみのような狭い意味ではなく、単に「そのキャラクターを使って遊ぶ」くらいの包括的な意味合いがあるとみるべきでしょう。
 

『魔術や武器がどんどん強力なものになっていけば、ロールプレイングのチャンスが少なくなるということである。……効力が大きければ大きいほど、……プレイへの普通の挑戦の機会が少なくなっていく』p.152

『探索者が格好良く劇的なプレイをしたら、……成功を収めたということである。本当の失敗とは、悪いロールプレイだったということ』p.30
『ロールプレイ』の同意語として『プレイ』が使われている箇所が複数ある。なのでロールはこういう意味で、プレイはこういう意味なので~と単語を分解して意味を考える作業はCoCルールブックにおける『ロールプレイ』の語義を考える上ではあまり意味がないのではないかと思います。
 

CoCを遊ぶにあたって結局『ロールプレイ』ってどういう位置づけで取り込めばいいの?

 p.92~94「狂気をプレイする」、p.96~「プレイの例」等、ロールプレイに関わる記述は多くのページに散らばっているので、そちらも参照の上……
 
 総論としてはp.30にまとまっており、
『"クトゥルフ神話TRPG"はロールプレイすることによってさらに面白くなる』
『ロールプレイの本当の面白さは、プレイヤーによるロールプレイの工夫を感じ合うところにある』
『ゲームのポイントは使命を達成することではなく、あくまでもロールプレイにあるのである』以上全てp.30
 ゲームを楽しむポイントはロールプレイにあり、複数人で遊ぶことでその醍醐味を味わうことができる。複数人の間でロールプレイの相互作用を生み出すためには自分の探索者の人柄を分かりやすく伝える必要があり、メタ描写にしてもなりきりにしても「分かりやすさ」を旨として表現するとよい。という理解をしています。個人的には。
 

RPはどう練習すればいい?

KPレスシナリオを活用して練習してみる
 セッションが始まる前にロールプレイを練習しておきたいがどうすればいいか分からない*4、そんな場合はKPレスシナリオを活用してみましょう。ゲームブックで遊んだことのある方には馴染みのある形式かもしれません。
 その名の通り一人で遊べるシナリオで、書いてある通りにダイスを振り、成功すればこのページ、失敗すればこのページ……というように選択肢の出るアドベンチャーゲーム的な進行でゲームを遊ぶことができます。
 シナリオを探す場合は「KPレス」で検索するとよいでしょう。
 
 7版で英語が読めるのであれば、ケイオシアム公式から"Alone Against The Flames" というシナリオを無料ダウンロードすることができます(無料PDFはページ下部の"Free PDF download"からどうぞ)。このシナリオの翻訳は新クトゥルフ神話TRPGのスタートセットに含まれているので、買えば日本語で遊ぶこともできます。
 
 練習なので、増減したSAN値や後遺症、死亡などを反映する必要はありません(ただし成長もありません)。*5
 
 ココフォリアなどで自分一人の部屋を作る(テキストの場合)か喋れる環境(ボイスの場合)を用意し、シナリオの各シーンで「このような状況でPCはどの選択肢を選ぶか?」「どのように考え、どう行動するか?またそれをどう表現するか?」「シナリオを進行させつつキャラクター性を分かりやすく表現できる言動はどんなものか?」を考えながら、実際にプレイするときのようにロールプレイの文面を入力したりしゃべったりしてみます。
 
 一番重要なのは最後の「シナリオを進行させつつキャラクターの性格を分かりやすく表現できる言動はどんなものか?」です。
 キャラクターの性格を表現するためといって、シナリオと関係のない行動ばかりとっていてはいざ遊ぶ時にKPも困ります。実際は導入部やキャラクター同士のやりとりのノリで本筋の進行に関係のないシーンが発生することもありますが、これは「本筋を進行させる」ということを考える必要がないので楽ですしあまり練習の必要はありません。
 せっかく真面目に練習するのであればセッションの本分である「シナリオに必要な行動を進めながら同時にそのPCがどんな人物なのかを表現する」ことにチャレンジしてみましょう。
 
 キャラクター性というのは狭義の性格のみにとどまりません。そのキャラクターの職業や所持技能ならではの行動があるのではないでしょうか?同様に、今いる社会環境や過去の経歴、年齢や性別に左右される(あるいは左右されない)、そのPCの設定を分かりやすく表現できる方法があるはずです。
 
 練習なので一か所で色々なロールプレイのパターンを考えてみたり、最後までやったシナリオにまた挑戦してみてもいいでしょう。なおセッションで全ての発言においてRPを練っている時間はそうそうないので、実際に遊ぶときに練習で考えておいた内容が反映できなくても気にすることはありません。そのPCに慣れるにつれ自然と練習の内容が反映できるようになってきます。
 
 ちなみに、練習に付き合ってくれる友人がいるのであれば適当なシナリオのKPを頼んでもよいと思います。
 あくまですぐに一人でも練習したいという場合はKPレスというだけで、KPがいないぶん様々な制約があります(やりたい行動に応じて柔軟にシナリオを進めてもらうことができない、他PCNPCと絡んでのRPの練習はできない等)。
 
使えそうなRPのパターンをためこんでおく
  「こういう時このPCはどう反応するかな、というのを普段からよく考えている」というような話をRPの上手い人から聞くことがあります。全然別の界隈の人から時折同じことを聞くので、↑のような一人RP練習の簡易版として、普段から頭の中でキャラクターのRPをしてみるというのはひとつのRP上達法なのかもしれません。セッションの時その場で即座に考えるのが苦手ならば、先に考えてネタを作っておこうというわけです。
 考えてみれば、自分もRP重視と言われているときはKPからできるかぎり(ネタバレにならない範囲で)シナリオの話を聞き、RPのプランを事前に考えてから臨むと「うまく遊べたな~」と思えることが多いです。上手い人の中にはこれを普段からマメに(あるいは意識せずとも自然に)やっておくことで常に良いRPの準備ができている、というタイプの人がいるのかもしれません。
 RPの上手さの要因の一つとして「頭の中にストックされているRPのパターンの多さ」があると仮定すると、リプレイなどで他人の良いRPをたくさん読む/見る、というのもひとつの手でしょう。ただ自分のキャラクター、自分のシナリオの状況にそぐわないところで良いと思った他人のRPを持ち出してもうまくいくとは限りませんので、やはり一番は自分のPCを使ったシミュレーションであろうとは思います。
 

RPとはなにか、いいRP悪いRPとはなにか

RPとはなにか──既存の議論について

 決まった定義はないようです。自分の調べた範囲で目についた各種定義についてはこの記事の最後にメモ書きしました。

個人的なRP良し悪し論

 PCについて描写するすべての発言を包括的に「RP」とした上で、RPの良し悪しをみるにあたり3つの判断軸があると考えます。
 
 RPの持つ属性の3軸
  • メタ⇔なりきり
  • 進行に関係ある⇔ない
  • 本人の性格に関する情報量(キャラクター表現)ある⇔ない
 
メタ⇔なりきり軸
 普段はどちらでもよいと思います。完全にどちらかのみに振ってしまう遊び方でもあまり問題はないでしょう(自分と同じスタイルを他人に強制しない限り)。
 
 ただし対人関係の判定が絡む会話にはなりきり台詞を求められる場合があります。
 説得のキーとなる情報を取得し・判別して説得内容に入れられているかどうかや、その場にふさわしい言動が分かっているかどうかが判定の対象とされることがあるのです。そのような場合にはうまい台詞を言えるにこしたことはありません。
 
 また、キャラクター性を表現するにはどちらかというとなりきりのほうが有利な場面が多いです(台詞のトーン、口調、言い回しなどで性格を表現しやすいため)。ただ本当に「どちらかというと」程度ですし、メタ的説明RPにも、PLの発言主旨が伝わりやすい・進行がしやすいというメリットがあるので好みあるいは場面によって使い分けられればよいと思います(大多数の人はそうしているでしょう)。
 
進行関係あるなし軸
 まずあったほうがいいのは大前提です。ただ導入などはまだストーリーが始まっておらず、状況に沿ってそれっぽいキャラクターの性格表現をしてほしい(セッションが始まってから行われる自己紹介タイムのようなもの)、周りのPCと交流してまとめて導入するとっかかりを作ってほしいといった意図の場面だったりするのでそもそも進行させようがないことがあります。そのような場合はとくに気にせず遊ぶ方が正解です。KPにシーン意図を聞けば答えてもらえることのほうが多いと思います。
 
 稀に序盤のなにも変事が起こっていない状況で探索を始めなくてはいけないものもありますが、「(探索の動機づけがなにもない時点で)必要な探索を行わなかったので不利益が発生した」などと言われたら怒ってよいです。
 
 進行に一切関係なくセッションの流れを滞らせるようなものは基本的にはNOです。ただ茶番の是非というものは本当に流れ次第なので、場の雰囲気を読んでやるか、KPに「今って茶番していい時間?」と聞けるようになったほうがよいでしょう。
 
性格に関する情報量軸
 ルルブにもあるように『あいつならこうするよ』と言われるくらいの適度な表現があるとよいでしょう。情報過多かな?と思っても、セッションの進行を阻害しない限りはさほど問題にはなりません。逆に少なすぎると他PCと絡む機会を失う可能性があります。
 個人的には他人から自PCの性格について言及があるかどうかでうまく伝わっているかを判断しています(そして私はキャラクター表現が非常に薄いので言及されることは稀です。正直苦手です)。
 
 他PLに自PCの性格を知ってもらうことの重要性はすでに述べてきたので繰り返しませんが、とにかく「上手い」と思う人はこの軸もバランスよく取り入れられている印象があります。
 なんといっても、よいキャラクター表現は他人を楽しませることができるので。
▶関連記事

  →初心者ガイドまとめページで他の攻略情報をまとめて読む

補遺

 ロールプレイ、キャラクタープレイ等の用語それぞれの定義と分類についてひととおりのバリエーションをメモしたもの。
 メモなのでまとまってはないです。書き抜きのみ。
 ネット資料のみですが、あくまで「『ロールプレイ』およびその関連語が一般的にどのようなものとして認識されているか」を知りたくて調べてたのと、書籍で見たもので以下の分類の範囲を出るものはなかった(あるいはこれらをすべて含むような包括的な意味で使われていた)ので引用・確認しやすいこちらを貼っておくということで。
 
・ロールプレイが包括的な言葉(アビリティ・~とかキャラクター・~とかの上位分類)として使われており、下位分類としてアビリティ・プレイ(PCの能力的な個性に重点を置く遊び方、ウォー・ゲームに近い)、キャラクター・プレイ(人格部分の個性を演じる)をおくもの
RPGにおいて、プレイすべきロールとは何か Date:1999/10/26(火) 10:21
『PCの人格をプレイするのが、キャラクター・プレイである。例えば、乱暴だとか、臆病だとか、そういったPCごとの個性を出そうというのだ。
 両者は、共にロールプレイの一環なのだから、両方とも損なってはならないのだ。
 
 それに考えてもみよ。戦いが嫌いで逃げ回るようなキャラクターが、戦士になろうと考えるだろうか。あるアビリティを持ったキャラクターをプレイするということは、そのキャラクターがそのアビリティを望んで得た、もしくは望まなかったにせよ受け入れたことを表している。つまり、アビリティ・プレイもキャラクターの個性の表現の一部なのだから、それを無視するということは、結局そのプレイヤーはキャラクター・プレイを行っていないのだ。
 
 自分のキャラクターは嫌々戦士にさせられたのだから逃げて当然と主張する人は、一つ大きな見落としをしているのだ。なぜなら、例えばそのキャラクターが剣技を身につけているとしたら、嫌々かもしれないが、そのキャラクターは剣をふるったことがあるはずなのだ。ということは、何らかの状況になれば、そのキャラクターは嫌々剣をふるうはずである。それを無視して、いかなる状況でも剣をふるわないのだとしたら、それはそれでキャラクターの人格を無視しているのだ。』
 
初心者のためのRPG入門
『キャラクタープレイ -あるいは傷つきやすい人々-』
『キャラクタープレイのすゝめ』
 
ちょっと主旨から外れますが馬場講座を初めて読む人向けに
TRPG】馬場講座の功罪
クトゥルフ神話TRPG】ロールプレイについて
 
 
・茶番=キャラプレイという認識のもの
キャラプレイは必要です。 2014年 08月 27日
『 キャラプレイとは何かを先に定義しよう。
 シナリオ進行に直接は関係なかったり、進行を含むがそれが主体ではない行動をさす。
 TRPG動画ではおなじみの茶番と呼ばれるもの全般である。』

 

・ロールプレイをなりきりもそうでないものも全般的に含めて使っているもの
ロールプレイが苦手な方のためのアドバイス
 
・ロールプレイ⊃キャラクタープレイ、
なりきり自体に夢中になって事件の解決などシナリオの目的と相反するようなロールプレイがキャラクタープレイと呼ばれている、という認識のもの
ロールとキャラクターはいかにして対立を乗り越えるのか
『こうしたキャラクター演技は、(ロールを忘れた演技という意味で)自己目的化した“キャラクタープレイ”として批判されてきました。』
 
・「キャラクターの人格、思考とそれに基づく行動をロールプレイすること」をキャラクタープレイと呼んでいるもの
ただしこの記事は直後に「プレイヤーがキャラクターの会話の内容や行動を宣言する際に実際にキャラクターがしゃべっているかのような演技によって行うプレイスタイル」と定義しなおしている。つまりなりきり=キャラクター・プレイ。
 
 
・RP=なりきり、あるいは推理(※人狼のため)に関係のないなりきりとして定義するもの
『それ以前にこのゲームは対話型(テーブル・トークRPG=「ルールの整備された『ごっこ遊び』」の一種ですから、そちらの定義に従って「キャラクター(ペルソナ)になりきる」ことを指してRPと言う場合の方が多いようです。つまり、即興の「お芝居」のことです。
このセクションでの「RP」は後者の意味としてとらえています。
狭義の「RP」=推理に関係しない芝居
すべての発言はRPであると言えます。
(中略)
その間は好むと好まざるとに関わらず、たとえ中の人の素の喋りであろうと、事実の整理であろうと暴言であろうとメタ発言であろうと、議事録に書き込まれた段階で他の人には「キャラクター(ペルソナ)の台詞として」=「RPとして」読まれます。
本来的な意味でRPせずにゲームに参加することは不可能です。』
 
・なりきりをキャラクタープレイ、上記アビリティ・プレイにあたるものをロールプレイと呼んでいるもの
02.キャラクタープレイ〜無意味な、あるいは有害な議論
2010/1/14 2012/3/24
『そもそも、「キャラクタープレイ」に関しては、本来的にはバランスの問題なのだ。
 なさ過ぎるとシミュレーション、あり過ぎると演劇、というバランスの中で、』
『「ロールプレイ(役割を演じる)」的にも、「キャラクタープレイ(人格を演じる)」的にも』
 
 アビリティ・プレイとなりきりは極端なものだと排反事象として扱っていますが、複合要因であったり、ある一つの発言を解釈するうえでのレイヤーとして扱っていたり、「ロールプレイ」のみならずその関連タームまでも意味用法の揺れが起こっているのが見てとれます。正直本当に「共通見解がないんだなあ」以上の印象がないです。あんまり定義論で喧嘩しないようにしましょう。
 
 

 編集ノート
20210823 RPはどう練習すればいい?項「使えそうなRPのパターンをためこんでおく」を追記
 

*1:CoC

*2:CoCのルールブックがあれば、6版p.96~もしくは7版p.11~およびクイックスタート掲載のプレイの例を見てください。台詞によるなりきり、行動のメタ描写、内心の動きの説明など、すべてのタイプのロールプレイを見ることができます

*3:見た目も性格もある特定のキャラクターをなぞって作るタイプのPCは卓により断られる場合があります。必ず事前にGMに問い合わせましょう

*4:とはいえ、本当に初心者ならば一人で練習する前に実際に遊んでみないと感覚をつかみづらいと思うので初心者向けセクションからはあえて外してここに置いてあります

*5:私見ですが変則的でゲームバランスが危ういものも多いので、結果を反映したい場合はある程度数を見て中身に嗅覚がきくようになってからいつ死んでも大丈夫なPCで挑むのがよいと思います

【クトゥルフ神話TRPG】これだけできれば大丈夫、初心者プレイヤーの遊び方基本のキ

f:id:entori:20210401122523p:plain

 クトゥルフ神話TRPGを始めたてで、何をすればいいのか、何ができていればいいのかも分からない……。そんなあなた向けに、とりあえずこれだけ意識できていれば大丈夫!という基本の遊び方をまとめました。

 

ルールを確認しよう

 基本ルールブックを持っていない場合は、7版のクイックスタート(簡易版ルールブック)が公式から無料でダウンロードできます。まだルールブックを買えていない場合、最初はこれを参照しましょう。
 
 http://r-r.arclight.co.jp/wp-content/uploads/2019/...(PDFダウンロードが始まります、通信量注意)
 
 2021年現在、6版環境は未だ根強いためここに載っているのと違うルールを使う場合もあります。しかしいずれの版を使用する場合でも4~6ページ及び7ページのプレイの例は参考になるでしょう。またルールも大筋は変わらないため見ておいて損はありません。
 
 ルールブックなしで遊びたい場合は、KPに確認してから参加すること。クイックスタート既読、ルルブ未所持の場合もKPによって可・不可が分かれるので必ず聞いてください。
 
 ゲームを遊び始めるにあたってプレイヤーとなるあなたが読む必要があるのはp.28~114(6版)、p.10~17,28~177(7版)です。もちろんすべて暗記する必要はありませんが、一度通して読むことで「たしかこういうルールがあったよね」と思い出せるようにしておきましょう。
 
 ただ初心者のうちは慣れないシステムのルールをこれだけ読み通すのも大変な場合があるかもしれません。
 もし参加予定のセッションまでに時間がない場合は、KPに「最低限どの章を読んでおけばよいか?」を聞いてみるのもひとつの手です。前提として、ゲーム参加にあたって必要なルールをおさえておくというのは最低限の必須事項ですが、たとえば「カーチェイスはシナリオ記載のルールを使うから今回は必要ないかな~」だとか「うちは戦闘はハウスルールを使うからルールブックの細かい部分は使わないよ」だとかいう場合はけっこうあります。そのセッションが終了したら、あらためて全体を読み通してみてください。
 
 ルールを自分で把握しておくことで、セッションをよりスムーズに進めることができます。
 また、自分の持っている技能でできること・できないことの範囲を把握しておけば探索をするうえでどのような動きをするのが効果的かアイデアが出やすくなります。動画などでは見ない便利な使い方も多いので、初めて読む人にはかなりの発見があるはずです。
 
 他にもこのルールを使ってこういうことができないだろうか?とKPに提案し、より活躍の場を広げることもできます。PLに必要な部分は、一度読んでおきましょう。
 
  • ルールブックを読んだ?
    →p.28~114(6版の場合)、p.10~17,28~177(7版の場合
 

KPの裁定を聞こう

 CoCに限らず、TRPGGM(CoCではKP)が全体の進行役をつとめます。こういうことをしたい、その場合はどのルールを使うのかな?どの能力値で判定するのかな?全てKPに聞いてみましょう。そして、それに従ってください。

 

 シナリオの都合上、ルールブックに一般的な裁定として記されているものと違うルールを使ったり、そもそも判定が発生しなかったりということもよくあります。適当に思えるかもしれませんが、これはTRPGというゲームの柔軟性ゆえに発生するものです。

 あなたが普通のルールでは処理しきれないような創意的な方法を思いついたとします。このとき、KPには新しい判定方法やルールを作り出してでもそれに応えられるだけの権限が与えられています。

 そして、そのKPが無理と判断したものは、何があっても無理なのです。

 

 これをやりたい、と思ったら、まずKPに提案してみましょう。なんでもKPに(一緒に遊んでいるPL,PCに影響することなら、もちろんその人にも)相談してみることです。どうすればいいかはKPが教えてくれます。

 
  • KPに相談して、裁定を聞こう
 

ゲームを進めよう

 TRPGをプレイする上で重要な行動を3つに絞りました。(合わせてルルブp.28,29「TRPGとは」の項も参照のこと)

行動宣言をしよう

 ひとつめは行動宣言。「KP、○○をします」という発言のことです。

 極論、この行動宣言さえしていればゲームを進められます。まずはここから始めましょう。

 「○○しようかな~」「○○したらどうなりますか?」では、KPは答えようがないことが多いです(PCが今知っていること、調べて分かったことについてはKPが提示できますが、○○したらどうなるか?という予測については、PCに未来予知の能力でもない限り情報を出すことはできません。ただし、「こういう情報があったことを鑑みると、よくないことが起こるかもしれないよ」といったヒントをくれる場合も)。

 

 考えて、行動した結果どうなるかを楽しむのがこのゲームです。喋って進めるゲームなので、黙って立ち止まるより、〇〇します!をどんどん使っていきましょう。

 

 また行動宣言時は「どういった目的で」「何をするのか」を具体的に宣言しましょう。

 たとえば、単に「言いくるめを振ります」だけではいったい何を言いくるめたいのかが分かりません。また、使う技能はKPが決定するので、どの技能を使うかまで宣言する必要はありません。よって、「どういう結果を得るために、どのように行動したい」というふうに宣言してみましょう。

 たとえば、「この廃墟に人が住んでいる痕跡がないか探したい」ならば「目星を振ってください」と言われるかもしれませんし、「潜んでいる敵に見つからず安全に捜索できるか幸運を振ってください」ということになるかもしれません。「何のために、どういう行動をしたいか」をKPに伝え、KPはそれを受けてどんな判定が必要か、どんな結果になったかを裁定する、という行動の繰り返しでゲームが進んでいくのです。

 

相談しよう

 ふたつめは相談。これはKPへの相談PL同士の相談があります。

 KPへの相談は提案や情報の確認など、いくつか種類があります。相談というか声掛けですね。「こういうことをしてもいいですか?」「こういうことを考えているんですが、やるとしたらどんな判定が必要になりますか?」「周囲の様子はどうなっていますか?」とにかく気になることは何でも聞きましょう。上の「裁定を聞こう」の項と被っていますが、要はそのくらいKPを使ってくださいということです。

 また、「こういうことをしてみたいんですが、何か使えそうなものはありませんか?」といった相談もよいでしょう。細部の設定はKPにしか分からないことが多いですが、こういった相談ができると、その設定の中から使えそうなものをKPが拾ってくれる場合があります。

 次に、複数人で遊ぶときはPL同士の相談が必要なのは言うまでもありません。探索は一緒に行うのか?手分けするのか?情報の共有は?シナリオクリアに向けて助け合うため、こちらも必要なことはなんでも話し合いましょう。「自分のPCはこういうことをしてみたいが、あなたはどうする?」と積極的に発言したほうが、全体としての方向性も定まりやすいです。p.30『プレイヤー間の協力』も合わせて参照のこと。

 「NPC接触するか否か、また会話が発生するならばその内容をどうするか」「あるNPC(や神話生物)に攻撃をしかけるか否か」等は特に、先にPLレベルで相談を行った方がよい内容です。何かに対して敵対的な行動、破壊的な行動、何らかのトリガーになりそうな行動(扉を開くなど)は特に注意して同意をとるのが無難です。

 

 大前提として、TRPGの目的は、お互い協力しあって皆が楽しむことです。自他に危害を加えたり、PCの立場が不利になったりするようなピーキーなRPなどは、必ず相談して同意を取りましょう

 PvPなどが発生する場合はまた別途頑張ってください。

情報を整理しよう

 みっつめは情報の整理。シナリオが進むと、次々と新たな情報が出てきます。新しい場所の描写がつらつらと並ぶ、日記を読む、判定の結果が出る、とにかく情報だらけです。共有メモなどを使い、出た情報は逐一整理してまとめていきましょう。1本道シナリオでも、3つ目の部屋あたりにくるともう1つ目のことが頭から抜け落ちていたりします。

 出た情報は共有し、取りこぼしの無いようにまとめ、事件解決の方針を探りましょう。

 

  • 「KP、○○します」と行動宣言しよう
  • KPや一緒に遊んでいるPLに相談できるようになろう
  • シナリオで出てきた情報を整理しよう
 
▶攻略情報まとめ読み

初心者ガイドまとめページで他のプレイガイドを読む

【クトゥルフ神話TRPG】私の探索者、なんでここで死ななきゃならなかったのか?PCの死のデザインを考える

CoCの死って本当に理不尽なの?

 CoCのルールブックにおいて探索者の死はどのようにデザインされているのか?に始まり、最終的にはシナリオを書いたりKPをするにあたって納得できないロストを生まないようにするにはどうするべきかについて一定の結論を出そうとしてる記事です。
 
 PCのロストについて興味のある方はよろしくどうぞ。
 
 

 
 
 CoCにまつわる会話を聞いていて不思議に思うことがあります。
 
 「CoCは理不尽に死ぬもの。みんなCoCやるならそれは受け入れてるでしょ」
 
 確かにシステム的にはあっさり死にますね。探索者は非常に脆弱です。
 ただ聞きたいんですけど、探索者が死んだことのある人、ほんとに死んで楽しかった?その死に納得してこれもまたCoCの楽しみのうちのひとつだなって心の底から思えた?
 私はそう思えた死も思えなかった死もあります。途中の中途半端なところでコロッと死んだけどあ~~~楽しかった!やりきった!と思えたものと、一応完走はしたがえ、今ほんまになんで死んだん?というモヤモヤを宥めるのが大変だったものと。
 
 実は、ルールブックp.146に次のようなくだりがあります。
『探索者を殺すのは……死には何らかの意味があるべきである。探索者が気を失って倒れたら、即モンスターに食わせたりしないで、そこに横たわらせておくことだ。……探索者は安楽に守られた生活を送るべきではないが、彼らを気軽に殺すべきでもない。……死は自由な選択の結果としてもたらされるべきものだろう。』
(以後の引用部分において三点リーダ部分は中略、強調は筆者による)
 
 ???CoCってほんとに理不尽に死ぬものなの???って思いません?
 
 ただ、この一節だけをもって上の「CoCは理不尽に死ぬもの」発言を否定するつもりはないんです。だってほんとにバランス理不尽なデータも処理もあるし。
 
 それに『自由な選択の結果としての死』がもし「完全に任意の好きなタイミングで死ねる」ということならそれはもうダイス振る必要ないじゃないですか。ストーリー上の演劇的な効果でも考えながらあらかじめタイミングを決めればいい。
 やはり予測できなかったり、ダイスがうっかりしたのをカバーしきれず死ぬケースは想定されてる(というか、システム上どうしても起こりうる)わけですよ。
 
 じゃあやっぱり理不尽に死ぬことってあるんじゃないの?
 
 なんだかCoCにおけるロストの思想を探ってみたくなってきましたね。ルールブック全体としては一体どう書かれてるんだ?
 
 
 というわけで「理不尽な」という言葉をここまでふわっと使ってきてしまったので、一旦この記事内でのニュアンスを定義します。辞書的には「理にかなわない」ですがこの場合の"理"が何なのかすらよく分からないので。
 
 自分の見る範囲で使われている「理不尽な死」をもう少し具体的に言い替えると、「なんかわけわからんままいきなり死ぬ」「出てくる敵や障害となるギミックがまず太刀打ちできないほど難しい」あたりではないかと思います。いきなり死んだら確かにえっ?となりますから、一応この「わけわからんまま=プレイヤーが事前に知ることはできない、思いがけないタイミングで」というのを「理不尽な」の具体的なニュアンスのひとつとしておきましょう。あっこれは死ぬわ、という脈絡とか納得感を与えないような流れで死ぬ、ということですね。
 
 もうひとつは「探索者がどうにもできないような圧倒的な力によって」とでもしておきましょう。相対的戦力差ということで、敵が強いというより探索者が脆弱すぎてうっかり死ぬ、というのもこちらに含めておきます。また死ぬのは耐久力だけとは限りません(正気度なども含む)。
 
 ただ最終的には、程度の差こそあれプレイヤーが「納得できない」と感じるもの全般理不尽な死と呼ばれているように思います。
 

 

 
 「完全にプレイヤーの好きなタイミングで死ねるように作られているわけではない」、でも死は『自由な選択の結果として』もたらされる。この二つをどう調和させるべきか?
 
 まずCoC6版ルールブックにおける死についていうと、プレイヤーが死も仕方ない、必然であると明らかに分かるような愚かな選択をした結果は死が待つだろう、ということになっています。
 なお後述しますがこの明らかに分かるというのは目に見えた地雷を踏みに行くという意味ではありません。
 
 探索者がいかなるタイミングで死亡するのか?について書かれているのは、先に引用したp.146『キーパーの戦略』、およびp.156~『生か死か』の部分です。より具体的な記述のある後者から引用すると、
『探索者の死は、……何らかの意味で仕方ないと思われるときまでは、起こらないほうが望ましいことである。愚かな行動や不注意な行動は、そう(=仕方ないと)思わせる1つの道である。幸運に頼りすぎるということもそうである。』p.156
この引用における()内付記は筆者による
 
 で、どういった行動が『愚かな行動や不注意な行動』にあたるのかというのはその後段にしっかり例示されています。
『プレイヤーが探索者を失うのは次のような場合だろう。探索を急ぎすぎる、居合わせた人にちょっかいを出していじめる、証拠を無視する、ちゃんとした計画もバックアップもなしにカルティストの本部へ……』p.157
 とまあ、明らかに分かりやすいプレイミスですね。慌てすぎ、NPC対応失敗、情報処理の失敗、短慮で死に急ぐ等々、その時の本人が死ぬつもりで目に見えた地雷を踏みに行っているわけではない。しかし傍から見ればプレイング上の明らかなミスがある。これは確かに仕方ないということになるでしょう。
 
 重要なのは、これらは本人の為した不注意な行動の結果であって、まずい行動はしていないがうっかりダイスが走ってわけのわからないうちに死んだ、という想定ではないわけです。それは仕方のない死に方ではない。うっかり死にでもしそうな場合はそこらへんに転がしておけと最初の引用にもありましたね。
 
 さらに「探索者がどうにもできないような圧倒的な力」についても、p.32『……キーパーなら、……ひどく手強い敵の場合はちゃんと前もって警告してくれるはずだ*1』等難易度の高い障害を出すにはきちんと予告などの段階を踏むことが想定されています*2
 シナリオによっては当然、神格などの圧倒的な力による死もあります。しかしそれを相応の警告もなく登場させたりはするなよ、と書かれているということです。
 
 また、
『暴力の規模を低く抑え、……探索者があくまでも死へ向かって突き進むことにこだわった場合、誠実なキーパーはあまり無理にそれに抵抗はしないだろう。……探索者を無理に戦闘に持ち込ませるようなキーパーは、最後にはプレイヤーのやる気をなくさせてしまうものである。』p.156
 つまりKPの側としてはイベントを強制的に畳み掛けて殺すようなことは推奨しない、あくまで探索者の選択として死へ突き進むことになるというビジョンが提示されています。
 
 ここまで見た限りでも、ゲームとして目指すところである楽しいプレイのため、かなり気を遣って死のデザインに納得感を持たせようとしているのが窺えます。
 
 
 しかし、です。
 ここまでやっても、死を『自由な選択の結果』とまで言うには何か足りないんじゃないかと思うのです。
 仕方のないプレイミスや強敵の予感があれば、それは本当に納得のいく死になるのでしょうか?
 
 否、死が『自由な選択の結果』であるためには当然選択肢が必要になるはずですね。
 
 この選択肢は慎重な正しいプレイか、拙速なプレイミスか、の二択ではないと思うのです。先述したように、プレイヤーはしようと思ってプレイミスをしているわけではありません。焦りからの見落としであったり逸る心を制御しきれず飛び出してしまった結果であったりがKPの視点から見てミスであったと判断されるのです。
 つまり正しいプレイorプレイミスは選択肢としてプレイヤーに提示されているものではない。では楽しいプレイのため、理不尽に感じない死のためにプレイヤーに提示された選択肢とはなんなのか?
 
 
 そこに入るのは「逃げるという選択肢」ではないか。
 筆者がこう考えるに至った項目の中から代表的な部分をを抜粋します。
 
逃げるのだ。探索者が生きていればまた戻ってくることもできる
破局に至ってしまい、不気味な恐怖の存在が探索者一行を圧倒した場合には、逃げることが可能な者はシナリオのことは放り出して、逃げ出してしまうのがいいだろう。……探索者がもっと自信がついてうまく行動できるようになってから、また同じシナリオに挑戦してもいいのだ』p.32
『そのプレイで使命が達せられなかったとしても、またあとでチャンスがあるだろう。ゲームのポイントは使命を達成することではなく、あくまでもロールプレイにあるのである』p.30
 
 また、プレイの例には何ヵ月もかけて怪我や狂気の治療をしたり手がかりを集めたりという場面がずいぶん多いですね。シナリオとしては途中であっても、探索者がひどいダメージを負ったら一時的に幕を引き、心や体の傷を癒したりのインターバルを設けるという選択肢があるのが見てとれます*3
 
 ちなみに単なる道中の無謀行動については『無計画な探索をした報いを与え、しかも狂気や死によって彼らをプレイから除外しないですませる』(p.157)ための方法を20行以上にわたって懇切丁寧に記述してあるところからそのスタンスが見て取れるのではないでしょうか。
 
 
 KPからの適切な警告を受けて、あるいは危機を目の当たりにして、もし自分の探索者には無理だと思えば逃げればよい。
 しかし逃げるという選択肢がある中をあえて進むから危険を理不尽だと恨まず受け入れられる。戻りたければ戻れる、安全の保障された道を捨てるからこそ進むのが自己責任となり、降りかかる死も納得できる。
 というデザインなのではないか?
 ルールブックには「自由な選択」の選択肢が何なのか書かれていません。なのでこれはテキスト全体からの推測になりますが、選びとった死の道を納得のいくものにできる選択肢は他に見当たらないように思います。
 
 この「逃げる」が選択肢のひとつじゃないかと思ったのはそもそもCoC自体が正気度を減らして探索するか?やめるか?のチキチキレースが根幹となるシステムだからというのもあります。意図して相似形をもたせているのかどうかは別ですが。
 
 
 ここまでの内容をまとめると、敵の強大さに相応の警告を行い、逃げ道を用意した上であえて危険を犯すという意思を見届け、その先において明らかな失敗行動の結果で死ぬ、と殺すならきちんとそのくらいのお膳立てはしろと書いてあるように読めます。
 まあ警戒する暇もなく強すぎる敵が出てくればそりゃえっ?となるだろうし、最初から一切逃げ道のないところに追い込まれてどうすることもできない状況で死ねば当然すっきりしないこともあるでしょう。まとめてみればきわめて順当な内容ですね。
 
 探索者は『謎を解き明かし事件を解決しようと努めるキャラクター』との定義はありますが、命の損得勘定ができない、どれだけ危険そうであっても死にに行くことに躊躇がないという意味ではないはずです。引き返せる状況であれば、死んで情報も抱え落ちするよりは一度探索の成果を持ち帰りまた挑戦することが結果的に事件解決のためだ、という判断も自然に考えられる範囲内でしょう。単にシナリオの冒頭から駄々をこねて依頼を受けたがらないような困ったプレイヤーの問題とはわけが違います
 
 
 さらにこれは補助的なケアの問題になりますが、死のデザインに関してもうひとつ抑えておきたいポイントがあります。
 もしも探索者のとった手段が失敗であっても、神話的事象に対して勇敢に行動しようとした気持ちに結果がついてこなかっただけであって、その死には敬意が必要だということです。
『ゲームの世界では邪悪に抵抗するためにベストを尽くした探索者は、必ず尊敬を受けるということである。』p.52『 最後の運命』
『キーパーの役目は、プレイヤーのロールプレイングが報われるようにすることである。プレイヤーのこれまでの努力が正当化されるようにすることである。……死んでしまっている場合はなおさらである』p.147『シナリオの構成』
 クトゥルフ神話の世界観自体にはあまり救いがありませんが、それはPCの死が報われないということではないのです。死んでその無力さを嘲笑われたりPCの努力は無駄に終わった、というようなストーリー運びは死の納得感を求めるのであればやらないほうがよいでしょう。
 
 
 さてここまで読んできて判明した流れを気にかけておけば、少なくともえっなんで死んだ?と思われることはないのではないかと思います。PCは死ぬとしても十分に準備ができますし、逃げるという選択肢もあるのですから*4
 シナリオの時点ではここまで考えられていないものもあるでしょうが、KPはアレンジ*5やキーパリングの采配によってPCをきちんと納得のいく死へ送り出すことができます。もちろん、慎重な良いプレイをしたならば生還と報酬でそれを称えればよいのです。
 
 逆に、どのような状況で納得のいかない「理不尽な死」が生まれやすいのか考えることもできます。
 もしクライマックスで探索者の一部もしくは全員の死が避けられないような難易度の場合、最初から最後まで完全に逃げ道のふさがれているクローズドや、プレイングのミスが関係ないところ(必須で振らなければならない厳しいダイス判定や単なる思想クイズのようなもの)で生死を決められるシナリオは死の納得感を著しく損なう可能性が上がるでしょう。死以外の途中脱落のルートなどを考えておいた方がよいかもしれません。
 また人類の卑小さというクトゥルフ神話的な無常感を演出しようとして、探索者の死を軽く扱ったり、嘲りを受けるようなものにするのも避けるべきです*6
 
 
 死か生還かという、極端な二択のどちらかを必ず選ばせなくてはならないわけではないのです。目的を達成できず、道半ばにして多くのものを失いながら惨めに引き返すも再起からのリベンジを誓う、そういったストーリーがあってもよいのではありませんか?これはTRPG、あらかじめ用意されたエンディングへと突き進むしかない電源ゲームとは違います。選択肢は無数にあるのです
 
 
追記:7版の記述について
 
 こういったゲームデザイン上の思想について、6版はふわっとした例と指針が各所に散らばる形で書かれていましたが、それを読み取れず問題が起こるパターンが多かったのか、かなり明確に、システマチックに処理を指示するような形で色々な記述がアップデートされています。
 死亡周りのデザインについてはp.82, 206, 210あたりにまとまった記述がありますが、試しにp.206をひいてみることにしましょう。
『キーパーは、……可能なかぎり探索者が死を回避する機会を……提供するよう努力したほうがよい。……探索者の確実な死を避けるために最大3回の機会をプレイヤーに与える』
  なるほどね。6版時点だとKPが調整うっかりして一撃死でもしちゃって応急手当間に合わないとかの事故はどうしてもあるよねという感じだったんですが、潔くシステム的な救済を入れてきましたね。
 
 この部分の小題は『公正な警告』なのでおそらく準備ができていない・探索が十分でないうちにラスボスの領域に踏み込んでしまってうっかり死!といった状況を避けるための意味合いが強いと思うのですが、どちらにしろ唐突に殺したりするなよ、このくらい危険なんだってPLに見せてから先へ進ませろよ、という思想を強調するための記述と読めると思います。
 
 ちなみに「探索者が失敗したときそのままシステマチックに死亡処理をするのではなくKPがいい感じに救済を入れる*7」ことを可能にする記述がいろいろと強化されていて、一番は「ダイスが失敗したからといってその行動が失敗するわけではない」という点です。『キーパーが求める方へ物事が進む(目的は達成されることもあれば……(p.191)』とあるように、ダイスの失敗=KPが望むように結果を決められるのであって、例えば「回避が失敗した!攻撃が当たって死んだ!」ではなく「回避が失敗した!君はバランスを崩して床に転倒し意識を失った!」という処理ができるように、「応急手当が失敗した!探索者は死んだ!」ではなく「応急手当が失敗した!容体は安定したが肌には永久に醜い傷跡が残ることになりAPPが1D3減少した!」という処理を考えられるように懇切丁寧に書いてくれているわけです。
 
 少なくとも、7版でダイスの女神が探索者を殺し、それをKPが「救いたかったよ~~!」と言いながらPLともども残念がるという状況はありません(死の準備を済ませた後の終盤を除く)。結果はKPが決められるのですから、探索者が死んだらそれはKPの判断です*8*9
 
 こういった記述の意図を読み取れずに「なるほどね、高ロスシナリオにしたいから序盤で確実に死ぬシーンを3回入れて残機使い切ってもらおう。あとは危険なダイスをガンガン振らせる」とかやる人が出てきたらまあどうしようもありませんが、少なくともあなたがKPをする時の指針として、いまいちどルールブックの記述を読み直し、死のデザインについて考えてみてください。この記事がその一助になれば幸いです。
 

最後に

 ここまでルールブックの引用からの読み解きを通して話を組み立ててきたわけですが、引用というものはご存じのとおり恣意的に内容をねじ曲げられる可能性があります(もちろん書いている当人にねじ曲げているつもりはないですが、これを読んでいるあなたは頭から私を信用しないほうがいいです)。それに、私が今回の議論には必要ないと感じて引用しなかった部分を組み込んでこそルールの真意について正確な読み解きが成り立つかもしれません。
 この記事に関してそのような類いの問題点、あるいは別の視点からの見方があると感じた人はぜひSNSなどを通して自分の意見を発信してほしいと思います。
 

f:id:entori:20190505230318p:plain

*1:システムの思想としてKPにそのようなフェアさを期待していると解釈する

*2:その他関連する記述はp.156周辺など

*3:もちろん一番に想定されているのはキャンペーンの幕間の処理でしょうが、一時的にシナリオ探索を撤退してからの再開という選択肢も同様に想定されているであろうということ

*4:余談ですが、1920s INVESTIGATOR'S COMPANIONには『遺書を書く』という項目があります。探索者が事前に危険を冒す覚悟を固めるというゲームの流れが想定されていることの傍証になるかと思います。

*5:アレンジの是非についてここで詳しく議論はしませんがまずルールブックのp.144やp.156(6版)を見てください。シナリオはKPがアレンジする前提で書かれています

*6:もちろん、相手がそのような死を喜ぶことを知っているのであればその嗜好に応じてこのような演出をとることは問題ないでしょう

*7:救済を入れるだけに限らず、KPを単にシナリオを読み上げてダイスを振らせる機械にしてしまわないための、探索者たちのためのストーリーを柔軟にアレンジする役職とするためのKPの権能の強化

*8:むろん、死の局面に至るまでにはPLのプレイングが重要なのですから責任がKPだけにあるというわけではありません

*9:6版でもプレイの例の囲みを見ていると7版で想定されているような救済と同様KPが柔軟に処理をしている場面はあるのですが、きちんと明文化しなければならないと判断したのでしょう

【クトゥルフ神話TRPG】初心者ガイドまとめページ【記事まとめ】

f:id:entori:20210401122523p:plain

 3年ほど前に大勢の初心者(+経験者)が集まって遊び始めた卓で、CoCを連日プレイする中出てきたさまざまな疑問に対応するため初心者ガイドという記事をwikiに執筆していました。

 
 その記事はなるべく端的に、短く書くという目標があったため、各項目をもう少し噛み砕いて詳しく書ける場所がほしいなと思っていました。wiki内で詳しく書くページを作っても良かったのですが、初心者ガイドと題した文書があまりに膨大だと初心者さんの参入に対する心理的ハードルを上げてしまうためある程度まとまった分量になった項目は自前のブログに移植していくことにした次第です。(とはいえ現時点で4万字越えてたんですけどね……)
 
 また元ページは誰でも編集可能で内容の同一性が保証できないため他人の触れないところにあらためて文章を置いておきたかったというのもあります。
 
 そういう経緯でできた記事なので(全部移植し終われば)初心者の時期にぶつかりがちな問題についてはそれなりに網羅できるのではないかと思います。初心者PL向け、初心者KP向け両方あり。
 
 元記事から移植し終わるまでは順次更新&追記していきます。
 
 元記事を分割・一部改稿したものなので元記事既読の方には重複している内容も多いですが、7版対応などもろもろブラッシュアップを加えていきますのでもし記事にあるようなお悩みを抱えている方を見かけた場合は当記事をご紹介くださると嬉しいです。
 おことわり
 TRPGには様々な方法論があります。こちらの記事群は身内卓で初心者さんに読んでもらう目的で作成した記事が多いため、その目的に添った偏りがあることをご承知おきください。
  • 版について特別な言及がない場合は6版システムを前提にしています。
  • ルールブックp.◯◯参照、とだけ書いてあって何版かの言及がない場合は6版を参照してください。
  • 「クローズド」「シティ」「秘匿」など基本ルールブックで定義されていない用語を使うことがあります。細かい定義が必要と思った場合は各記事内に記載してありますが、元々身内向けに書いていたこともあり不十分な部分があるかもしれません。

そもそもCoCをまだ始めてない人向けの記事

【無料版あり】クトゥルフ神話TRPGの始め方【ルールブックから使用ツールまで】

初心者PL向け記事

≫次回更新予定:オンラインセッションのトラブルシュート(発展編)

PL初心者ガイド導入編

【クトゥルフ神話TRPG】これだけできれば大丈夫、初心者プレイヤーの遊び方基本のキ

 まずはこれだけ、初心者さんは最初におさえておけば大丈夫!な基本について書きました。

【TRPG】ロールプレイの方法は?コツってあるの?【初心者・苦手な人むけ】

 ロールプレイ、そもそも何をすることなのか分からない、なんとなくやってみてはいるけど上手くできてない気がする、他の人と同じようにできなくてどうしよう……。そんなプレイヤー向けのHow to記事。

【クトゥルフ神話TRPG】おすすめ技能の振り方と目安【6・7版対応】

 こちらは元記事に追加しようと思って結局書かなかったので完全新記事です。推奨技能をとるくらいならまあできるけど、他の技能ってどうしたらいいんだろう、どの技能をどれくらい取ればいいんだろう、「シティシナリオ」って使う技能が違うのかな、などなど技能の振り方がまだ定まっていないあなた向けの一例。

 体調不良、遅刻、中断など、よくある基本的なトラブルに対する心構えのための記事。

 

PL初心者ガイドちょっと発展編

【TRPG】『情報を処理する』って、どうやってる?誰にでもできる3ステップ

 

【クトゥルフ神話TRPG】脱初心者のためのちょっと洗練されたPL発言

 

初心者KP向け記事

 ≫次回更新予定:シナリオの書き方中級編orトラブルシュートその1

 KP初心者ガイド事前編

【クトゥルフ神話TRPG】KP初心者のあなたがまずやるべきこと

 初心者KPとしていざセッションをするにあたり必要な事前準備を網羅。セッション前のチェックリストとして活用してください。

【クトゥルフ神話TRPG】無料&オンラインで読めるクトゥルフ神話の原作小説9作品【書籍紹介あり】

 6版ルールブックp.145および7版p.15で遊ぶ前に読んでみるようおすすめされている作品など、クトゥルフ神話の原作小説のうち青空文庫で読めるラヴクラフト作品を紹介。書籍で読みたい人向けのシリーズ作品情報もあります。

【クトゥルフ神話TRPG】初心者KPがシナリオを選ぶときにチェックするべき6項目

 これから遊ぶシナリオを選ぶ人向けに、初心者KPにも回しやすいシナリオを選び出すためのチェック項目について書きました。

【TRPG】既製のシナリオを効果的に読み込んで理解するための3つの方法

 

KP初心者ガイドプレイ中編

【クトゥルフ神話TRPG】KPに必要なプレイ中の心構え

KP初心者ガイドシナリオ編

【クトゥルフ神話TRPG】シナリオの作り方・初級編

 すべて実例つきでシナリオの書き方を基本から丁寧に解説。

 

 

 

 

 

 

【クトゥルフ神話TRPG】「ルールブックに書かれてないルール」があることを知ってる?~あるいは楽しめない秘匿HOシナリオについて~

f:id:entori:20190427045345p:plain
 
 秘匿HOシナリオを遊んだけど楽しくなかった!自分の感覚がおかしい?あるいは、秘匿HOシナリオを作ってみたい!でもCoCで秘匿は難しいっていうし、何に気をつけたらいいんだろう?というあなた向けに、CoC秘匿シナリオにおける失敗パターンのひとつをお話しする記事。
 
 秘匿HOシナリオは嫌、と言う人がいる。理由は様々だが、彼ら/彼女らに嫌、と言わしめるシナリオのうちいくつかには共通点がある。その共通点とは「ルールブックに書かれていないルール」に関係があるのだ。
 

 

前置き

 最初に断っておくが、本稿にはすでに行われた/これから行われる秘匿HOを用いたシナリオを断罪するような意図はない(私も遊んでいる)。楽しい秘匿HOシナリオもあるし、参加者が楽しめれば全てOKだ。
 だが世の中には楽しくないどころか今後秘匿HOはやりたくないとまで言わしめてしまうようなシナリオもあって、原因としてこういうものあるよ、という話をしたい。
 
 面白いやつは面白いんだよ。面白いやつは。
 
 

本文

 ゲームにはルールがある。
 ゲームは遊びなので、一番重要なのは参加者全員が楽しむことだ。
 そして、全員が楽しく遊ぶためにルールが必要とされる。
 
 で、秘匿HOというやつはこのルールを破ってしまうことがある。ルールが破られると不公平が発生する。不公平に遊ぶゲームは楽しくない。そこが問題だ。
 
 しかしながら、秘匿HOを使うシナリオであっても、普通は基本ルールブックのルールに準じてプレイされている。情報を秘匿するにあたってハウスルールが追加されていることがある程度で、元のルールを破りまくることを強いるようなシナリオは記憶にない人のほうが多いだろう。では、いったいどんなルールが破られているというのだろうか?
 

「ルールブックに書かれていない」ルール

 
 ゲームには、明文化されていないルールがある。それは文字に起こしてしまえばしごく当たり前に見える。いやもう本当に当たり前。分かっている人には当たり前すぎて怒られるかもしれない。
 だがこのルールは当たり前すぎるがゆえにいちいち書かれない。書かれないがために、意識されることもあまりない。当たり前ゆえ普通は無意識のうちに守られているが、逆に言うと無意識にしか守られていないため、ルールが破られていても気づかれないことがあるのだ。
 この明文化されない、いつもは皆が無意識に守っているルールのことを仮に「当たり前のルール」と呼ぼう。
 
 TRPGで元々のシステムから離れた変則的なシナリオを作ると、この「当たり前のルール」自体が知らないうちに崩れやすい。CoCは元のシステムが柔軟でシナリオに独自のルールを導入しやすいため、輪をかけて崩れやすくなっている。楽しくない秘匿HOシナリオには、「当たり前のルール」が破られてしまっているものが多いのだ。
 
 ではこの当たり前のルール」とはなんなのか、それを破らないようにするにはどうすれば良いのか、について考えたい。
 
 以下、カッコなしのルールという語は一般的な意味でのルール(個別のゲームのルール)を指す。このルールという言葉にはルールブックに書いてあるような内容全てが含まれる。行動の手順や規則のみならず、勝利条件なども重要なルールだ。
  このルールに対して、「当たり前のルール」とはどんなものなのかを以下に述べていく。
 
 

当たり前のルール」の例……例、と書いたのは全てを網羅できている自信がないからだ。他にもこういう「当たり前のルール」があるぞという方は各々発信してほしい。

 
ルールは必ず全員に対して適用される
(GMとそれ以外など、ゲーム中の役割によって適用されるルールが違うことはある。だが参加者全員になんらかのルールが課されるのは間違いない。ルールの課されていない状態はゲームではない)
 
ルールは全員に公開され、全員が同じだけの情報をもつ
(全ての人に公開されないルールがある、何らかの理由で人によって持っている情報量が変わる、というルールがない限り)
 
ルールが知らないうちに変わることはない
(知らないうちに変わることがある、というルールが事前に知らされていないかぎり)
 
・全員が自分(自陣営)の勝利を目指す
(負けそうだからといって途中でゲームを投げて適当な動きをしたり、他の人を勝たせようとしたりしない。負けを目指してもよい、という ルールがないかぎり)
 
 これはゲームの公平性、フェアネスのための不文律だ。というか、公平にゲームを遊ぼうと思ったら一部の人にだけルールを説明しないとか普通考えつかないと思う。すごろくで「最初にあがった人が勝ち」っていうルールを一人だけ知らされてないとかね。
「当たり前」と書いたわけが分かってもらえただろうか。
 
 CoCの勝利条件は全員が楽しむことだ。ルールブックにもそう書いてある。
 が、それはそれとしてシナリオごとに報酬の設定された大目的みたいなものはある。神話生物を封印するとかカルティストを倒すとか。普通はこれを共通の目的として目指すことになる。
 CoCは協力ゲーム*1だ。PC同士は対立してもPL同士は協力しよう、とルールブックにも書かれている。よって、PLはまずルールとして「PLどうしは協力するもの」と考える。このルールが破られる場合は事前に「PvPあり」などと募集要項に記載されることが多い*2
 とくに注記がなければ、「PLは皆勝利条件を共有している」と思ってシナリオに参加するわけだ。
 
 しかしながら、秘匿HOシナリオには「全員が勝利条件を共有している、と一部の人に思い込ませておいて別の人には違う勝利条件を渡し、しかも片方はそのことを知っているのにもう片方は知らない」というようなことをするやつがある。「実は勝利条件の違う人間がいる」というルールを知らない人を作り、その人(たち)を負かしてから「サプライズ!実は勝利条件の違う人がいました!」とやるわけだ。だがこれは、上記「当たり前のルール」のうち
 
・ルールは全員に公開され、全員が同じだけの情報をもつ
 
を破っている。実は一部のPL&PCだけ使えるルールがあって、しかもそのことを他は知らない、という合わせ技も存在する。
 そりゃゲームの大前提を信じている人をだまして別のルールを用意すれば勝てるのは当たり前だ。サプライズはサプライズだが、嬉しくないサプライズだ。やられた側は単純に「ズルをされた」とか「八百長に巻き込まれた」と感じる。
 公平なゲームだと思って参加したのに実は知らされていたルールと違った、知らないうちにルールが変わっていて負けた、そんなの誰もやりたいと思わない。
 しかしながら、意外性や一部の人だけの楽しみだけに目を取られて行きすぎると、この当たり前が忘れられてしまうらしい。とくに、これはGMが気づきにくい罠のようだ。GM側からすればサプライズを仕掛けるのは楽しいことなので、そのアイデアに夢中になってしまうと歯止めがききにくい。自分も含めて、自省が必要なことだと思う。
 上記は極端な実例だが、秘匿ギミックはこれに近い「当たり前のルール」破りの危険と常に隣りあわせだ。
 
 
 CoCとは違い秘匿HOが最初からルールに組み込まれているようなシステムもあるが、その場合はきちんと秘匿HOによる情報の不均衡等々についてのルールが全員に公開されている。勝利条件が違ったり、変わったりといったルール変更についてのルールもPLは全員が事前に了承してから参加する*3成功する秘匿HOシナリオは、「当たり前のルール」は破らない
 
 シナリオ製作者やKPは楽しいゲームのためなら新しいルールを追加したり既存のルールを変更したりしてもよい。だが、「当たり前のルール」は破らないのが賢明だ。これらはゲームの公平さを担保するためのもので、公平さはゲームを楽しむために絶対に必要だ*4
 
 自分の書いた秘匿HOシナリオが不公平なものになっていないか心配になったら、全員の勝利(生還)条件やルールに関して与えられている情報量は同じか、不均衡があるならば情報の不均衡があるということ自体についてなんらかの方法で周知されるか、またその不均衡な部分に干渉し是正する手段が(とくに情報量的に不利なPCに対して)保証されているかを気にするといいと思う。あなたは情報が少ないですよー、と知らされてもそれをどうにかする方法がなければ不公平によるフラストレーションを抱えるのは避けられない。情報と手段はワンセットにしておこう。
 
 個人的には情報秘匿によってエモいRPが発生しやすくなる、程度であれば安全に秘匿シナリオのよいところを楽しめると思うが、勝利条件(生還など)に影響する場合はかなりめんどうなことになるので、特殊ルールのデザインに自信がない場合は極力避け、自信があるとしても率直な意見がもらえるテストプレイ環境を用意して慎重に調整を重ねるべきだと思う。
 
 ちなみにPLは、一度まずい秘匿HOの卓を経験すると秘匿のひの字もないような他卓でもそのような騙し討ちをやられるんじゃないかと警戒してスムーズに協力できなくなってしまうことがあり、関係のない卓にまで被害が及ぶこと甚だしい。
 KPはPLが楽しめる、公平な卓を守る存在なんだということを忘れないようにしよう。
 
 

補:対戦ゲームにおける「当たり前のルール」

 全員が自分(自陣営)の勝利を目指す、負けそうだからといって途中でゲームを投げて適当な動きをしたり、他の人を勝たせようとしたりしない、という「当たり前のルール」がないと、対戦ゲームは成り立たない。
 
 例として人狼*5を挙げよう。村人は村人の、人狼人狼の勝利を目指しているという大前提があるからこそ推理が成立する。これが普通の村人だけど人狼の勝利を目指してもいいだとか、勝ちを目指さない適当な動きをしてもよいことになれば推理が一切成り立たなくなってしまう。
 セオリーを知らずに利他行為をしてしまう初心者やリアル狂人が嫌がられるのはこのゲーム自体の大前提を崩してしまうからだ。初心者は知識や経験の不足により、勝ちを目指さない(目指せない)行動をとってしまう。これにより推理が成り立たなくなり混乱が起こる。
 
 自分の知る限り全て*6の対戦ゲームはこの前提の上にルールが作られている。
 

リア狂についての補足

 真面目に利敵行為をやってしまう人、きちんと考えて真剣にやったはずが、全員が勝ちを目指さなくてはいけないという「当たり前のルール」に反する行動になってしまった人を指してリア狂と呼ぶことがある。
 
 動画なんかだとまた文脈が変わってくるが、リア狂ですねwwwといって面白がるのは、まじめにやったにも関わらず突飛な行動をしてしまった人をフォローし、笑いに変えるためのコメントだ。一生懸命やったつもりでも失敗してしまう、そんな時に過度に落ち込まないようにフォローする言葉なのだ。もちろん変な動きしやがってこいつ、という気持ちをこめて発言する人もいるだろうが、あくまで笑いのニュアンスとともに言われる場合はその場を和やかに流そうという配慮があると考えてよいのではないだろうか。
 
 というわけで、リア狂とは基本的に自称する言葉ではない(私初心者なんで……というのと同様のニュアンスで、私リア狂しちゃうんで……=セオリーに沿わない行動をしてしまったらごめんなさい、という場合はある)。普通に遊んでいる時に自分からこれを言って適当な行動で場をかき乱すのはアウトだ。ネタ卓なら適当で構わないこともあるが、意図的なリア狂は基本的に勝ちを目指さない=「当たり前のルール」を破る荒らし行為であるということを忘れてはいけない。
 
 

さらにおまけの補足

 上でも書いたようにCoCはそもそも協力ゲームとしてデザインされているものなので、そこに秘密や対立といった協力を反故にするような要素を持ち込むと遊び方が一気に変わってしまう。それをカバーしてスムーズに遊べるようにするにはかなり気を遣ったゲームデザインが必要で、ルールによるカバーがない場合KPの腕やPLによる向き不向きがかなりはっきり出てしまうのは仕方がない
 今回の本論には関係ないのでこの点詳しく論じることはしないが、秘匿が嫌がられる理由について語る記事で一切触れないのもちょっとどうかと思ったのでここに付記しておく。
 
 
 そしてここまで書いたところでルールブックにこんな文章があったのを思い出したので、引用して〆としよう。
 

ルールは遊びをゲームに変える。ルールによって、各プレイヤーを含むすべての登場人物は公平に取り扱われることになり、勝利のチャンスが平等に与えられることになるのである。』6版p.57

 

*1:ここでいう協力ゲームはゲーム理論の用語ではなくボードゲームの説明において使われる協力ゲーム。対義語は対戦ゲームとする

*2:無論茶番であったり、事前にそのつもりがなくても成り行き上発生してしまうPvPもあるが、そうでない場合は協力ゲームという基本のルールがひっくり返ってしまうことになるので、ある種のハウスルールとして事前に告知するほうが賢明

*3:ただインセイン等においてもシナリオタイプを誤認させたうえでの騙し討ちといった話を聞くことはあり、シナリオの作りやGM側の運用次第でトラブルは発生しうる

*4:もしかすると公平でないほうが楽しいという人がいるかもしれないが、そういう嗜好だとわかっている親友と遊ぶのでもない限りそんなプレイヤーの存在を考慮するのは賢明ではない、とか書くほうがいいのかもしれない

*5:参加者は村人陣営と人狼陣営とに別れて戦う。特殊な役職で陣営が増えることもあるが基本はこの二陣営の対戦

*6:本当に全てかと言われると難しいがとりあえずパッと思い浮かぶ反例がないのでこの注釈だけつけておく。テストプレイなんてしてないよ系のハチャメチャパーティーゲームであれば、勝ちを投げて適当にプレイしはじめるプレイヤーが発生するような事態は当然想定されていると思う。そういう事態"も"想定されており、そうなっても楽しいようにデザインされているというだけで、ルール自体は全員が自分の勝利を目指して行動するという前提の上に作られているはずだ

【Phasmophobia】野良で英語しか通じない時の手抜き単語集【Steam】

f:id:entori:20210214213228j:plain

 アジア(AS)サーバーであれば相手も非英語話者が多いので大体雰囲気でなんとかなるんですが、外国人の人いたらもう無理!!という方向けにこのへん分かればなんとかなる! という単語をまとめてみました。この単語覚えてください!というよりはえっこんなもんでいけるの?楽勝じゃんと思ってもらうのが目的なのでたいした情報量はないです。そのまんま通じる単語が大多数なので今すぐ雰囲気で突撃してもなんとかなります。
 実際喋ってみたら何言ってるかわからん……となることも多いですが大丈夫です、みんな発音自由だしお互いの言ってることよく分かってないです。大事なのは分からなかったら聞き返しまくり、返事が通じてなかったら単語を繰り返しまくってゴリ押ししていく強いマインドです(大真面目に言ってます)。
 

 

 
ゴーストルーム

 Ghost room(ーすと・るーむ)

 そのまんまです。なんかゴーストルーム見つかった感じの雰囲気になったらGhost room? Where?(ごーすとるーむ?うぇあ?)って訊けばOK。英語チョットワカル人はもちろんWhere is the Ghost room?でOK。
 
 
トラック

 Van(バン)

 そのままTrackが使われることもありますがVanもかなり多い気がします。ただ公式のお知らせで使われているのはTrack。
 
 
氷点下

 Freezing temperature(ふーじんぐ・んぱーちゃー)

 氷点下の部屋見つけたらとりあえずB押してふりーじんぐ!ふりーじんぐ!って言えばOK。
 
 
指紋
 Fingerprint(ふぃんがーぷりんと)
 手形でもふぃがーぷりんと。
 
 
どこ?

 Where?(うぇあ?)

 そのまんまです。ゴーストルームの位置聞いたり聞かれたりでよく使います。
  (アイテムの)○○持ってきてる?とかもWhere is ○○?でこと足ります。
 
 
EMFレベル5

 EMF Level five(いーえむえふ・れべる・ふぁいぶ)

 そのまんまです。「Level」の発音は実際には「れぼぅ」に近いのでそのままだと通じないことがあるんですが、「いーえむえふ!ふぁいぶ!」だけでも十分通じます。
 ゴーストライティングもスピリットボックスもゴーストオーブもカタカナそのままなので、見つけたらB押して元気に○○!と宣言しましょう。
 
 
地下、1階、2階

 Basement, First floor, Second floor(ーすめんと、ふぁーすと・ふろあ、かんど・ふろあ)

 どこ?って聞かれたらとりあえず階を答えましょう(普通はアメリカ式です)。2階はUpstairs(あぷすてあ)とか言われる場合もあります。Bleasdale Farmhouseの3階はさーどふろあ!でもおそらく大丈夫ですが屋根裏なのでAttic(あてぃっく)が使われることが多いかもしれません。
 
 
右のほう、左のほう

 Right side, Left side(いと・さいど、ふと、さいど)

 「1階の右のほう!」って言いたければ「ふぁーすとふろあ!らいとさいど!」です。らいと、れふとだけでも通じます。通じなければ通じるまでゴリ押しすれば通じます。
 階とおおまかに右か左かくらいが分かればみんななんとなく集まってくるのでそれ以上詳しく言おうと頑張らなくても大丈夫です(プリズンの場合は左の独房エリアはAブロック、右の独房エリアはBブロックと呼ぶことのほうが多いです)。
 
 とはいえリビングルーム、キッチン、ダイニングルーム、ガレージ、ベッドルーム、バスルームなどはそのまま通じるので使える単語はどんどん使っておーけー。ダイニングとキッチンの差は食卓があるのがダイニングで調理台があるほうがキッチン。ガレージは車があるところです。
 単なる物置はStorage(すとれーじ)、バスルーム付近で洗濯機などのある雑然とした部屋はUtility(ゆーてぃりてぃー)などの呼び分けがあるのですが、通じたり通じなかったりします。二窓ができるならば日本語wikiのマップを出しておいて部屋名を確認するのが便利です。
 
 
「○○取ってきます」

 I'll grab ○○.(あい・ぐらぶ・○○)

 通じなければgrabをget(げっと)等にしてもよいです。
 
 
「今出てる証拠は……これとこれ?」

 We got ○○ and ○○……right?(うぃ・ごっと・○○・あんど・○○……らいと?)

 語末の「と」はほとんど聞こえないくらい軽く発音してください。
これ見つけたよね?っていう証拠を並べて最後におーけー?だけでも十分通じます。ふりーじんぐ・あんど・スピリットボックス・おーけー?
 Evidence(えびでんす)がなんたらと聞こえる場合も高確率で今見つかってる証拠がどうとかいう話をしています。
 
 
ゴーストの種類
 全部日本語と同じで通じます。幽霊はYurei、鬼もOniです。幽霊の発音がゆりーとかやりーに近い人はいるかもしれませんが自信もってゆうれい!ゆうれい!って連呼してればそのうち通じると思います。大事なのはパッションです。
 
 
汚い水

 Dirty Water(だーてぃー・うぉーたー)

 アプデによりサブミッションからは消え去る運命なので言う機会も少なくなるかと思いますが、手洗い場や風呂に汚い水が溜まっている場合はBに「だーてぃー・うぉーたー!」と叫んでおくと誰かが写真を撮りにきてくれてお金になります。たぶん。自分がカメラ持ってたら大人しく自分で撮ってください。
 
 
十字架

 Crucifix(くるしふぃっくす)

 Crossではなくこちらを使います。たまに「十字架持ってきたっけ?消えてる?」とか「十字架ミッション終わってる?」みたいな会話が交わされますが分からなくても死にません。
 
 トラックにいるとき「みっしょん」「くるしふぃっくす」などと聞こえた場合は掲示板を確認して十字架ミッションが終わっていれば「くるしふぃっくす、こんぷりーと」、終わっていなければ「くるしふぃっくす、のっといぇっと」「くるしふぃっくす、のっとこんぷりーと」とか答えるといいかもしれません。もし相手がぜんぜん別のこと喋ってても別に問題ないです。野良の英語は常に相手が何言ってるか勘違いした結果のよくわからん会話で溢れています。
→ジャーナルのアプデに伴ってミッション達成がジャーナルから確認できるようになりましたので、この手の会話は今後減っていくかと思われます。
 
 
「誰か死んだ?」

 Anybody dead?(えにばでぃ・でっど?)

 deadは「でっ」を強く言う。あれハントもう終わった?誰か死んでる?写真写真。
 
 

 Sanity Pills(さにてぃー・ぴる)

 気づけば勝手に飲んでる人が多いので会話ではほぼ出てこないのですが、飲んでいいか聞きたいときは「さにてぃー・ぴる、おーけー?」とかでOK。おーけー?で会話の8割はどうにかなります。
 
 その他カタカナのアイテムは大体そのままで通じますし、日本語に訳されているアイテムも大体みんな打ち合わせせず勝手に持ち出して勝手に使っていくので覚える必要がないです。適当マインドでいきましょう。
 
 
ウイジャ盤

 Ouija Board(ういじゃ・ぼーど)

 これも見つけた人がいつのまにか勝手に使ってる印象ですが使われるとハントが起きやすいのでういじゃぼーど!の声が聞こえたら念のため逃げ道を考えてます。
 
 
「みんなジャーナル書いた?」

 Everyone, journal OK?(えぶりわん、じゃーなる・おーけー?)

 こいつ本当に単語でしか喋る気ないな?と思ったあなたは大正解です。シンプルにいきましょう。例によってじゃーなる・おーけー?だけでもいいのですが、ジャーナル書いてない人が聞き逃すとまずいのでちょっと長くしました。全員からOKが返ってきたら帰りましょう。まだの人がいれば「Wait(うぇい)」とかなんとか返ってきます。
 
 
 
 
関連記事

【クトゥルフ神話TRPG】おすすめ技能の振り方と目安【6・7版対応】

f:id:entori:20190427045345p:plain

 推奨技能以外はいつも適当に取っちゃってる!推奨技能のないシナリオでどう技能とったらいいか分からなくて迷う!

 という人向けに、汎用およびシティなどのシナリオタイプに応じた技能ポイントの振り分けかたを書いてみようと思います。
 
 筆者はどちらかというと数字優先で技能を振ってからそれに見合う設定を考えるタイプなので、参考になりそうなところだけつまみ食いしてもらうのがちょうどいいです。あとくれぐれも他のPLにお前は技能の取り方がなってないとかいって詰め寄ったりしないように。
 また、筆者は基本ルールブックにあるような系統(探索メイン)のシナリオをよくやるのでタイプの違うシナリオ(ストーリー重視、エモシ、秘匿やPvP前提等特殊システムメイン)とは合わない部分があるかもしれません。なるべく普遍的に通じそうな部分を取り出して書いたつもりですが、あくまで自分流なので慣れるまでの目安としてください。
 
 

 

まずは基本、ルルブのコラム

 6版ルールブックp.75『最も役に立つ技能は何か?』を読んでください。読めたら次に進みましょう。
 このあともルールブックを手元に開いて適宜関連項目を参照しながら読めば自分のプレイスタイルに合った技能の取り方・使い方がより早く上達します。
 

推奨技能をとる

 推奨技能がない場合はとばしてください。
 
 推奨技能については、「あればスムーズor楽に行ける」程度なのか「なるべくとってほしい」、「ないと詰む」になるのかKPにできる限り聞いたほうがよいです。「どの程度使う場合に推奨技能とする」のかはシナリオによって本当にバラバラなので、聞いて悪いことはありません。PCのうち誰か一人が60あれば十分という場合もあれば、全員80はとっておいてほしいという場合もあります。
 始まる前にKPとコミュニケーションをとるのもセッションのうちです。
 
 もし「必須」と言われた場合はかなりシビアなダイスゲー*1になると予想されるので、可能な限り高く振りたいところです*2
 
 「ないと厳しい、なるべくとってほしい」等であれば、4人パーティなら2人、2人パーティなら1人が振って成功率8割を越える程度はまず必要と考えています*3
 ただ推奨技能の数や全体で使える技能値の総量、全員で探索できるのか個人探索が求められるのか等によってこの数字(8割)はかなり上下します。探索者が1人ならば6割あれば上出来という場合もあるかもしれません。
 
 「あればスムーズ」程度であれば全員で5割そこらあれば十分、というかほとんど気にしないことが多いです(が、KPの負担が大きくなる可能性を考えたりでなんだかんだ全員合わせてみると7割くらいにはなっていることが多い気がする)。
 

推奨技能以外を選ぶ

 推奨技能を埋めたらパーティ全体の技能を見つつ(そして他PLとも相談しつつ)、現在分かっているシナリオの情報から使える可能性の高そうな技能or汎用的な技能のうち足りていないものをとります。小規模なシナリオであれば推奨技能以外は完全に趣味でもいいかもしれません。
 
 汎用的な技能は大きく分けて探索、対人、戦闘*4技能のうち主要なものが満遍なくカバーされているかどうかを確認し、なければ以下のような優先順位でとっていきます。
 
探索
《目星》《図書館》《精神分析
   >《聞き耳》*5
 
対人
《言いくるめ》《説得》《信用》*6のうち2つ程度
  >《心理学》
 
戦闘  ※現日の場合。海外などの場合は後半の戦闘の項で補足します
《組み付き》、それなりの殺傷力がある戦闘技能(ノックアウト攻撃が使えるもの)、《応急手当》/《医学》
  >戦闘技能(火器等の遠距離攻撃ができるもの)*7《回避》
 
 
  もちろん一から十まで特定のシナリオに合わせたり「使える」技能のみに振る必要はなく、最終的にはキャラクターのライフパスや性格を考えて遊びをもたせたポイント配分になることでしょう。シナリオに対して十分な人数がいればその余裕はあるはずです。
 

どの技能を高く取り、どの技能をほどほどに取るべきか?

その前に、数字上の効率の話

 例えば、同じ100ポイント相当の技能値でも
PC A :50%
PC B :50%
だと両方失敗の確率は0.5*0.5=0.25で25%です。
 
 これに対し、
PC A :80%
PC B :20%
のように取ると0.2*0.8=0.16の16%に減ります。90%と10%ならば9%です。50%+50%と比べると3倍近く違いますね。
 
 このように、中途半端な技能値が複数いるよりも高技能値が1人いるほうが失敗しにくいです。PCが複数いる場合は分業し、バシッと一発で決める必要のある技能とそうでない技能とを区別して振りどころを考えるとよいと思います。*8
 
 

極力高く振りたい技能

・一度に1人しか振れない
・一度の成功が生死を大きく左右する
 このあたりに該当する技能は特に多くの技能ポイントを振りたい技能であるといえます。
 
 個人的にはせめて90と言いたいところですが、ハウスルールやリアリティを求めてあまり高技能値はとりたくないというこだわりもあるでしょうからとりあえず80程度としておきます。
 

《応急手当》《医学》

 (6版)
 ひとつの傷に一回しか手当てできないため、微妙な技能値が何人もいてもあまり意味がないです。
 CoCはほんの2,3回の負傷でうっかり死ぬこともあります*9。死ぬまでに何発も攻撃を食らうのが普通であれば50,60程度の技能値でもそれなりに使いでがあるのですが、試行できる回数が少なすぎるので一度の失敗が非常にシビアに生死を左右します。可能な限り高技能値をとりたいNo.1です。
 
 (7版)
 二人で応急手当を振れるようになったため、極振りの必要性はやや減少しています。またより緊急性の高い手当について《応急手当》のほうにウェイトがかかりました*10。ただ(瀕死を除き)一つの傷に一回である点は変わらず、耐久力ゼロから死に至るチャートは6版と比べてシビアになったため《応急手当》はかなり高め、《医学》もそれなりにとりたいところです。《応急手当》《医学》合わせての必要技能ポイントは6版より上昇したといえるでしょう。
 
 

《心理学》

 (6版)
 とるならば可能な限り高くとる、とらないなら一切とらない、でよいです。
 KPがクローズで振る場合は出目がわからないため、もし50%だった場合真偽が五分五分で一番役に立ちません。
 オープンで振るか失敗成功が分かりやすい情報の出し方をするKPであれば余りで少しだけ振るなどしてもよいと思います。また少人数探索なのに推奨技能が多く、《心理学》も必要なのに技能ポイントが足りない、という場合は中途半端でも取らざるをえない場合があるでしょう。
 普通の使い方をする場合は極振りor極力振らない、をおすすめします。
 
 (7版)
 基本の使い方においては極振りor振らない、であるのは変わりませんが、対人技能の対抗及び奇襲の察知に使えるようになったため中途半端であっても技能値を振る有用性は上がりました。その場合パーティ全体で見て誰も持っていない場合はとる、というより、回避のように各々が自衛のためとりたければとる、という形になるでしょう。
 
 

精神分析

 (6版)
 なぜか戦闘の話から始めます。CoCは被弾一発の重みが大きいので、生存率を上げるには先手必勝(orうまく逃亡)が重要です。先に相手に一発叩き込めるかどうかが生死を分けます。
 ところで神話生物と出会い頭正気度判定、戦闘開始……という流れはよくありますね。こんな時に初手の発狂をうまく処理できずもたついていると被害が大きくなります。無害な発狂ならば放っておいて先にとりあえず敵殴ろう、となった経験のある人も多いのではないかと思います。
 というわけで、戦闘時の生死に関わる、なるべく失敗で手を消費したくない=一発で決めたい=高技能値をとっておきたい、の図式が完成します。
戦闘がなさそうであれば高技能値である必要性はかなり下がり、複数人でそこそこの値を分散して持つ程度がちょうどいい技能になるでしょう。
 
 味方の発狂だけでなく情報ソースとなりうるNPCのケアにも使います。どんなシナリオでもいずれかの目的で使う可能性は高いので汎用性があり、なおかつないと困る可能性の高い技能です*11
 
 (7版)
 狂気の扱いがかなりシビアになったため*12、6版のような即時に使う目的でとる必要性は大幅に低下しました。ただ潜在狂気の間のペナルティーを避けるという使途はあるため、(複数人合わせてでも)それなりの数値があったほうがよいのは確かです。
 また正気度回復目的で振る場合ファンブルのデメリットが大きいので、とるのであれば50以上はあったほうがよいでしょう。
 
 

《組み付き》

 (6版のみ)
 組み付いたあとさらにSTR対抗などが入るので、実は同じ技能値の他技能より成功率が低くなっています*13
 
 さらに「暴れていて危険だが殺したら困る」敵や味方を取り抑える必要性はきわめて大きいです。仲間は無論殺すわけにいきませんし、NPCでも殺せばSANチェックが入ることがあります。敵であっても普通の人間NPCはおいそれと殺すわけにいかない、という場面は多いものです。
 必ず毎回必要になるわけではありませんが、いざ必要となった時あるかないかで大きく展開が変わる可能性が高い技能です。
 
 単に殺せばいいのであれば手段は多いですが、殺さず捕まえるにはほぼ《組み付き》一択です*14
 成功させるのが難しく替えがききにくい、という点でそれなりに高くとりたい技能であるといえます。ただ《応急手当》や《心理学》ほど極振りする必要性は薄いかなといった感じです。
 
 

《運転》

 運転をとること自体があまりないかもしれませんが、1人しか振れないのと、特に追われる場合のカーチェイスはかなりシビアに運命を左右するので推奨技能として要求された場合はしっかり取りたい技能です。
 
 

中程度(60~)でもよい技能

《目星》

 重要技能ですが初期値で25ある上、一発で決めなければ死ぬ!という場面はまずないので推奨技能であっても複数人でそこそこ持っていればいいかなという感じの技能です。人数が少ない場合、個人探索が求められる場合はとれるだけ高くとっても損はないでしょう。
 

《図書館》

 基本的に目星と同じく全員でそこそこあればいい技能ですが、一度の経過時間が大きいため時間管理のシビアなシナリオでは重要度が跳ね上がります。極振りの必要性は薄いですが高くても腐らない技能です。
 
 

50未満

 50を切って40代以下になる場合、基本的に趣味(=シナリオで活用するつもりでとるわけではない、フレーバー)技能だと思ってください。実用を考えているのであればせめて50以上とっておくべきです。また7版の場合は50を境にファンブルの数値が変わるため、使うつもりで取るならまず50は欲しいともいえます。
 
 初期値が高く、複数人でかわるがわるチャレンジできる可能性が高い技能や、そこまで頻繁には使わないがあると助かることがあるマイナー技能を余ったポイントで振ってこの値になるという場合が多いでしょう。
 
 初期値が高く、複数人でチャレンジできる可能性が高い技能
 →《目星》《聞き耳》《図書館》など
 
 そこまで頻繁には使わないがあると助かることがある技能
 →《オカルト》《歴史》《ほかの言語(ラテン語ギリシャ語など魔道書に多い言語)》《跳躍》(落下ダメージの軽減)《変装》など(自分がこのあたりを活用するパターンを色々ため込んでいるというだけで、これを見て「どう使うんだ?」と思う人は使いどころがないかもしれません)
 
 

ステータスや技能の組み合わせの考え方

汎用

 低POW×低INT
 正気度判定に失敗しやすい→5以上の減少の可能性も高い→そのぶんアイデアを低くして一時的狂気は回避しよう、という狙いです。不定はどうにもできないのと他のPCにアイデアを補ってもらえることを前提にしています。他のPCも低アイデアの場合や単独運用を考えている場合はアイデア上げるほうをとります。
 
《組み付き》×高STR
 最も使用頻度の高い取り押さえでSTR対抗が入るのでそれなりのSTRはほぼ必須。
 7版の場合近接戦闘でSIZの重要性が上がるので、《近接戦闘》×高STR&SIZとなるでしょう。
 
精神分析》×高POW
 言うまでもないですが《精神分析》したい時に本人が発狂していては話になりません(6版の場合)。
 7版は《精神分析》を使うとしても全員が一気に発狂するような場面では無力なのであまり気にする必要がなくなりました。
 
 低MOV×高CON(7版の場合)
 7版では、チェイス開始時にCONをロールして速度を決定します。そのため、7以下など低MOVの場合にCONまで低いと絶望的な結果になりがちです。
 MOVが低いステータスを採用するのであれば、CONは高めのほうが生き残りやすいといえるでしょう。
 

舞台によって

シティ

 シティといっても公式に定義された言葉ではなく千差万別ですが、法の支配する世界の人里が場面となると共通して重要になってくる技能というものはやはりあります。
 
《組み付き》
 人を殺せない・殺さずに捕らえたい局面がでてくる可能性が激増するので1人は実用レベルで持っておきたいです。
 
《追跡》
 見かけた敵を追いかける展開があるあるです。1人は持ってると便利。成功すれば地道な聞き込みなど探索の過程がある程度飛ばせるというような場合が多い気がします。
 
《コンピューター》
 ハッキングで情報を無理やり引っこ抜いてくるような時に使うわけですが*15、プログラミングができるので実は非常に幅広い目的で使えます。ルールブックにある用途(ぜひ自分で確認してください)も便利ですが、《電子工学》と合わせて怪しい家を見張るIoT機器など作ってみたり、とにかく応用がききます。リアルアイデアの使いでがあって楽しい技能No.1
 
《鍵開け》
 家に忍び込んだり金庫を開けたりすることがあるため。ただし(隠密捜査しているのでない限り)関係者や大家に鍵を借りられないか問い合わせるなど合法な手段がダメな場合に試すほうが無難なことが多いです。現代が舞台であれば電子ロックを想定して《電子工学》も一緒にとったりします。
 
《機械修理》
 ファンブル修理のため火器技能と一緒にとることが多いです(特に6版)。鍵のタイプによっては《鍵開け》の代用にできたり意外と使える場面があるのでそれなりにとっておいて損はないという印象の技能。
 
《運転》
 カーチェイスが発生する場合はたいてい推奨技能に含まれているので、推奨技能になければとっても趣味程度でスルー。推奨技能をそもそも書いてないタイプのシナリオの場合に持っていく可能性が上がります
 
 

アウトドア

《ナビゲート》
 特に山。高確率で迷います。
 森でも要求されることは多いですが、調査→敵のアジトが森の中にあると分かって踏み込む、というパターンが比較的多く、事前情報の時点でナビゲートが必要になると分かっていることは少ない気がします(体感)。かわりに推奨技能に入っていることも。
 
 高CON
 特に山。雪山(やその他気候が厳しい季節、土地)の場合高確率で迷った上にCONロールで耐久力を減らされるためです。ただシナリオやパーティの面子によってどのステータスを重視するかは変わるので「どっちのステータスにするか迷ったらCONが高いほうをとる」程度ではあります。
 
《追跡》
 フィールドが広く逃げる敵を追いかけるにあたって要求される可能性が上がります。
 
博物学》・《地質学》など自然に関する知識技能
 これ!と一つに絞ることは難しいですが、ちょいちょい使えることがあるので余った技能値の振り先に悩んだらとることがあります。なお夜のアウトドアだと《天文学》をナビゲート代わりに使えることがあります(方角が分かる程度なので地形が複雑な場合には難しいですが)。
 
 

戦闘

 舞台というより、戦闘メインでキャラクターを組み立ててくれと言われた場合の話。
 
 基本的に攻撃技能と《回避》があればよいでしょう。ノックアウト攻撃の関係もあるので一撃は大きい技能のほうがベター(7版はノックアウトにあたってやさしめの選択ルールがありますが選択のため使えるかどうかはKP次第です)。《こぶし》は他にメインの戦闘員がいるか武器を失った場合の補助以上のものにはなりません。
 
  6版、とくに火器の使えない現代日本の場合、武器がなくとも使えてダメージの高い《キック》をとる場合が多いです。《マーシャルアーツ》も悪くはないですが、初期値が低くポイントを多めに消費するので技能ポイントに余裕がある時以外はあまり多くはとりません。逆に初期値の高い《ブラックジャック》に密かな人気があったりします*16
 火器が使える場合は故障ナンバーが極力大きい(99とか00のみとか)ものを選びたいという程度で、あとは射程、ダメージ、1ターンあたりの攻撃回数等から好みで選びます。1ターンあたりの攻撃回数は多いと嬉しいですが普段単発攻撃ばかりしていると複数回攻撃できるのに忘れることがあるので注意が必要。
 
 海外を舞台にしたシナリオ(とくに公式)の場合。火器が使える地域であれば、火器がある前提のバランスになっていることも多いです。戦闘をガチめに考えるのであれば、
火器(遠距離火力)(7版で装甲の再考ルールが適用される卓の場合、散弾を使う銃とそうでない銃両方あるとなお安心)
・銃弾一発につき1ダメージしか効かない、というような敵用の鈍器もしくは高ダメージの素手技能(近接火力)
応急手当・医学(回復、救命)
・火器の種類に応じて機械修理
あたりはすべて揃えたいところです(重めの連射火器があれば銃弾の通りにくい敵でも押し切れることがなくはないです)。
 
 防御に関して。他に優先すべき技能があるから振れない、という場合を除いて《回避》を取ることをおすすめします。受け流しは武器の損耗などもあるので取れるなら回避をとったほうがよいです。7版だと《回避》を高くとってもそこまでアテにならないため、どれだけ振るかは一考の余地があります。KPに相談してもいいかもしれません。
 
 また戦闘担当だとあまりPOWを気にしないかもしれませんが、持っている武器の殺傷力が高いと発狂でコントロールを失った時に痛いのでなるべく高POWにしています(高ダメージの火器を持っていてしかも技能90↑の場合などに限りますが)。味方に自分よりDEX, STRが高く取り押さえてくれそうなPCがいる場合はあまり気にしません。
 

その他

〈ほかの言語〉でよく使われるのはどれ?

 基本的に、ピンポイントで持っていなければ困る言語がある場合は推奨技能としてシナリオから指定があるはずです(指定がないとあまりに候補が多すぎるため)。

 また、ほかの言語は専門家やプログラムの助けの手を借りやすい技能のため、「ないと困る」状況があまりありません(クローズドでは多少あるかもしれませんが、初期値が低く汎用性も低い、高技能値にするのはきわめてコストが高い技能のため、良心的なシナリオであれば普通強く要求されることはないです)。よって、そのような推奨技能がない場合に取るとすれば何語が役に立つか?という話をします。

 

 魔導書を読む目的で使う場合「シナリオに必須ではないがあれば使えるかもしれない」レベルで出てくることが多いのはラテン語・英語です(探索者の母国語が日本語の場合)。さらに、多少頻度は落ちますがよく使われるメジャーな魔導書の言語としてアラビア語ギリシャ語も候補に入るでしょう。個人的な印象としてそれ以外は五十歩百歩です。

 魔導書以外の用途として敵の使う言語が理解できると話が早い場合がありますが、これはもう本当に時代と国次第で、シナリオによって自分で考えるしかありません。事前情報で明確に敵が分かっている場合に合わせてとるかもしれないという程度です。あまりサンプルがないのですが、1920年アメリカのシナリオであればロシア語やドイツ語が使えることがあるという印象はあります。

 ただ言語は本当に候補が多いので、推奨技能でないかぎりはそれなりに趣味的なチョイスが許される技能だと思います(使えるかどうかは別として)。

 多少裏技的ではありますが、シナリオ作者はルールブックやキーパー・コンパニオンといった本の魔導書のデータを見てシナリオに使うものを選ぶことが多いです。よって、そのデータリスト(6版基本ルルブp.105~111など)を眺めて有名な魔導書の言語に使われている言語、出てくる頻度が多い言語をチョイスしてみる、あるいはピンポイントに「この魔導書が出てきたときに読めると嬉しい」なんてところから言語を選んでもよいと思います。

 
▶関連記事

初心者ガイドまとめページで他のプレイガイドを読む

おわりに

 元々「シティシナリオあんまやらないからどういう技能がいるのか分からん」という話題が出た時に自分はこういうの取ってるよ、という話を卓で何回かしていたのでそれをまとめようと下書きしていた記事から発展したものです。
 
  ついでに数字先行でキャラメイクする人間の雑感。
 
 個人的には技能面でのキャラメイクが微妙だと死んでもまあそりゃ死ぬよね程度の感慨しか沸かず、四苦八苦して神話生物に抵抗する過程や死の瞬間の気持ちの落差が楽しめないので、RPの楽しさのためにリアリティを追求するのと同様プレイングを頑張る楽しさのために数値的によりよいキャラメイクを追求しています。
 
 頑張れば頑張るほど上手くいったときガンガンアドレナリン出るし死ぬときもまあやれるだけのことはやりきったしな~、と思って終われる。とくに理不尽感を抱きやすいダイスゲー寄りのシナリオなんかで死んだとき恨みを持たないための自分なりの対策でもあるんですよね。
 
  なによりどんなゲームでもビルドを頑張ったキャラクターがうまく機能すると楽しいものなので、そういう部分にちょっと力を入れて考えてみるのもいいかもよ~、というお話でした。
 
 

編集ノート
 既に掲載済の内容の削除・変更があった場合はこちらに記録していきます。誤字脱字の修正や新たな項目を追記するタイプの編集の場合は記載していません。
 
20210823 7版における信用の重要度についてちょっと見解が変化したので修正しました。6版からリファインされたシナリオでは6版同様に使うし、7版からのシナリオでもあまり6版の時とノリが変わらないな~と思い始めたので6版同様の重要度に変更。考えてみればキャラメイク時の扱いが変わった(&技能の定義とシステム上の扱いが明確化された)だけで技能の中身は変わってないのでシナリオの側が変化しない限りそうそう重要度が下がることはないですね。

*1:プレイングによって解決策を工夫できる度合いが少なく純粋な運勝負で結果が左右される

*2:個人的には特定の技能が「必須」と書いてあるシナリオの時点で信頼できるKPでない限り避けることにしています。「必須(つまりシナリオ進行上絶対に必要)」なのであればそもそもダイスを振らせてはいけないという原則を知らないシナリオはゲームバランスが怖いことが多いです

*3:4人であれば6~8割の実用ゾーンにある探索者が2人はほしいと思ってるので実質9割くらいを目指しているかも

*4:6版p.362の技能カテゴリーではなく、charasheet.vampire-blood.netさんのキャラクターシート内の分類に準じます。おそらくこちらのほうが馴染みのある人が多いと思うので

*5:正直推奨になければ気にしないことのほうが多い。推奨技能に三種の神器って書いてあるシナリオは個人的には黄色信号

*6:7版の場合他の対人技能を選択肢に入れてもよい

*7:火器の使えるシナリオに限る。また射程の概念を省いて戦闘を単純化するKPも多いが、ルール通りに射程の概念がある場合は必要度が上がる

*8:6版のp.41に書いてあるのもそういうことだと思う。純粋に数字上の話をしているというよりほんとに30とか40とかは大して使い物にならんよと言いたいだけかもしれないが

*9:ルールブックを読めば探索者が死にそうになった時機械的に殺してしまう必要はないと分かるのですが、死んだら困るのに殺してしまった……と落ち込んでいる人もよく見ますし気心知れたKP以外はPLの側で自衛できるようにしておくのが無難だと思います。CoCはマスタリングの難易度に対して慣れていないKPが多いです

*10:詳しくはルールブックp.55『医学』p.66『応急手当』p.116-119の一連の戦闘ダメージ関連項目を参照してください

*11:KPがお情けで精神分析(物理)を認めてくれる場合もありますが、ダメージもありますし普通に技能をとるのが無難だと思います

*12:p.66『精神分析』、p.150~165『正気度』を参照

*13:自動成功するアクションを除く

*14:ノックアウトは普通に殺す可能性があります、念のため

*15:《図書館》のようなサーチ技能ではないですよ、念のため。7版では場面を限って《図書館》と組み合わせて使われる場合もあるだろうとの記述がありますが、単体でサーチに使うものではないです

*16:おもに戦闘メインではないPCの自衛手段として